溝口 (川崎市)

神奈川県川崎市高津区の要衝、溝口

溝口（みぞのくち）は、神奈川県川崎市高津区に位置する地域であり、その町名です。JR南武線武蔵溝ノ口駅と東急田園都市線・大井町線溝の口駅を中心に発展した、川崎市中部の重要な拠点となっています。この記事では、溝口の歴史、地理、経済、文化、そして現在の姿を詳細に解説します。

現代の呼称

駅名は「武蔵溝ノ口」と「溝の口」の2種類がありますが、かつての地名は「溝口」または「溝ノ口」と表記されていました。現在、公的な表記は「溝口」ですが、一般的には駅名に由来する「溝ノ口」「溝の口」も広く使われています。公的機関や施設では「溝口」表記に統一される傾向がありますが、東急関連では「溝の口」、JR関連では「武蔵溝ノ口」が用いられるなど、表記が混在しているのが現状です。地元では略称として「のくち」や「みぞ」が親しまれています。

地理

溝口は、川崎市のほぼ中央に位置し、市の副都心として行政と商業の中心機能を担っています。JR南武線と東急田園都市線が交差する交通の要衝であり、国道246号（大山街道）と国道409号（府中街道）が交差する地点でもあります。また、周辺地域からの路線バスが集中する交通結節点でもあります。

地価

住宅地の地価は、2024年7月1日時点で、1平方メートルあたり40万円台後半となっています。

歴史

地名の由来

多摩丘陵から流れる小川が姿を現す場所、つまり「溝」の入口であることから「溝口」と呼ばれるようになったとされています。古くから街道沿いに開けた地域であり、多摩丘陵への入口でもありました。

江戸時代以前

律令制下では武蔵国橘樹郡に属し、久地、津田山、下作延あたりが中心的なムラであったと推定されています。この地域の郡衙は、近隣の影向寺付近に置かれていたと考えられています。

江戸時代

1611年には二ヶ領用水が完成し、溝口を含む地域は新田開発が進み、「稲毛米」と呼ばれる上質な米を産出しました。1669年には宿場町（継立村）に指定され、矢倉沢往還（大山街道）が整備され、大山詣での参詣客で賑わいました。江戸時代後期には、物流の中継地点として発展し、貨幣経済が浸透しました。

醤油製造

溝口はかつて醤油の名産地であり、江戸の市場を圧倒するほどの生産量を誇っていました。醤油は多摩川を下り、大山街道を通って江戸へ運ばれました。

鉄道の開業

1927年に南武鉄道（現在の南武線）と玉川電気鉄道（現在の東急田園都市線）が開業し、武蔵溝ノ口駅と溝の口駅が設置されました。これにより、商業地は駅前に移り始め、工場や研究所も多く立地するようになりました。

駅前商店街の形成

鉄道開業以降、駅前は商業施設が集積し、川崎市内でも有数の商業地となりました。南武線武蔵溝ノ口駅の東側を中心に商店街が発展し、バス路線も多く発着するようになりました。

国道246号東京・横浜バイパスの開通

モータリゼーションの進展に伴い、国道246号のバイパスが建設され、旧市街を迂回するようになりました。これにより、旧街道沿いの商店街は衰退し、バイパス沿いにロードサイド店舗が見られるようになりました。

駅前再開発

無計画な発展による道路網の未整備や駅施設の老朽化が問題となり、駅前再開発が計画されました。1999年に駅前商業ビル「ノクティ (NOCTY) 」が完成し、駅舎やペデストリアンデッキも整備されました。これにより、駅周辺の利便性は大きく向上しましたが、既存商店街は課題を抱えています。

既存商店街が抱える問題

近年、都心への買い物客の流出や郊外型スーパーマーケットの進出により、商店街は空洞化が進んでいます。また、市の都市計画と商店街の実情が合っておらず、駐輪場の不足や歩行者・自転車への配慮不足が指摘されています。駐輪場の問題については、一部改善策が実施されつつあります。

大規模マンション化

駅周辺の商業地だった場所に大規模マンションが建設されるようになり、商業地の縮小傾向が見られます。

年表

1878年：神奈川県橘樹郡溝ノ口村が成立。
1889年：高津村が発足し、溝ノ口は高津村大字溝ノ口となる。
1927年：高津村が町制を施行し、高津町大字溝ノ口となる。
1937年：高津町が川崎市に編入され、川崎市大字溝口となる。
1972年：政令指定都市に伴い、川崎市高津区大字溝口となる。
1997年：住居表示実施により大字を廃止。
2002年、2012年：町境を一部変更。

世帯数と人口

2024年9月30日現在、世帯数と人口は以下の通りです（川崎市発表）。

世帯数：
人口：

学区

市立小・中学校の学区は以下の通りです（2023年10月時点）。

小学校：
中学校：

事業所

2021年の経済センサス調査によると、事業所数と従業員数は以下の通りです。

事業所数：
従業員数：

周辺

駅周辺（北口・東口）

武蔵溝ノ口駅（北口）と溝の口駅（東口）が接続するターミナルとして、商業施設が集積しています。ペデストリアンデッキとバスターミナルも整備されています。

路線バス

府中街道経由や武蔵新城駅、新横浜駅方面への路線バスが発着します。川崎市バスは「溝口駅」、東急バスは「溝の口駅」と表記しています。

官公庁

高津合同庁舎、てくのかわさき、川崎北労働基準監督署、ハローワーク川崎北、高津警察署などがあります。

商店街・公共施設

ノクティ、ツネカワ、高津市民館、東急ストア、文教堂書店、ポレポレ通り、灰吹屋薬局、Qiz溝の口、ドン・キホーテ、ヤマダ電機、イトーヨーカドー、マルイファミリー溝口などがあります。

企業の本社

文教堂、イッツ・コミュニケーションズ、タイコエレクトロニクス日本法人、ノエル、ミツトヨ、多摩川新聞社、高砂製作所、かながわサイエンスパークなどがあります。

名所・旧跡

大山街道、府中街道、二ヶ領用水、久地円筒分水、新平瀬川、多摩川、溝口西耕地横穴墓群、津田山周辺の横穴墓群などがあります。

駅周辺（南口）

駅前再開発により、南武線に直結する自由通路とバスターミナルが整備されました。

路線バス

平瀬川沿いを走り、神木本町・向丘出張所方面や、市民プラザ方面への路線バスが発着します。

官公庁

高津区役所・保健福祉センター、川崎北税務署、高津年金事務所などがあります。

商店街・公共施設

ホテルメッツ溝ノ口、川崎第一ホテル溝ノ口、ラフォーレの森、高津区役所、川崎下作延郵便局、高津郵便局、洗足学園、関東自動車学校、川崎市民プラザなどがあります。

名所・旧跡

大山街道、平瀬川、東高根森林公園、江戸見桜、久本神社、久本山、久本山古墳、久本横穴墓群などがあります。

街道・主要道周辺

高津駅、国道409号方面、大山街道（旧道）方面、国道246号方面があります。

名所・旧跡・催事等

大山街道、溝口神社、蔵造りの店、灰吹屋薬局、亀屋、宗隆寺、『武陽玉川八景之図』、二ヶ領用水、高津区民祭などがあります。

その他

郵便番号：213-0001（高津郵便局）
* 警察：各町内の管轄区域は以下の通りです。

脚注

注釈、出典、参考文献については、省略します。

関連項目

溝口、武蔵溝ノ口駅、溝の口駅、高津駅、二子、久地、下作延、久本、坂戸、平瀬川、向ヶ丘、大山街道、府中街道、川崎歴史ガイド、天体戦士サンレッド、ハイスコアガール、二ツ森司・みどりなど。

外部リンク

かわさきのお医者さん、駅構内図、駅情報、川崎市大山街道ふるさと館、かわさきの文化財、宗隆寺、ミツトヨ博物館・沼田記念館、溝口大山街道振興会、多摩川新聞社など。

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