立花直次

立花直次（たちばな なおつぐ）

立花直次は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけての武将であり、大名、旗本として知られています。高橋鎮種（紹運）の次男として生まれ、初めは高橋姓を名乗りました。兄は立花宗茂であり、幼名は千若丸、通称は弥七郎、少輔太郎です。官途は主膳正、民部少輔を歴任しました。初名は統増（むねます）であり、後に宗一（むねかず）、重種（しげたね）と改名し、最終的に直次としました。立花姓を名乗るようになったのは慶長19年（1614年）頃からで、それまでは高橋統増、高橋直次の名で知られています。法号は宗卜道白です。

生涯

元亀3年（1572年）に生まれた直次は、父・鎮種（紹運）や兄・統虎（宗茂）と共に大友氏に仕えました。兄と同様に、主君・大友義統から偏諱を賜り「統増」と名乗りました。兄の統虎が立花道雪の養子となったため、直次が筑後高橋氏の嫡男となりました。

天正14年（1586年）、島津氏が筑前国へ侵攻した際、父は岩屋城、直次は宝満山城を守りました。しかし、岩屋城の戦いで父・紹運が自刃し、宝満山城も籠城していた筑紫氏家臣の動揺や島津氏からの降伏勧告により、開城することとなりました。この時、直次は妻と共に捕虜となりましたが、後に解放されています。

豊臣秀吉による九州征伐後、直次は兄と共に豊臣氏の直臣となり、筑後国三池郡江浦に1万8,000石の所領を与えられました。佐々成政の領地で肥後国人一揆が起こった際には、兄に従い騎馬鉄砲隊を率いて出陣し、活躍しました。天正16年（1588年）には、秀吉が後陽成天皇を迎えた聚楽第での行幸に供奉し、翌年には従五位下・民部少輔に叙されています。

文禄の役が始まると、兄が宗虎と改名した際に、直次も「宗一」と改名しました。その後、大友氏の改易後に「重種」と再度改名しています。文禄・慶長の役では、第一次・第二次錦山の戦い、碧蹄館の戦い、第二次晋州城合戦、加徳島の戦い、露梁海戦などに出陣し、数々の武功を挙げました。休戦期間中には、居城を江浦城から筑後内山城に移しています。

慶長4年（1599年）には、島津義弘の領地で庄内の乱が起こった際、徳川家康より出陣を命じられ、日向国都之城に出陣しました。慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは、兄と共に石田三成の西軍に与して伏見城の戦い、大津城の戦いに出陣したため、戦後改易となり浪人しました。その後、徳川秀忠に召し抱えられ、慶長19年（1614年）には常陸国筑波郡内に5,000石を与えられ旗本となりました。この時に家号を立花に改め、実名を「直次」としました。大坂の陣にも出陣し、徳川秀忠の危機を救う戦功を挙げています。

元和3年（1617年）に死去し、下谷広徳寺に葬られました。法名は、大通院殿玉峯道白大居士です。子孫は三池藩を立藩し、幕末まで存続しました。

人物

直次は武勇に優れており、文禄・慶長の役では、明軍に囲まれた兄を血路を開いて救出した逸話が残っています。兄からは「世に主膳ほど大剛の者なし」と評されました。また、柳生宗矩の門弟となり「新陰治源流」を開祖したことでも知られています。父・紹運から仁王三郎清綱の刀を譲り受けていました。

系譜

正室は、筑紫広門の娘である養福院。継室は、同じく筑紫広門の娘である永雲院です。

長男：立花種次
次男：立花種吉
三男：立花政俊（種俊、宗繁）
四男：立花忠茂
五男：立花種元
長女：虎 - 真田信勝正室

直次の子孫には、一宮藩最後の藩主である加納久宜がおり、その曾孫にあたる麻生太郎（先代）は、麻生グループ創業者の炭鉱王麻生太吉の息子です。麻生太郎（先代）の息子である麻生太郎（内閣総理大臣）は、直次の子孫にあたります。また、女系では12代後に第79代内閣総理大臣細川護熙がいます。

脚注

大日本人名辞書
寛政重脩諸家譜
筑後国史

参考文献

大日本人名辞書刊行会 編「国立国会図書館デジタルコレクション 立花直次」『大日本人名辞書』 下、大日本人名辞書刊行会、1926年。
堀田正敦『国立国会図書館デジタルコレクション 寛政重脩諸家譜. 第1輯』國民圖書、1922年。
矢野一貞「国立国会図書館デジタルコレクション 高橋系図」『筑後国史. 中巻』筑後遺籍刊行会、1927年。
高柳光寿; 松平年一『戦国人名辞典』吉川弘文館、1981年。

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