田上 (鹿児島市)

鹿児島市田上

田上（たがみ）は、鹿児島県鹿児島市に位置する町丁です。旧薩摩国鹿児島郡に属し、かつては田上村、西武田村の一部でした。現在の田上一丁目から田上八丁目、田上町として区分され、住居表示が実施されています。人口は約11,500人、世帯数は約5,600世帯（2020年時点）です。

地理

田上は鹿児島市西部に位置し、田上川の中流域と脇田川の上流域に広がります。周辺には武岡、小野町、宇宿などの町が隣接しています。かつては田園地帯でしたが、現在は住宅地として開発が進んでいます。地形的には、鹿児島湾に向かって広がる扇状地であり、田上川を中心とした「田上デルタ」が形成されています。

歴史

中世

田上の地名は鎌倉時代から見られ、当時は薩摩国鹿児島郡に属していました。戦国時代には田上名とも呼ばれ、地域の領主が存在しました。1353年には島津貞久によって代官職に田上の半分が与えられ、その後、鎮西管領一色範氏によって島津貞久に田上の所領が与えられました。天正年間には武村と共に開発が進められました。

近世

江戸時代には、薩摩国鹿児島郡鹿児島近在に属し、村高は1,200石程度でした。村には庄屋が配置され、名主や名頭がいました。1857年には、島津斉彬によって薩摩藩最初の機械紡績工場である田上水車館が設置され、1867年まで操業されました。明治時代には、田上村の生産力が低かったため、周辺の村との編入・分割が行われました。

近代

1889年の町村制施行により、田上村は武村、西別府村と合併し、西武田村となり、大字「田上」となりました。1911年には鹿児島市の一部が田上へ編入され、1914年の桜島地震では、天神ヶ瀬戸で道路崩壊が発生し、多くの犠牲者が出ました。1934年には、西武田村が鹿児島市に編入され、田上町となりました。第二次世界大戦中には、空襲で被害を受けました。

現代

戦後、田上町周辺では、紫原団地、桜ケ丘団地などの大型団地が建設され、それに伴い町域が再編されました。1988年には鹿児島インターチェンジが設置され、交通の要衝となりました。その後も住居表示の実施に伴い、田上一丁目から田上八丁目、田上台などの町丁が設置され、現在に至ります。

河川

新川（田上川）
脇田川

町名の由来

「かごしま市史こばなし」によると、田上は「稲田の上」という地形に由来するとされています。かつて、武と田上付近は稲田が多く、その地形からこの地名が付けられたと考えられます。

交通

田上は、九州自動車道、指宿スカイライン、南九州西回り自動車道、鹿児島東西幹線道路などが交わる交通の要衝です。

鉄道: 鹿児島本線が通り、広木駅が設置されています。
道路: 鹿児島インターチェンジ、鹿児島西インターチェンジ、田上インターチェンジが町域内にあります。

施設

公共施設

鹿児島県警察鹿児島西警察署田上交番
鹿児島市消防局西消防署田上分遣隊
鹿児島市動物管理事務所
田上福祉館
広木公園

教育施設

鹿児島医療福祉専門学校
鹿児島環境・情報専門学校
鹿児島公務員専修学校
鹿児島英語専修学校
鹿児島市立田上小学校
田上幼稚園
ひばり幼稚園
田上キッズ保育園
田上保育園
鹿児島ショコラ保育園
田上メイジ保育園

郵便局

鹿児島田上町郵便局
大峰橋簡易郵便局

その他

田上自動車学校

教育

田上には、鹿児島医療福祉専門学校などの専門学校や、鹿児島市立田上小学校があります。田上小学校は、1876年に郷校として設置され、その後、田上尋常高等小学校、田上国民学校を経て現在に至っています。

参考資料

鹿児島県『鹿児島県史 第六巻 上巻』
鹿児島市史編さん委員会『鹿児島市史Ⅰ』
南日本新聞『鹿児島市史Ⅳ』
鹿児島県『桜島大正噴火誌』
松本栄児『西武田村誌』
「角川日本地名大辞典 ４６ 鹿児島県」
芳即正、五味克夫『日本歴史地名大系47巻 鹿児島県の地名』
有田忠雄、河口貞徳、村田凞、稲葉行雄、村野守治、四本健光、紀野健一郎『鹿児島のおいたち』
木脇栄『かごしま市史こばなし』
* 井口正人, 竹林幹雄, 福島大輔, 中道治久, 小林哲夫, 岩松暉, 幸福崇, 田嶋祐哉, 黒岩賢彦, 上林嵩弘, 三田和朗「桜島の大規模噴火を考える」

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