海門 (スループ)

海門（かいもん）

海門は、日本海軍が明治時代に建造したスループです。横須賀造船所にて建造され、数々の戦役に参加しました。

概要

「磐城」に続いて赤松則良が計画主任を務め、3檣バーク型、スクリュー1軸の海防艦として建造されました。横須賀造船所での建造には6年半の歳月が費やされています。進水式では、世界で初めて鳩を飛ばしたことで知られています。姉妹艦である「天龍」とは、重心点の高さやバルジの有無などの点で差異が見られました。

日清戦争では、韓国方面の警備や台湾作戦に従事。戦後は佐世保鎮守府に所属し、主に韓国や台湾の警備艦として活動しました。日露戦争では、開戦直前に第3艦隊に編入され、朝鮮海峡の警備や旅大方面の警備・支援に従事。しかし、1904年7月5日に大連湾外で触雷し、沈没という悲劇的な結末を迎えました。

艦名

艦名は、鹿児島県の海門岳（開聞岳の別称）に由来します。海門岳は、薩摩富士、筑紫富士、小富士など、様々な別名を持つ山です。

興味深いことに、『海軍省報告書』には明治9年11月16日に『鹿児島造船所ニ於テ新製ノ軍艦「海門」ト命号』と記されています。これは、当初鹿児島での建造が計画されていたものの、西南戦争の影響で中止となり、艦名のみが本艦に引き継がれたという説を裏付けるものです。

艦型

海門は3檣バーク型のスループであり、一部文献ではスクリュー・コルベット、砲艦、海防艦とも分類されています。木製の船体を持ち、設計時の概略要目は以下の通りです。

垂線間長: 58.60m
最大幅: 9.10m
吃水: 4.05m
排水量: 約1,500英トン
速力: 12ノット
出力: 250馬力

当初は磐城と同程度の規模で計画されましたが、設計段階で日進と同程度の約1,500英トンに拡大されました。しかし、帆走時には傾斜が大きくなるため、総帆を展開することはほとんどなかったと記録されています。

機関

主機は横置還働式2段2気筒レシプロ機関1基を搭載。シリンダーの直径は高圧が43+7/8インチ、低圧が74インチ、行程はいずれも30インチでした。鋳鉄製箱型復水器1基、高円缶片面戻火式ボイラー4基も装備。缶管は3インチに増大し、蒸気圧力は磐城の45ポンド/平方インチから60ポンド/平方インチに上昇しました。煙突は昇降式で、計画速力は12ノット、試運転では12.5ノットを記録しています。

1896年にはボイラーが同型のものに換装され、1900年には佐世保造船廠にて三菱長崎造船所製の同型新缶4基と換装されました。

兵装

竣工直後には15cm砲が廃止され、12cm側砲が2門追加されました。その後、1インチ4連諾典砲4基、小銃口径5連諾典砲1基、75mm短クルップ砲1門が追加装備されています。日清戦争の頃には、ファイティングトップが大檣と中檣に設けられ、機砲が搭載されました。

測量任務への従事に伴い、1896年に佐世保で修理改装工事が行われ、製図室が新設されました。この際、小蒸気船の増備、測量船の新規搭載、マストの改造、砲の揚陸、デリックの新設、煙突の固定、キャプスタンの廃止と蒸気ウィンドラスの装備、艦橋の新設なども行われています。

艦歴

1877年に建造が認可され、1878年に「海門」と命名。1882年に進水式が行われ、1884年に竣工しました。その後、中艦隊への編入、朝鮮事変への従軍、常備小艦隊への編入、大東島調査、日清戦争への参加、測量任務などを経て、日露戦争に参加。1904年7月5日、大連湾外にて触雷し沈没。1905年に除籍され、1910年に残骸が売却されました。

歴代艦長

海門には、数多くの艦長が着任しました。坪井航三、磯辺包義、児玉利国、隈崎守約、新井有貫、尾本知道、平尾福三郎、松永雄樹、柴山矢八、桜井規矩之左右、早崎源吾、梨羽時起、大塚暢雄、新島一郎、大井上久麿、矢島功、有川貞白、そして高橋守道などが、その任を務めています。

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