滬九直通列車

滬九直通列車

滬九直通列車は、中国の上海と香港の九龍を結ぶ優等列車です。この列車は、上海と広州東駅間は毎日運行していますが、香港まで直通する列車は2日に1回の運行となっています。この列車は、中国と香港を結ぶ重要な交通手段として、多くの旅行者やビジネス客に利用されてきました。

概要

滬九直通列車は、1997年5月17日に運行を開始しました。乗務員は上海鉄路局上海客運段が担当しています。上海発九龍行きの所要時間は約18時間41分で、列車番号はZ99次です。一方、九龍発上海行きの所要時間は約18時間53分で、列車番号はZ100次です。列車は、滬昆線、京広線、広深線を通り、香港内では東鉄線を経由します。運行距離は約1,991kmに及び、上海市、浙江省、江西省、湖南省、広東省の5つの省と市をまたがります。

この列車は、中国鉄道部や上海鉄路局から「示范列車」や「紅旗列車」といった称号を与えられており、その質の高さが評価されています。2008年には、年間輸送旅客数が12万人を突破しました。

歴史

1980年代から1990年代初頭にかけて、上海鉄路局は3度にわたり鉄道部に対し、上海と香港九龍間を結ぶ直通旅客列車の運行開始を要請しましたが、車両不足などの理由で実現しませんでした。その後、上海鉄路局は、上海～広州間、南京～広州間、杭州～広州間で運行されている3本の旅客列車の利用状況を分析しました。1995年7月27日、その調査結果を鉄道部に報告しました。

上海鉄路局の調査によると、上海～香港間の旅客流動は年間120万人に上り、そのうち67万人が航空機、53万人が鉄道を利用していました。1996年7月、香港返還によって中国本土～香港間の移動需要が高まると予測した上海鉄路局は、滬港直通列車の運行開始を鉄道部に報告しました。同月、上海市人民政府は、鉄道部に対し、上海～九龍間の特快列車の運行開始について書簡で問い合わせました。1996年8月、鉄道部は専門チームを立ち上げ、香港の九広鉄路公司と複数回にわたり交渉を行いました。その結果、同年12月に「北京、上海—九龍直通旅客列車規則」が締結され、直通列車の運行が具体的に動き出しました。

1997年3月26日、鉄道部部長が、国務院に「北京、上海—九龍直通旅客列車運行開始に関連する諸問題について」という報告書を提出し、国務院から上海鉄路局に対し、香港返還前の1997年7月1日までに滬九直通列車の運行を開始するよう指示が出されました。

上海鉄路局は、1997年5月11日に試運転を行い、5月19日に正式に運行を開始しました。運行開始当初は、上海鉄路局上海列車段が乗務を担当し、列車番号は99/100次でした。車両には当時最新型の25K系客車が使用され、16両編成で定員は448人でした。運行開始時の停車駅は、杭州東駅、金華西駅、鷹潭駅、向塘駅、株洲駅、衡陽駅、郴州駅、韶関駅、広州駅、広州東駅、常平駅の13駅でした。常平駅では、乗客は一時下車し、中国の出入国審査を受けました。運行時間は九龍行きが約29時間6分、上海行きが約28時間18分でした。

2001年10月21日のダイヤ改正で、列車番号がK99次（九龍行き）、K100次（上海行き）に変更されました。2003年には、出入国審査と税関検査が車内で行われるようになり、常平駅での下車が不要になりました。これにより、運行時間が約1時間短縮されました。その後、上海駅出入国旅客ターミナルが完成し、乗客は出発駅と到着駅で出入国審査を受けることになりました。この際、杭州東駅、鷹潭駅、衡陽駅、郴州駅、韶関駅での停車と旅客の取り扱いは取りやめられ、上海～九龍間の運行時間は25時間に短縮されました。

2004年1月には、機関車の故障により列車が一時動けなくなるというトラブルが発生しました。2004年11月から2006年9月にかけては、浙贛線電化工事の影響で運行時間が3時間延長されました。2006年7月29日、上海鉄路局と九広鉄路公司の合弁会社である中鉄快運株式会社が設立され、滬九直通列車の荷物車を利用した運輸事業が開始されました。

2006年10月には、個人旅行者と家族旅行者を対象とした割引運賃制度が導入されました。2007年4月18日には、ダイヤ改正によって特快列車に格上げされ、列車番号もT99次（九龍行き）、T100次（上海行き）に変更されました。同時に、運行時間も約20時間に短縮されました。2008年1月には、車両と牽引機関車が更新され、最高時速160kmの25T系客車が導入されました。

2008年1月28日には、中国雪害の影響により、上海行きT100次列車が62時間遅れて到着するという、運行開始以来最長の遅延が発生しました。2009年7月1日には、滬昆線内で時速160kmの運行を開始し、運行時間は18時間45分に短縮されました。

2010年5月15日には、上海万博の開幕により香港からの団体旅行客の需要が高まったため、車両が増結され、定員が478人に増加しました。同年5月23日には、江西省で列車脱線事故が発生し、滬九直通列車に大きな遅延が発生しました。2014年12月17日には、直達特快列車に格上げされ、列車番号もZ99次（九龍行き）、Z100次（上海行き）に変更されました。2024年4月15日には、運行区間が上海駅 - 広州駅間に短縮されました。2024年6月15日に上海虹橋駅 - 香港西九龍駅寝台電車の運行開始に伴い、上海-香港の在来線列車が廃止されました。

列車編成

牽引機

2008年1月1日、滬昆線の電化完成により、上海～株洲間はディーゼル機関車から韶山8型電気機関車および韶山9型電気機関車に置き換えられました。

客車

1997年から2007年12月まで、25K系客車が使用されていました。25K系客車は電源集中方式を採用していましたが、電源車の故障が多かったため、2008年1月1日に分散電源方式の25T系客車に置き換えられました。

2008年1月1日以降は18両編成で、高級軟臥車、軟臥車、硬臥車、食堂車、荷物車で構成されています。香港まで運行されるのは12両で、硬臥車5両、軟臥車3両、高級軟臥車1両、食堂車と荷物車です。定員は478人です。上海寄りの7両は広州東駅止まりで、香港行き車両との行き来はできません。香港まで運行する日は、中国国内区間のみを利用する乗客は食堂車に立ち入ることができず、供食サービスは車内販売のみとなります。滬九直通列車は株洲駅で進行方向が変わります。

時刻表

2015年10月現在の時刻表は以下の通りです。

(時刻表は省略)

切符

2015年7月15日現在の情報です。

滬九直通列車の切符は60日前から発売されています。高級軟臥車の切符は、上海駅と九龍駅でのみ購入できます。中国鉄路総公司の切符販売システム上では、九龍直通の編成と広州東駅止まりの編成が区別されており、広州東駅止まりの編成は列車番号通りの「Z99」ですが、九龍直通の編成では「P99」が用いられます。しかし、実際には駅の窓口以外では、九龍直通の編成も「Z99」の列車番号が使われています。

脚註

注釈

(注釈は省略)

出典

(出典は省略)

参考文献

阿部真之、岡田健太郎（2011年）. 『中国鉄道大全 中国鉄道10万km徹底ガイド』, 旅行人. ISBN 9784947702692
中国铁路总公司运输局（2013年）. 『2013.07 全国铁路旅客列车时刻表』, 中国铁道出版社. ISBN 9787113169350

関連項目

香港MTR
京九直通列車
広九直通列車
T169/170次列車

外部リンク

港鉄城際直通車ホームページ（繁体字中国語）
中国鉄道倶楽部 香港直通列車

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