第3師団 (日本軍)とは？意味をやさしく解説

第3師団について

第3師団は、大日本帝国陸軍に所属していた師団の一つであり、その起源は1873年（明治6年）に設置された名古屋鎮台に遡ります。1888年（明治21年）に全国の鎮台が師団へと改編される中で、第3師団として新たなスタートを切りました。陸軍の数多くの師団の中でも、最も古い歴史を持つ師団の一つとして知られています。

戦歴

日清・日露戦争

第3師団は、日清戦争において朝鮮半島に上陸し、平壌攻略戦や海城・牛荘の戦いに参加しました。続く日露戦争では、南山会戦、遼陽会戦、沙河会戦、奉天会戦といった主要な戦いに投入されました。特に遼陽会戦では、隷下の歩兵第34連隊第1大隊の活躍が顕著であり、橘周太の功績も特筆されます。

その他の戦役

1912年（大正元年）には、第3師団軍楽隊が名古屋市に設置されました。また、1918年には兵器部が業務を開始しています。1913年には、名古屋周辺で行われた陸軍特別大演習に参加しました。シベリア出兵では、ザバイカル方面で革命軍と交戦し、チェコ軍団の救援に当たりました。さらに、山東出兵にも参加しています。

1930年（昭和5年）には、昭和天皇が静岡県内を訪問中に野戦重砲兵第2連隊を視察しました。同年の北伊豆地震発生時には、三島に駐屯していた野戦重砲兵第2連隊と第3連隊が救援活動に出動し、名古屋からも工兵部隊や救護班が派遣されました。

1934年（昭和9年）には満洲駐屯を命じられ、約2年間滞在した後、1936年に帰国しました。

日中戦争

満洲からの帰国後、1937年（昭和12年）に日中戦争が勃発すると、第3師団は上海派遣軍の指揮下に入り、上海郊外の呉淞に上陸しました。呉淞での中国軍の抵抗は激しく、第9師団や第13師団などの増援を得て戦いを続けました。その後、南京攻略戦にも参加しています。

1938年（昭和13年）には中支那派遣軍戦闘序列に編入され徐州会戦に参戦し、その後武漢作戦にも参加しました。戦線が膠着した後も、多くの師団が復員する中で、第3師団は華中方面に駐屯し続けました。

太平洋戦争

太平洋戦争開戦後も、第11軍隷下として華中各地で作戦に参加しました。1944年（昭和19年）には大陸打通作戦の一環として湘桂作戦に参戦し、広西省に進攻、零陵飛行場や桂林第1飛行場を占領しました。作戦終了後は、柳州の南側、南寧方面の警備を担当しました。

1945年（昭和20年）に入ると戦局の変化に伴い、広西省方面の日本軍は撤退を開始しました。第3師団は上海方面に移動中に終戦を迎えました。

歴代師団長

第3師団には、多くの将官が師団長として在籍しました。以下はその一部です。

黒川通軌中将
桂太郎中将
長谷川好道中将
児玉源太郎中将
大島義昌中将
松永正敏中将
大久保春野中将
渡辺章中将
上原勇作中将
岡市之助中将
仙波太郎中将
大庭二郎中将
菊池慎之助中将
武藤信義中将
浜面又助中将
井上幾太郎中将
安満欽一中将
小泉六一中将
坂部十寸穂中将
川島義之中将
若山善太郎中将
岩越恒一中将
伊東政喜中将
藤田進中将
山脇正隆中将
豊島房太郎中将
高橋多賀二中将
山本三男中将
辰巳栄一中将

歴代参謀長

師団長を補佐する参謀長も、多くの人物が務めました。以下はその一部です。

阪元純熈歩兵大佐
立見尚文歩兵大佐
井上光歩兵大佐
木越安綱歩兵大佐
仙波太郎歩兵大佐
島村干雄歩兵大佐
山田忠三郎歩兵大佐
山梨半造歩兵中佐
福田雅太郎歩兵中佐
西川虎次郎歩兵中佐
尾藤知勝歩兵大佐
神頭勝弥歩兵大佐
高橋於兎丸歩兵大佐
奥村拓治歩兵大佐
篠田次助歩兵大佐
秦真次歩兵大佐
工藤豪吉歩兵大佐
倉岡直熊砲兵大佐
谷寿夫歩兵大佐
山田健三歩兵大佐
犬塚博砲兵大佐
佐藤正三郎歩兵大佐
樋口季一郎歩兵大佐
田尻利雄歩兵大佐
斎藤正鋭歩兵大佐
遠藤新一歩兵大佐
樋口敬七郎歩兵大佐
山本清衛大佐
村岡弘中佐
福山寛邦大佐
有馬純雄大佐

編制

第3師団は、創設当初から数度の編制改正が行われました。当初は鎮台を母体とし、その後、師団としての編制を確立しました。1941年（昭和16年）には、歩兵第18連隊を第29師団に転用し、三単位編制に改編されました。

その他

1876年（明治9年）には、岐阜県内に砲兵演習場が開設されました。この演習場は、後に陸軍の飛行場となり、第二次世界大戦後は進駐軍や駐留米軍の基地を経て、現在は航空自衛隊の岐阜基地となっています。

参考文献

外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
福川秀樹『日本陸軍将官辞典』芙蓉書房出版、2001年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。

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