第20軍団 (北軍)

南北戦争における二つの第20軍団

南北戦争中、北軍には「第20軍団」と呼ばれる二つの異なる軍団が存在しました。これらはどちらもカンバーランド軍に所属していましたが、組織として継続性はなく、それぞれ独立した歴史を持っています。

マクックの第20軍団

最初の第20軍団は、アレクサンダー・マクック将軍が指揮を執りました。この軍団は、ストーンズリバーの戦いの後、カンバーランド軍が再編された際に誕生しました。当時、カンバーランド軍は第14軍団のみで構成されていましたが、この再編によって右翼が第20軍団、左翼が第21軍団となり、中央翼が第14軍団の名称を継承しました。マクック将軍が有名であったため、この第20軍団はしばしば「マクック軍団」とも呼ばれました。

第20軍団は、タラホーマ方面作戦において、1863年6月にテネシー州リバティギャップで南軍の後衛部隊と小規模な戦闘を行いました。しかし、軍団が参加した唯一の大規模な戦闘はチカマウガの戦いでした。この2日間にわたる激戦で、第20軍団は甚大な損害を被り、第21軍団と統合され、名称も第4軍団に変更されました。チカマウガでの敗北の責任を問われたマクック将軍は、軍団長を退任することになりました。

歴代軍団長

アレクサンダー・マクック：1863年1月9日 - 1863年10月9日

フッカーの第20軍団

二つ目の第20軍団は、ジョセフ・フッカー将軍が指揮を執りました。フッカーは、1863年5月のチャンセラーズヴィルの戦いでの敗北の責任を問われ、ポトマック軍司令官を解任されていました。しかし、ゲティスバーグの戦いの後、ワシントンはフッカーにポトマック軍の第11軍団と第12軍団を預け、ブラッグ将軍に包囲されていたチャタヌーガの解放のために派遣しました。

フッカー将軍はワウハッチーの戦いで重要な役割を果たし、包囲されていた北軍への連絡路を開きました。また、「雲の上の戦い」として知られるルックアウト山の戦いでも勝利を収めました。

1864年4月4日、アトランタ方面作戦開始直前に、ウィリアム・シャーマン将軍は第11軍団と第12軍団を統合して第20軍団を編成し、フッカーを軍団長に任命しました。この軍団は、カンバーランド軍に所属し、テネシー軍と共に作戦に参加し、勇敢に戦いました。しかし、アトランタの戦いでテネシー軍司令官ジェイムズ・マクファーソン少将が戦死し、後任にオリバー・O・ハワード少将が任命されたことに不満を感じたフッカーは、軍団長を辞任しました。

フッカーがハワードを不満に思った背景には、以前のチャンセラーズヴィルの戦いでの出来事がありました。フッカーが警告していたにもかかわらず、当時第6軍団長であったハワードは適切な防御体制を取らず、南軍の側面攻撃を許して北軍を敗北に導いたため、フッカーはポトマック軍司令官を解任されていたのです。

フッカーの辞任後、軍団長はアルフェウス・ウィリアムズ、続いてヘンリー・W・スローカムが務めました。アトランタが降伏した後、第20軍団は最初に街に入城しました。その後、シャーマンのジョージア軍に加わり、「海への進軍」に参加しました。

「海への進軍」では、ウィリアムズが再び軍団長となり、カロライナ方面作戦まで指揮を執りました。スローカムはジョージア軍の司令官に昇進しました。第20軍団は、12月のサバンナで重要な役割を果たし、カロライナ方面作戦全体を通じて多くの戦闘に参加しました。特にベントンビルの戦いでは、南軍のジョセフ・ジョンストン将軍による反撃の大部分を吸収しました。この戦いでジョンストン軍を殲滅できなかったため、シャーマンはウィリアムズに代えて、より積極的なジョセフ・マウワー将軍を軍団長に据えました。

戦争終了後、第20軍団はワシントンでの大観閲式に参加し、1865年6月に解散しました。

歴代軍団長

ジョセフ・フッカー：1864年4月14日 - 1864年7月28日
アルフェウス・ウィリアムズ：1864年7月28日 - 1864年8月27日
ヘンリー・W・スローカム：1864年8月27日 - 1864年11月11日
アルフェウス・ウィリアムズ：1864年11月11日 - 1865年4月2日
ジョセフ・マウワー：1865年4月2日 - 1865年6月4日

まとめ

二つの第20軍団は、それぞれ異なる歴史と役割を持っていました。マクックの第20軍団は、チカマウガの戦いで大きな損害を受け、その歴史は短命に終わりました。一方、フッカーの第20軍団は、アトランタの戦いから海への進軍、カロライナ方面作戦まで、多くの重要な戦いに参加し、その名を歴史に刻みました。両軍団の存在は、南北戦争の複雑な歴史を物語る上で重要な要素となっています。

もう一度検索