樋脇町塔之原

樋脇町塔之原（ひわきちょうとうのはら）

概要

樋脇町塔之原は、鹿児島県薩摩川内市の中央部に位置する地域です。旧樋脇町の中心部として、行政や教育の中核を担ってきました。人口は約2,500人、世帯数は約1,000世帯（2020年時点）で、自然豊かな環境と歴史的な背景が特徴です。

地理

薩摩川内市のほぼ中央、樋脇川の中流域に位置し、川沿いには沖積平野が広がります。北に樋脇町倉野、中村町、東に入来町副田、入来町浦之名、南に樋脇町市比野、西に永利町と隣接しています。

特に注目されるのは、地域の南東にある丸山です。この山は、藺牟田火山と同じ時期に形成された溶岩ドームであり、柱状節理が見られるなど、地質学的にも貴重な場所です。

地域の中心部には、薩摩川内市立樋脇小学校や薩摩川内市役所樋脇支所があり、南部には薩摩川内市立樋脇中学校があります。

河川と山岳

河川: 川内川水系に属し、樋脇川と市比野川が流れています。
山岳: 丸山（標高217.8メートル）があり、この山は地域を象徴する存在です。

歴史

先史時代

塔之原の南西部、沢牟田では縄文時代早期の遺跡が発見されており、石器や土器などが出土しています。また、村子田では縄文時代中期の土器が発見されています。岩下地区では、地下式板石積石室の古墳も確認されており、この地が古くから人々の生活の場であったことを示しています。

中世

塔之原という地名は、鎌倉時代から確認されており、当時は薩摩国入来院の一部でした。平安時代から鎌倉時代初期には、寄田氏が勢力を持っていましたが、その後、入来院氏との間で支配を巡る争いが起こりました。戦国時代には、樋脇城主の樋脇氏がこの地を治め、その後は入来院氏の代官である宮里氏が統治しました。

近世

江戸時代には、薩摩藩の樋脇郷に属し、清敷郷の一部でした。後に、清敷郷が分割され、樋脇郷が成立しました。1663年には、福昌寺の住職によって玉淵寺が開山しました。この寺は地域の人々の信仰を集めました。

近代

明治時代には、町村制の施行により、塔之原村、市比野村、倉野村が合併し、樋脇村となりました。塔之原は樋脇村の大字となり、その後、樋脇村は町制を施行して樋脇町となりました。1924年には、宮之城線が開通し、樋脇駅が設置されましたが、1987年に廃止されました。

第二次世界大戦中には、アメリカ軍の空襲を受け、樋脇駅周辺が被害を受けました。

現代

2004年には、樋脇町が周辺の市町村と合併し、薩摩川内市となりました。合併に伴い、大字名は「樋脇町塔之原」に変更されました。

文化財

塔之原には、数多くの文化財が残されています。これらは地域の歴史や文化を伝える貴重な遺産です。

市指定文化財: 三島仁王像、東郷渋谷氏宝篋印塔、霧島若宮神社の宝塔残欠、本庵の田の神、祢地山の田の神、樋脇武士踊、塔之原一区太鼓踊・花尾楽、岩下棒踊、瑠璃光寺跡石塔群、塔之原殿墓、薬師堂荒神石塔、愛宕山勝軍地蔵、樋脇郷地頭仮屋跡、快慶入定の石室、祢礼北六地蔵塔、永田十三仏塔など。

公共施設

塔之原には、地域住民の生活を支える様々な公共施設があります。

行政: 薩摩川内市役所樋脇支所
文化: 樋脇公民館、樋脇地区コミュニティセンター
教育: 樋脇学校給食センター
スポーツ: 樋脇総合運動場、体育館、グラウンド、弓道場、屋外人工芝競技場、樋脇グラウンド・ゴルフ場
公園: 丸山公園

教育

塔之原には、薩摩川内市立樋脇中学校、薩摩川内市立樋脇小学校、ひわき幼稚園があります。かつては、鹿児島県立樋脇高等学校も設置されていましたが、2009年に閉校しました。

郵便局

樋脇郵便局は、1874年に開設された歴史ある郵便局です。

寺院・神社

塔之原には、多くの寺院や神社があります。これらの寺社は、地域の人々の信仰の中心となっています。

主な寺院: 善福寺
主な神社: 一之宮神社、長谷神社、蛭子神社、三島神社、霧島神社、霧島若宮神社、菅原神社（野町）、菅原神社（杉馬場）、諏訪神社、若宮神社、熊野野権現大社、厳島神社

その他

企業: 田苑酒造本社

交通

道路

主要地方道: 鹿児島県道42号川内加治木線
一般県道: 鹿児島県道333号川内祁答院線、鹿児島県道335号市比野東郷線、鹿児島県道346号山田入来線

鉄道

かつては、日本国有鉄道宮之城線が通っており、上樋脇駅と樋脇駅がありました。しかし、1987年に廃止されました。現在は、樋脇駅跡が鉄道記念公園として保存されています。

バス

南国交通と鹿児島交通が共同で運行するバス路線や、薩摩川内市コミュニティバスが利用できます。

まとめ

樋脇町塔之原は、歴史と自然が豊かな地域です。古代から現代まで、この地は様々な歴史を経てきました。文化財や公共施設も充実しており、地域住民の生活を支えています。

参考資料

橋口兼古、五代秀堯、橋口兼柄 著、島津久光 編『三国名勝図会』薩摩藩、1843年。
角川日本地名大辞典編纂委員会『角川日本地名大辞典 46 鹿児島県』角川書店、1983年。
樋脇町史編さん委員会『樋脇町史 上巻』樋脇町、1993年。
樋脇町史編さん委員会『樋脇町史 下巻』樋脇町、1996年。
芳即正、五味克夫『日本歴史地名大系47巻 鹿児島県の地名』平凡社、1998年。
* 薩摩川内市教育委員会『令和3年度薩摩川内市の教育』

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