河内三立麻呂

河内三立麻呂について

河内三立麻呂（かわち の みたてまろ）は、奈良時代に活躍した政治家であり、河内氏に属する重要な人物です。彼の名前は、時折「参立麻呂」とも記されています。官位は外従五位上および和泉守として知られていますが、彼の出自や経歴についてもう少し詳しく見ていきましょう。

出自

河内三立麻呂は河内連という姓を持つ一族に生まれました。彼の祖先は百済の王族である都慕王の子、陰太貴首王に遡ります。河内氏は、他の有名な氏族である和朝臣や百済朝臣、菅野朝臣などと同じ系統を持つとされています。また、もともとの姓は直で、歴史書『日本書紀』の中では河内直という名前も確認されています。

河内氏の出身地、河内国には、氏族が多数存在しており、正倉院文書には河内郡の郡司級の氏族が多く記されています。その中でも『日本三代実録』に登場する河内国の有力者、河内連田村麻呂の名は特に注目されます。このように、河内連氏は地域の有力な土豪とされ、その影響力も大きかったと考えられています。

経歴

河内三立麻呂は、称徳天皇の統治下で法王宮大進として活躍しました。神護景雲3年（769年）10月、天皇が河内国由義宮に行幸した際、彼は六人部広道や高安伊可麻呂と共に外従五位下に叙されました。この時、河内職も設置され、三立麻呂は河内大進を兼任することになります。これは、彼の政治的な地位向上を示す重要な出来事です。

光仁天皇の治世では、春宮である山部親王の員外大進を務め、さらには宝亀5年（774年）に河内権介を兼任しました。天応元年（781年）、山部親王が即位すると、三立麻呂は外従五位上に昇叙され、翌年には和泉守に任ぜられます。彼の昇進と役職の変遷は、当時の政治情勢を反映したものだと言えるでしょう。

官歴

河内三立麻呂の官歴は、以下の通りです。これにより彼の昇進の過程を理解することができます。

• - 時期不詳：正六位上・法王宮大進
• - 神護景雲3年（769年）10月30日：外従五位下・兼河内国大進
• - 時期不詳：春宮員外大進（春宮・山部親王）
• - 宝亀5年（774年）9月25日：兼河内権介
• - 天応元年（781年）4月15日：外従五位上
• - 天応2年（782年）閏正月17日：和泉守

彼の人生を通じて分かるのは、その家系の影響力や官位の昇進具合です。河内三立麻呂は、奈良時代において重要な役割を果たした政治家であり、彼の存在はその後の歴史にも影響を与えていると言えるでしょう。彼の様々な役職や背景から、当時の社会や政治の仕組みがどのように機能していたのかを知る手助けとなります。

参考文献

• - 『続日本紀4 （新日本古典文学大系15）』 岩波書店、1995年
• - 『続日本紀5 （新日本古典文学大系16）』 岩波書店、1998年
• - 宇治谷孟訳『続日本紀 （下）』講談社〈講談社学術文庫〉、1995年
• - 竹内理三・山田英雄・平野邦雄編『日本古代人名辞典』2 - 579頁、吉川弘文館、1959年
• - 坂本太郎・平野邦雄監修『日本古代氏族人名辞典』204頁、吉川弘文館、1990年
• - 佐伯有清編『日本古代氏族事典』【新装版】175頁、雄山閣、2015年

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