鶴見 (横浜市)

神奈川県 横浜市鶴見区の鶴見について

鶴見は、横浜市鶴見区の中部に位置し、JR京浜東北線鶴見駅の南西に広がる丘陵地帯です。現在の行政地名は鶴見一丁目と鶴見二丁目で、住居表示が実施されています。かつて存在した鶴見町（1980年廃止）についても、この項で解説します。

地理

鶴見区の中央部に位置し、北から北東にかけて主要地方道鶴見駅三ツ沢線を挟んで寺谷一丁目や豊岡町と、南東はJR鶴見線・東海道本線の線路を挟んで鶴見中央五丁目や生麦五丁目と接しています。南部の花月園跡は岸谷三・四丁目に囲まれ、西側の一角には東寺尾東台が入り組んでいます。北西は東寺尾中台に接しています。町域の南部約1/3が一丁目、北部2/3が二丁目です。鶴見区役所などの主要な官公庁や商店街は、隣接する鶴見中央に集中しており、鶴見は区の中枢機能は担っていません。

一丁目の特徴

一丁目には、1087年に開創された真言宗東福寺があります。1914年には東福寺の敷地内に花月園遊園地が開園しましたが、1946年に閉園しました。その後、1950年には花月園競輪場がオープンしましたが、2010年に運営を終了しました。現在は、競輪場跡地と隣接するJFEスチール社宅跡地が、防災公園や住宅地として再開発されています。

二丁目の特徴

二丁目には、1575年に鶴見区寺尾で開創された曹洞宗成願寺が、元和年間（1615年～1623年）に移転してきました。また、石川県輪島市にあった曹洞宗大本山總持寺が、1898年の火災を機に交通の便の良い関東に移転することになり、成願寺の敷地が選ばれました。總持寺は1911年に現在地に移転し、成願寺は東隣の豊岡町に移転しました。鶴見臨港鉄道（現在のJR鶴見線）には、1930年から1942年にかけて本山駅が設けられ、参拝客で賑わいましたが、鉄道の拡幅工事などにより門前町としての街並みは失われています。總持寺の周辺には、学校法人総持学園による鶴見大学、短期大学部、附属中学校・高等学校、附属三松幼稚園、および鶴見大学歯学部附属病院があります。

面積

鶴見の面積は以下の通りです。

鶴見一丁目: 0.219 km²
鶴見二丁目: 0.357 km²

地価

2024年 1月1日の公示地価によれば、鶴見1-7-19の地点で33万5000円/m²となっています。

歴史

「鶴見」という地名は、鎌倉時代から室町時代にかけて「鶴見郷」という郷名として見られ、「大山郷」の別名も持っていました。地名学では、「ツル」は河川の周囲、「ミ」は出入り変曲した地形に対し「～の周り」を意味する接尾語として用いられるとされており、鳥類のツルとは直接の関係はないと考えられています。江戸時代には、橘樹郡鶴見村が成立しました。天保郷帳によると石高は655石余り、『新編武蔵風土記稿』によると、江戸から5里あまり、東西9町余り、南北11町ほどで、家数は120件でした。

1889年 4月1日、鶴見村は生麦村、東寺尾村、馬場村の一部と合併して生見尾村となり、鶴見はその大字となりました。1921年 4月1日には、生見尾村が町制を施行し、鶴見町となりました。この頃、都市近郊の農地では「ツルミの赤茄子」と呼ばれるトマトが栽培されていました。1927年 4月1日には、橘樹郡鶴見町が横浜市に編入され、同年10月1日には区制施行により横浜市鶴見区の町名、鶴見区鶴見町となりました。1972年 6月5日には、鶴見町の一部から鶴見一・二丁目が新設され、同時に住居表示が実施されました。

鶴見町域の変遷

横浜市に編入されてから、耕地整理などにより数度にわたり、鶴見町は周辺の町と境界を変更しました。1928年 3月15日には上末吉町および市場町に鶴見町の町域の一部が編入され、1929年には東寺尾町と境界を変更するとともに馬場町の一部を編入しました。1936年には生麦町と境界を変更するとともに東寺尾町の一部を編入し、1937年には鶴見町の一部が下末吉町に、1939年には北寺尾町と東寺尾町に編入されました。1959年には鶴見町の一部が東寺尾町に編入され、翌年には東寺尾町の一部が鶴見町に編入されました。1967年5月1日には、鶴見町の一部が生麦五丁目となり、生麦町の一部を編入しました。1969年6月1日には、鶴見町の一部が下末吉一・二丁目となり、下末吉町の一部を編入しました。1972年 6月5日には、鶴見町の一部から鶴見一・二丁目、寺谷一・二丁目、東寺尾東台、諏訪坂が新設されました。1979年7月23日には佃野町と豊岡町が新設され、残りの町域は1980年 7月28日に鶴見中央一～五丁目となり、町名としての鶴見町は消滅しました。

世帯数と人口

2024年 4月30日現在の世帯数と人口は以下の通りです（横浜市発表）。

世帯数：2,250世帯
人口：4,157人

人口の変遷

国勢調査による人口の推移は以下の通りです。

2020年：4,126人
2015年：4,022人
2010年：3,906人
2005年：3,901人
2000年：3,882人

世帯数の変遷

国勢調査による世帯数の推移は以下の通りです。

2020年：2,049世帯
2015年：1,958世帯
2010年：1,853世帯
2005年：1,835世帯
2000年：1,790世帯

学区

市立小・中学校に通う場合、学区は以下の通りです（2023年4月時点）。

小学校：横浜市立鶴見小学校
中学校：横浜市立鶴見中学校

事業所

2021年の経済センサス調査によると、事業所数と従業員数は以下の通りです。

事業所数：115事業所
従業員数：1,163人

事業所数の変遷

経済センサスによる事業所数の推移は以下の通りです。

2021年：115事業所
2016年：117事業所
2011年：111事業所

従業員数の変遷

経済センサスによる従業員数の推移は以下の通りです。

2021年：1,163人
2016年：1,200人
2011年：1,041人

その他

日本郵便

郵便番号：230-0063（集配局：鶴見郵便局）

警察

町内の警察の管轄区域は以下の通りです。

鶴見警察署

参考文献

『角川日本地名大辞典 14 神奈川県』角川書店、1984年6月8日。
横浜市市民局総務部住居表示課『横浜の町名』1996年12月。
『県別マップル14 神奈川県道路地図』（第6版）昭文社、2016年、12頁。ISBN 978-4-398-62683-7。
「鶴見村」『新編武蔵風土記稿』巻ノ66橘樹郡ノ9、内務省地理局、1884年6月。NDLJP:763984/68。
“横浜市町区域要覧” (PDF). 横浜市市民局 (2016年6月).