飯田美花

飯田 美花

（いいだ みか）

1992年3月23日生まれ、青森県東津軽郡平内町出身の元女子プロレスラー。青森県立青森高等学校を卒業している。

NEO女子プロレスの最後の新人として知られ、団体が解散を控えていることを知りながらも入団を決意したという逸話を持つ。当時の社長からは「半年も続かないだろう」と思われていたが、その予想に反して7年以上のキャリアを築いた。

経歴

デビューとNEO時代

2010年11月14日、名古屋スポルティーバアリーナでのエキシビションマッチを経てプレデビュー。同年11月21日、大阪府立体育会館第2競技場にて、NEO二冠王座戦を控えていた田村欣子選手とのシングルマッチで公式デビューを飾った。デビュー戦の相手を一度もしたことがなかったという田村選手が、飯田選手との対戦を選んだのは、自身の選手名鑑に「デビュー戦 対田村欣子」と載せたいという飯田選手の強い希望に応えたものだったという。デビュー戦は完敗に終わったが、この異例のカードは注目を集めた。

NEO在籍中は、新人ながら昼夜興行のダブルヘッダーに参戦するなど、精力的に活動。団体最終興行では、学年は下だがキャリアで勝る花月選手と対戦した。

フリーランス時代と他団体での経験

2011年1月のNEO解散後、フリーランスとして活動を開始。アイスリボン、19時女子プロレス、OSAKA女子プロレス、プロレスリングWAVE、REINA女子プロレス、アパッチプロレス軍など、様々な団体のリングに上がった。アイスリボンではNEO解散後初の試合を行い、19時女子プロレスでは真琴選手、都宮ちい選手組を相手に初勝利を挙げている（パートナーは藤本つかさ選手）。また、アイスリボンの道場マッチでは、宮城もち選手から得意技の一つである津軽固めでシングル初勝利を飾った。

プロレスリングWAVEには2011年2月に初参戦し、栗原あゆみ選手とシングルマッチを行った後、栗原選手に弟子入りを志願。以降、栗原選手との関係を深め、合同興行「栗ご飯」を開催するなど、公私にわたって親交を深めた。栗原選手のドロップキックの技術などを高く評価され、その影響は自身のファイトスタイルにも見られる。

度重なる負傷と復帰

順調にキャリアを積む中、度重なる負傷に見舞われた。2011年7月には右目眼窩底骨折により長期欠場。復帰後も、2012年11月にはみちのくプロレス青森大会参戦中に右膝前十字靭帯を断裂し、再び長期欠場に入った。手術を決断し、復帰に向けてのリハビリに取り組んだ。WAVEでは「飯田エイド」と称した支援興行も開催された。

WAVE入団とタイトル獲得

2013年7月、栗原あゆみ選手の引退興行で復帰。その後ZABUN所属となり、プロレスリングWAVEへの正式入団を発表した。入団当初は負傷のリハビリのため欠場が続いたが、GAMI選手引退記念試合での本格復帰を皮切りに、WAVEの主要選手として活躍。若手中心ブランド「YOUNG OH! OH!」での人気投票1位獲得や、ZAN1（年間総合順位）での上位進出など、着実に実績を積み重ねた。

2014年7月24日、旧姓・広田さくら選手とのタッグでヤンキー二丁拳銃、Las Aventurerasを破り、第11代DUAL SHOCK WAVE王座を獲得。タッグタイトル獲得というキャリアの大きな一歩を踏み出した。また、Regina di WAVE（WAVE認定シングル王座）にも挑戦するなど、団体のトップ戦線に食い込んだ。

引退

2017年8月、頸椎損傷のため再び欠場するが、同年11月に復帰。しかし、2018年5月4日のWAVE後楽園ホール大会をもって引退することを発表した。引退発表後の2017年ZAN1では初の1位を獲得。引退間際にはスペインでの海外遠征やモデル活動も行った。

2018年4月、引退前のシングル5人掛けに挑むが、肩を脱臼し途中中止となるアクシデントに見舞われた。そして迎えた5月4日の後楽園ホールでの引退興行。第1試合で、4月のシングルマッチが中止になった長浜浩江選手と再戦（当初予定の5分から、飯田選手本人の希望で15分1本勝負に変更）するも敗北。メインイベントの引退試合では、桜花由美選手、長浜浩江選手と組み、山下りな選手、小林香萌選手、夏すみれ選手組と激突したが、これも敗れた。

試合後には多くの関係者やファンが見守る中、引退セレモニーが行われ、NEOやWAVEのOG、各団体からの選手が集結した。飯田選手の挨拶の後、10カウントゴングが鳴らされ、約7年5ヶ月のプロレスラー人生にピリオドを打った。

人物

青森県でホタテの養殖業を営む実家を持ち、コスチュームにはホタテのマークがデザインされていた。NEO解散を知りながら入団したことや、19時女子プロレスで先輩である志田光選手に新人らしからぬ態度を見せるなど、飄々としていながらも度胸と茶目っ気を併せ持つユニークなキャラクターとしてファンに親しまれた。アイスリボンの大会では入場式で小ネタを披露することもあった。

引退後は一般企業に就職し、現在はプロレス界からは離れて生活している。趣味でバンド活動も行い、イベントに出演したこともある。

所属

NEO女子プロレス（2010年）
フリーランス（2011年 - 2013年8月）
ZABUN（2013年8月）
プロレスリングWAVE（2013年8月 - 2018年5月）

得意技

ヨーロピアンクラッチ（主なフィニッシュホールド。参戦団体により「東津軽クラッチ」など名称が変わる）
エウロパ（カサドーラからのヨーロピアンクラッチ）
直伝雁之助クラッチ（ミスター雁之助直伝）
ドロップキック
タニバット（タニー・マウス伝承）
河津落とし
津軽固め（グラウンド卍固め）
津軽海峡冬固め（変型サーフボードストレッチ）
ジャベ・デ・フカワ（足極め式キャメルクラッチ、府川唯未伝授）

獲得タイトル

第11代DUAL SHOCK WAVE王座（パートナー：旧姓・広田さくら）

メディア出演等

イメージビデオ「おかわり。」（2016年）
モデルとして「アイドル×レスラー展」（2018年）、「レスラーズグラフィカ」（2018年）に参加。
* 週刊プロレスEXTRA「エロカワ主義V」にてグラビア掲載。

飯田美花は、そのユニークな出自とキャラクター、そして度重なる怪我を乗り越えてリングに立ち続けた不屈の精神で、多くのファンの記憶に残る女子プロレスラーである。

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