西園寺公相

西園寺公相（さいおんじ きんすけ）

西園寺公相は、鎌倉時代前期から中期にかけて活躍した公卿です。太政大臣を務めた西園寺実氏の二男として生まれ、冷泉相国と号しました。西園寺家においては初めて左大臣に任ぜられるなど、異例の昇進を遂げました。

経歴

元仁2年（1225年）に従五位下に叙爵されたのを皮切りに、順調に昇進を重ねます。文暦2年（1235年）には播磨介として国司も務めました。嘉禎2年（1236年）に従三位となり、公卿の仲間入りを果たします。その後、延応元年（1239年）に従二位・権大納言、仁治2年（1241年）に正二位と昇進。建長5年（1253年）には左近衛大将に任命され、建長6年（1255年）には右大臣、正嘉元年（1257年）には従一位、正嘉3年（1259年）には左大臣、そして弘長元年（1262年）には太政大臣にまで上り詰めました。しかし、文永4年（1267年）に父に先立ち、45歳という若さでこの世を去りました。

西園寺家家嫡をめぐる事情

当初、実氏の長男である公基が嫡男として扱われていたようですが、本郷和人氏の研究によれば、公基の生母が九条道家の側近の娘であったことが影響し、九条家と幕府の間の軋轢を懸念した実氏が、次男である公相を家嫡に変更したとされています。ただし、公相の生母の出自はそれほど高くなかったようです。

公相にまつわる奇妙な話

『増鏡』の増補本系本文には、公相にまつわる奇妙な話が記されています。「第八　山のもみぢ葉」中には、「公相の述懐」と「公相の死」が描かれており、自身が父よりも早く死ぬだろうと予感していたことや、薨去した際に棺から首が盗み取られ、外法に使われたという記述があります。また、『徒然草』第114段には、随身が漏らした御者への悪口を聞き咎めて暴行を加えるという、公相の激しい気性が窺えるエピソードが紹介されています。

琵琶秘曲伝授との関わり

西園寺家では、藤原実宗が藤原師長を琵琶の師として以来、代々琵琶の秘曲伝授に関わってきました。公相もその例に漏れず、仁治元年（1240年）に藤原孝道から秘曲楊真操の伝授を受けた記録が残っています。また、『文机談』にも公相が琵琶秘曲伝授に関わっていたことを示す記述が見られます。建長4年（1252年）には、後深草天皇が琵琶を始めた際の伝授者として関わったことが「冷泉相国記」に記されています。

官歴

元仁2年（1225年）正月23日：従五位下
嘉禄3年（1227年）2月1日：従五位上（安嘉門院御給）
安貞3年（1229年）正月30日：侍従
寛喜2年（1230年）正月24日：正五位下（安嘉門院御給）
寛喜3年（1231年）3月6日：従四位下（天皇行幸中宮御產所大夫賞讓）
寛喜4年（1232年）正月12日：従四位上（朝覲内大臣亭院司賞讓）
貞永2年（1233年）正月24日：左近衛中将
文暦2年（1235年）正月23日：播磨介
文暦2年（1235年）6月17日：正四位下
嘉禎2年（1236年）4月14日：従三位
嘉禎3年（1237年）正月5日：正三位
嘉禎4年（1238年）3月7日：権中納言
延応元年（1239年）4月13日：従二位
延応元年（1239年）10月28日：権大納言
仁治2年（1241年）正月5日：正二位
仁治3年（1242年）8月9日：中宮大夫（册命日）
寛元元年（1243年）8月10日：春宮大夫（立坊日）
寛元4年（1246年）正月29日：止大夫（依受禪也）
建長2年12月24日（1251年1月）：右近衛大将
建長2年12月29日（1251年1月）：右馬寮御監
建長4年（1252年）11月13日：内大臣
建長5年（1253年）4月8日：左近衛大将
建長6年12月25日（1255年1月）右大臣
建長7年（1255年）8月21日：賜左右近衛番長各一人近衛各4人　随身兵仗
正嘉元年（1257年）5月7日：従一位
正嘉元年（1257年）11月：辞職
正元元年（1259年）11月14日：左大臣
弘長元年12月15日（1262年1月）：太政大臣

系譜

父：西園寺実氏
母：家女房
妻：徳大寺教子 - 徳大寺実基の娘
妻：八十前 - 三条局、大外記中原師朝の娘
長男：西園寺実兼（1249-1322）
女子：西園寺嬉子（今出河院）（1252-1318） - 亀山天皇中宮
妻：藤原定家の娘
三男：西園寺実顕（?-1272）
妻：園基氏の娘
四男：橋本実俊（1260-1341）
生母不明の子女
二男：西園寺実康
男子：尊教 - 天台座主（1248-?）
男子：勝恵（1258-1299）
男子：実守（1238-?）
二女：西園寺相子 - 後深草天皇後宮
女子：近衛基平正室
女子：徳大寺実孝室
女子：九条忠教室
養子
* 女子：寿子 - 藤原景房の娘、大宮院女房

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