浜頓別駅

浜頓別駅（はまとんべつえき）

北海道の宗谷地方、枝幸郡浜頓別町に存在した、北海道旅客鉄道（JR北海道）天北線の鉄道駅（廃駅）です。電報略号は「ハト」でした。この駅は1989年（平成元年）5月1日に天北線の廃止に伴い、その歴史に幕を下ろしました。天北線が所属路線となる以前は、宗谷本線や北見線の一部として位置づけられ、また1985年（昭和60年）までは興浜北線が分岐する重要な拠点駅でもありました。さらに、廃止直前まで運行されていた急行「天北」の停車駅でもあり、地域の中心的な役割を果たしていました。

歴史

浜頓別駅の開業は1918年（大正7年）8月25日、鉄道院宗谷線が中頓別駅から当駅まで延伸したことに始まります。当初は終着駅でしたが、翌1919年（大正8年）には浅茅野駅方面への延伸に伴い中間駅となりました。この間に線路名称は宗谷本線へと改称されています。1930年（昭和5年）には音威子府駅から稚内駅までの区間が宗谷本線から分離され北見線となり、浜頓別駅もこの北見線に所属することになりました。1936年（昭和11年）には興浜北線が開業し、当駅から分岐するようになります。同時期には稚内機関区の浜頓別支区が設けられ、鉄道運行上の重要度が増しました。駅舎は幾度か改築されましたが、1943年（昭和18年）には一度焼失しています。太平洋戦争中の1944年（昭和19年）には興浜北線が不要不急線として一時休止されましたが、終戦後の1945年（昭和20年）には営業を再開しています。1949年（昭和24年）には日本国有鉄道へと移管され、1961年（昭和36年）には線路名称が天北線へと変更されました。駅施設も整備され、1946年（昭和21年）には跨線橋が、1969年（昭和44年）には駅舎が新たに改築されています。かつては貨物や荷物の取り扱いも行っていましたが、1984年（昭和59年）に廃止され、旅客専業駅となりました。分岐していた興浜北線は1985年（昭和60年）に全線が廃止となります。そして、1987年（昭和62年）の国鉄分割民営化によりJR北海道の駅となりますが、わずか2年後の1989年（平成元年）5月1日、天北線の廃止とともに駅の歴史は閉じられました。

駅名の由来

駅名は、近隣を流れる頓別川がオホーツク海へ注ぐ河口付近に位置することに由来します。自治体名である「浜頓別町」が誕生し、町制を施行したのは駅開業後の1951年（昭和26年）のことです。

駅構造

駅が廃止された時点では、地上に島式ホームが1面あり、2線の線路を有していました。これにより列車の交換が可能でした。かつてはより規模が大きく、島式ホーム2面と3本の線路を備えていました。駅舎側のホーム（片面使用）を含めると、駅舎側から1番線、2番線、3番線と並んでいました。1985年（昭和60年）に興浜北線が廃止された後、1番線にあたる線路は撤去されています。1983年（昭和58年）頃の構造では、2番線と3番線のホームは駅舎と跨線橋で結ばれていましたが、1番線ホームは通路で連絡していました。役割としては、1番線が興浜北線専用、2番線が天北線上り、3番線が天北線下り列車に使われていました。駅構内には旅客施設以外にも、かつての貨物側線や複数の側線が設けられており、そのうち1線には転車台も備えられていました。職員が配置されている駅であり、駅舎は構内の東側に位置する鉄筋造りの建物でした。内部はかなり広く作られており、天北線の主要駅としての機能や、周辺の観光拠点としての役割を反映した規模でした。1983年（昭和58年）頃には、待合室にズワイガニの剥製が展示されていたほか、「わたしの旅スタンプ」も設置されていました。興浜北線で運行される列車の車掌は、当駅の所属担当でした。

利用状況

開業から廃止までの間、乗車人員の推移が記録されています。

駅周辺

駅周辺には、国道238号線（オホーツクライン）や国道275号線（頓別国道）といった主要道路が通っています。公共施設としては、浜頓別町役場、枝幸警察署浜頓別駐在所、浜頓別郵便局などがありました。教育機関では、北海道浜頓別高等学校、浜頓別中学校、浜頓別小学校などが立地しています。その他、浜頓別アメニティー公園、稚内信用金庫や北洋銀行の支店、東宗谷農業協同組合の本所、そして景勝地として知られるクッチャロ湖や頓別川が近隣にあります。

駅跡

駅廃止後、鉄道施設は撤去され、その跡地は浜頓別町によって「浜頓別バスターミナル」として整備されました。バスターミナルとして宗谷バスの窓口が置かれ、天北線や興浜北線の代行バス、都市間バスが発着するようになります。建物内には町立図書館や鉄道記念館も併設されていました。かつての駅裏手にあたる場所には、2001年（平成13年）に浜頓別町役場が新築移転しています。バスターミナルとしての機能は、2019年（平成31年）に国道を挟んだ向かい側の道の駅「北オホーツクはまとんべつ」内に移転した浜頓別町交流館へ移管されました。旧バスターミナル建物は、2021年（令和3年）に全館が町立図書館としてリニューアルされています。駅や鉄道に関する一部資料は、駅跡の東側に位置する浜頓別町郷土資料館に収蔵・展示されています。かつての線路跡の一部は、国道275号線の一部に転用されたり、公園や遊歩道として活用されたりしています。特に南稚内方面へ向かう線路跡は、当駅から猿払駅跡までの区間が「北オホーツクサイクリングロード」として整備され、新たな形で利用されています。

その他

天北線廃止直前の1987年（昭和62年）4月時点では、音威子府駅との間を結ぶ区間列車が1往復設定されていました。天北線の隣駅は常盤駅と山軽駅でした。また、かつて浜頓別駅と山軽駅の間には北頓別仮乗降場が存在しましたが、1967年（昭和42年）に廃止されています。興浜北線における当駅の隣駅は、<頓別仮乗降場>を経て豊牛駅でした。

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