趙胤

趙胤（ちょう いん）

趙胤（生没年不詳）は、東晋時代の軍人。字は伯舒。淮南郡の出身。父は広武将軍の趙誘。数々の反乱鎮圧に従事し、東晋の安定に大きく貢献した。

生涯

若き日の苦難と初陣

建武元年（317年）9月、父の趙誘と兄の趙龔が、反乱を起こした杜曾の討伐中に戦死。龍驤将軍の周訪が杜曾討伐のために派遣され、沌陽に進軍。趙胤は父の残兵を率いてこれに参加し、左軍に配属された。当初は劣勢であったが、周訪に状況を報告し叱咤激励を受け、奮戦。最終的に周訪軍が杜曾軍を破り、勝利に貢献した。

杜曾討伐後の非情な一面

大興2年（319年）5月、周訪が杜曾を捕らえ、王敦の元へ送った。周訪は杜曾の才能を惜しみ助命を嘆願したが、杜曾に討たれた朱軌の子である朱昌が仇討ちを望み、王敦は杜曾を処刑。趙胤は朱昌と共に、杜曾の肉を細かく切って食べたという。

朝廷への貢献

その後、王導によって従事中郎に任じられた。

太寧2年（324年）7月、沈充と銭鳳が反乱を起こし、建康へ攻め寄せた。建威将軍に任じられていた趙胤は、応詹らと共に迎撃するも劣勢となり、宣陽門まで侵入を許してしまう。しかし、劉遐と蘇峻の援軍により沈充軍を破り、数千の首を討ち取る戦果を挙げた。

王敦の乱平定後、湘南県侯に封じられ、多くの褒賞を受けた。

咸和元年（326年）6月、劉遐の元部下であった田防らが謀反を起こすと、右衛将軍に任じられていた趙胤は郭黙と共に鎮圧。

10月には、司馬宗が謀反したという訴えを受け、庾亮の命により司馬宗を討ち取った。

蘇峻の乱と晩年

咸和2年（327年）12月、蘇峻の乱が勃発。趙胤は冠軍将軍・歴陽郡太守に任じられ、鍾雅の指揮下で蘇峻軍の迎撃に参加する。しかし、兵が少ないため建康へ戻った。

咸和3年（328年）1月、卞壼・鍾雅らの指揮下で蘇峻軍と戦うも大敗。庾亮らと共に尋陽へ敗走した。

10月、温嶠と共に蘇峻軍と戦うが再び敗北。

咸和4年（329年）1月、部将に歴陽を攻めさせる。

咸和5年（330年）1月、郭黙が反乱を起こすと、庾亮の指揮下に入り鎮圧。

咸和7年（332年）3月、後趙の馬頭塢を攻略。

咸康元年（335年）4月、後趙の石虎が歴陽に侵攻すると、慈湖に屯した。

永和元年（345年）、西豫州刺史に任じられるが、在任中に亡くなった。

人物・逸話

咸和8年（333年）、王導が趙胤を護軍将軍に任じようとした際、孔愉が反対したが、王導はこれを聞き入れなかった。

咸康4年（338年）、王導が政治を担っていた頃、軍事面は趙胤らに委ねられていたが、彼らは法を守らないことが多く、大臣たちから疎まれていたという。

参考文献

『晋書』巻6 - 巻7、巻57 - 巻58、巻63、巻70、巻73、巻78、巻98、巻100
『資治通鑑』巻90、巻93 - 巻94、巻96
* 『十六国春秋』巻13、巻15

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