正親町三条実仲

三条実仲（さんじょう さねなか）

三条実仲は、鎌倉時代後期に活躍した公卿です。権大納言である正親町三条公貫の子として生まれ、最終的には従二位・民部卿という官位にまで昇りました。彼は「九条」という別名でも知られています。

出自と家系

実仲は正親町三条家の出身ですが、家系内での位置づけについては若干の議論があります。『公卿補任』には、彼が公貫の二男であるという記述に対し、一男である可能性を示唆する注記が存在します。正親町三条実躬の生年を考慮すると、実仲を公貫の長男とする方が妥当であると考えられています。

当時の家系においては、生母の出自が嫡庶の決定に影響を与えたと考えられます。実仲の家系は、公氏以来、閑院流三条家の庶流として続いてきましたが、「正親町三条」という家名を厳密に適用するならば、光厳院の外戚となった公秀以降の三条家を指すことになります。実仲の息子である公明が後醍醐天皇の側近として仕えたことで、実仲の系統は正親町三条家の一門として認識されるようになりました。

経歴

以下に、実仲の経歴を『公卿補任』と『尊卑分脈』に基づいて記述します。

正嘉元年（1258年）2月2日：叙爵。
文永4年（1267年）12月19日：従五位上に昇叙。
文永5年（1268年）11月17日：侍従に任ぜられる。
文永8年（1271年）1月5日：正五位下に昇叙。
文永10年（1273年）12月20日：阿波権介を兼任。
建治2年（1276年）5月26日：左少将に任ぜられる。
建治3年（1277年）4月7日：従四位下に昇叙。
弘安4年（1281年）2月1日：左少将に還任。3月26日、播磨介を兼任。
弘安6年（1283年）1月5日：従四位上に昇叙。
弘安8年（1285年）1月5日：正四位下に昇叙。
弘安10年（1287年）12月10日：但馬権介を兼任。
正応元年（1288年）6月29日：左中将に任ぜられる。
正応3年（1290年）6月2日：右中将に転任。
嘉元元年（1303年）10月29日：従三位に叙される。
延慶2年（1309年）3月29日：正三位に昇叙。
正和元年（1312年）4月10日：従二位に昇叙。
元応2年（1320年）9月5日：民部卿に任ぜられるが、10月22日に辞任。
元亨2年（1322年）3月6日：出家。法名は勝空。

実仲は、嫡子としての扱いを受けなかったため、実躬と比較すると不遇であったと言えます。しかし、これは当時の正親町三条家における嫡子以外の処遇を反映しているとも考えられます。公秀の息子である実継と実音が従一位に叙せられ、内大臣や准大臣に昇進したのは、光厳院の外戚となったことが大きく影響しており、公秀以降の正親町三条家の隆盛がいかに著しかったかを示しています。

系譜

父：正親町三条公貫（1238-1315）
母：藤原経賢の娘
妻：吉田経俊娘
男子：三条公明（1281-1336）
男子：正親町三条公躬（正応3年(1290年) - 暦応5/興国3年4月11日（1342年5月16日）） - 正親町三条実躬の養子
生母不明の子女
男子：三条実治（1292-1353） - 三条公明の養子

参考文献

『公卿補任』（新訂増補国史大系）吉川弘文館、黒板勝美、国史大系編集会（編） ※ 嘉元元年（1303年）に実仲が非参議従三位となった時以降の記事。
* 『尊卑分脈』（新訂増補国史大系）吉川弘文館、黒板勝美、国史大系編集会（編） ※「三条実仲」および「正親町三条実躬」の項。

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