舟伏山 (本巣市・山県市)

舟伏山（ふなぶせやま、ふなふせやま）



概要



舟伏山は、岐阜県本巣市と山県市にまたがる標高1,040.3mの山です。越美山地に属し、濃尾平野や岐阜市郊外からも見える、船を伏せたような平坦な尾根が特徴的です。この独特な山容が山名の由来とされています。

地質



地質は、中生代ジュラ紀の美濃帯堆積岩コンプレックスに属する「舟伏山石灰岩」で構成されています。この石灰岩は、ペルム紀の石灰岩、チャート、玄武岩などから成り、海山頂部を覆う浅海堆積物です。ゴンドワナ大陸の氷河作用に伴う海面変動の影響で、石灰岩中に石炭層が挟まれているのが特徴です。東山麓には美山鉱山があり、ドロマイトを産出しています。また、舟伏山石灰岩からは、多数の紡錘虫化石が発見されており、古生物学的にも貴重な場所です。

植物



山頂付近は、スギなどの植林地と広葉樹林が混在しており、イワザクラ、カタクリ、スミレ、ニリンソウ、バイケイソウ、ヒトリシズカなど、多様な山野草が自生しています。特に、イワザクラは山県市によって保護条例が制定され、保護と増殖が図られています。

登山



舟伏山は登山対象の山としても人気があり、主な登山ルートとして、美山あいの森からの周回ルートがあります。このルートは岐阜県によって技術的難易度が低く、体力度も小程度と評価されており、日帰りで気軽に楽しめます。また、ぎふ百山にも選定されており、山頂からは能郷白山や高賀山などの山々、濃尾平野を一望できます。

主な登山道



  • - 美山あいの森からの東ルート：あいの森 - 桜峠 - みのわ平 - 水たまり - 舟伏山
  • - 美山あいの森からの西ルート：あいの森 - 阿弥陀仏 - 展望台 - 小舟伏 - 舟伏山
  • - 夏坂谷出合からのルート：夏坂谷出合 - 石仏 - 桜峠 - みのわ平 - 水たまり - 舟伏山

地理



舟伏山は、福井県と岐阜県の県境付近に位置する越美山地の一部です。左門岳から南に派生する尾根の中間に位置し、山頂から西南西には小舟伏と呼ばれるピークがあります。山域の南西側には濃尾断層帯の武儀川断層が通っています。

周辺の山



周辺には、以下のような山々があります。


河川



舟伏山は、木曽川水系の複数の河川の源流となる山です。これらの河川は太平洋側の伊勢湾へと流れ込み、揖斐川と長良川の分水嶺を形成しています。

源流の河川



  • - 橋ヶ谷、夏坂谷：神崎川（武儀川の支流）の支流
  • - 道谷、初鹿谷：根尾東谷川（揖斐川の支流）の支流

交通・アクセス



舟伏山へのアクセスには、樽見鉄道樽見線樽見駅や東海北陸自動車道美濃インターチェンジが利用できます。山麓には岐阜県道200号神崎高富線や岐阜県道255号根尾谷汲大野線が通り、集落と結ばれています。また、夏坂林道が南側の山域に敷設されています。

舟伏山の風景



舟伏山の特徴的な山容は、遠くからでもよく目立ちます。特に南東山麓の神崎川沿いの集落からは、その美しい姿を望むことができます。

脚注



注釈



出典



参考文献



  • - 河田茂磨「岐阜県舟伏ドロマイト鉱床について」『石膏と石灰』第36巻、石膏石灰学会、1958年
  • - 『関西の山あるき100選』昭文社、2003年
  • - 岐阜県山岳連盟『ぎふ百山』岐阜新聞社、1987年
  • - 徳久球雄 編『コンサイス日本山名辞典』（修訂版）三省堂、1992年
  • - 島田靖、堀井啓介、木下喜代男『岐阜県の山』山と溪谷社、1998年
  • - 鈴木舜一「美濃帯二畳系舟伏山石灰岩中の無煙炭の石炭組織と堆積環境」『地質學雜誌』第103巻第9号、日本地質学会、1997年
  • - 日本山岳会『新日本山岳誌』ナカニシヤ出版、2005年
  • - 松丸国照「513. 岐阜県山県郡舟伏山石灰岩からの紡錘虫」『日本古生物学會報告・紀事 新編』第1966巻第64号、日本古生物学会、1966年
  • - 与呉日出夫『改訂新版 名古屋周辺の山』山と溪谷社、2010年
  • - 吉川幸一『こんなに楽しい岐阜の山旅100コース 美濃〈下〉』風媒社、2003年
  • - 脇田浩二「谷汲地域の地質」『地域地質研究報告(5万分の1地質図幅)』、地質調査所、1991年

関連項目




外部リンク



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