趙誘

趙誘（ちょう ゆう）

趙誘（生年不詳 - 317年）は、西晋末期から東晋初期にかけての官僚・軍人であり、字は元孫と称しました。淮南郡の出身で、子には趙龔と、東晋で平西将軍となった趙胤がいます。彼は西晋末期の混乱期における反乱鎮圧で活躍しましたが、最終的には杜曾との戦いに敗れて討死しました。

生涯

趙誘は西晋に仕え、当初は揚州刺史であった郗隆（き りゅう）の主簿を務めていました。永康2年（301年）3月、趙王司馬倫の専横を討つべしという斉王司馬冏の檄文が揚州に届いた際、郗隆は対応を協議するため、配下の官僚たちを集めました。この時、趙誘は虞潭（ぐ たん）と共に、「趙王の簒逆は誰もが憎むところであり、各地で義兵が蜂起し、必ずや趙王を打ち破るでしょう。自ら精兵を率いて許昌へ向かうのが最良の策であり、将兵を派遣して加勢するのが次善の策、少数の兵を派遣して形ばかりの助勢をするのは下策です」と進言しました。しかし、郗隆は煮え切らない態度を取り続けたため、参軍の王邃（おう すい）に攻められ、子息や別駕の顧彦（こ げん）と共に殺害されるという結末を迎えました。

郗隆の死後、趙誘は官を辞して故郷に帰り、門を閉ざして世間との関わりを避ける生活を送りました。しかしその後、左将軍の王敦（おう とん）にその能力を認められ、参軍として迎えられ、広武将軍の位も加えられました。

永嘉5年（311年）6月には、歴陽内史の甘卓（かん たく）や揚烈将軍の周訪（しゅう ほう）と共に、華軼（か いつ）討伐に参加し、これを打ち破るという功績を挙げました。さらに、永嘉7年（313年）8月には、西晋に反乱を起こした杜弢（ととう）討伐に龍驤将軍の陶侃（とう かん）の指揮下に入り、振威将軍の周訪と共に先鋒を務め、杜弢軍を破りました。陶侃が荊州刺史に転任した後、趙誘は武昌郡太守に任じられました。

その後も、趙誘は甘卓と共に杜弢討伐に尽力し、その滅亡に大きく貢献しました。これらの長年にわたる功績が認められ、平阿県侯に封じられることとなりました。

建武元年（317年）8月、大将軍王敦の命により、襄陽郡太守の朱軌（しゅ き）や将軍の李恒（り こう）と共に、荊州で反乱を起こした鄭攀（てい はん）らを討伐しました。鄭攀らは恐れをなし、司馬孫景（しば そんけい）が主犯であるとして彼を斬り、降伏しました。

しかし、同年9月、荊州刺史の王暠（おう こう）の命により、朱軌や陵江将軍の黄峻（こう しゅん）と共に反乱を起こした杜曾（と そう）と女観湖で戦った際、趙誘らは敗北し、趙誘自身も子の趙龔（ちょう きょう）と共に討ち取られてしまいました。

趙誘の死を惜しんだ王敦は、彼に対し征虜将軍・秦州刺史の官位を贈るよう上表し、敬という諡号を贈りました。また、晋王司馬睿（しば えい）は、趙龔に対し新昌郡太守の官位を贈りました。

参考文献

『晋書』巻6、巻57 - 巻58、巻61、巻66、巻81、巻100
『資治通鑑』巻84、巻89 - 巻90

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