黒シリーズ

黒シリーズについて

黒シリーズは、1962年から1964年にかけて大映東京撮影所と京都撮影所によって制作された、全11作品からなる映画シリーズです。各作品のタイトルに「黒の」という言葉が共通して使われているため、シリーズとしてまとめて呼ばれることが一般的です。

各作品は独立したストーリーで構成されており、直接的な繋がりはありません。しかし、どの作品も高度経済成長期における企業間の激しい競争や、土地買収の裏に潜む政治的な陰謀などをテーマにしており、当時の社会の光と影を色濃く映し出しています。登場人物たちは、それぞれの欲望や野心のために手段を選ばない行動を取り、観る者に強烈な印象を与えます。

シリーズ作品一覧

以下に、黒シリーズの全11作品を公開順に紹介します。

1. 黒の試走車 (1962年、大映東京)
監督: 増村保造
脚本: 舟橋和郎、石松愛弘
原作: 梶山季之「黒の試走車」
音楽: 池野成
出演: 田宮二郎、叶順子、船越英二、他

2. 黒の報告書 (1963年、大映東京)
監督: 増村保造
脚本: 石松愛弘
構成: 増村保造
原作: 佐賀潜「華やかな死体」
音楽: 池野成
出演: 宇津井健、叶順子、高松英郎、他

3. 黒の札束 (1963年、大映東京)
監督: 村山三男
脚本: 高岩肇
原作: 佐野洋「重い札束」
音楽: 土橋啓二
出演: 川崎敬三、三條江梨子、高松英郎、他

4. 黒の死球 (1963年、大映東京)
監督: 瑞穂春海
脚本: 田口耕三
原作: 高原弘吉「あるスカウトの死」
音楽: 奥村一
出演: 宇津井健、藤由紀子、倉石功、他

5. 黒の商標 (1963年、大映東京)
監督: 弓削太郎
脚本: 長谷川公之
原作: 邦光史郎「仮面の商標」
音楽: 池野成
出演: 宇津井健、藤由紀子、高松英郎、他

6. 黒の駐車場 (1963年、大映東京)
監督: 弓削太郎
脚本: 星川清司、石松愛弘
原作: 黒岩重吾「廃墟の唇」
音楽: 池野成
出演: 田宮二郎、藤由紀子、中田康子、他

7. 黒の爆走 (1964年、大映東京)
監督: 富本壮吉
脚本: 舟橋和郎、小滝光郎
音楽: 池野成
出演: 田宮二郎、藤由紀子、藤巻潤、他

8. 黒の挑戦者 (1964年、大映京都)
監督: 村山三男
脚本: 松浦健郎、石松愛弘
原作: 島田一男「屍蝋の市場」
音楽: 浜口庫之助
出演: 田宮二郎、坪内ミキ子、藤原礼子、他

9. 黒の凶器 (1964年、大映京都)
監督: 井上昭
脚本: 舟橋和郎、小滝光郎
原作: 梶山季之「影の凶器」
音楽: 大塚善章
出演: 田宮二郎、浜田ゆう子、金子信雄、他

10. 黒の切り札 (1964年、大映東京)
監督: 井上梅次
脚本: 長谷川公之
音楽: 秋満義孝
出演: 田宮二郎、宇津井健、藤由紀子、他

11. 黒の超特急 (1964年、大映東京)
監督: 増村保造
脚本: 増村保造、白坂依志夫
原作: 梶山季之「夢の超特急」
音楽: 山内正
出演: 田宮二郎、藤由紀子、船越英二、他

シリーズの特徴

黒シリーズの最大の特徴は、当時の社会問題を背景にした、リアリティあふれる人間ドラマです。高度経済成長期の日本において、企業間の競争は激化し、その裏では様々な陰謀や不正が横行していました。このシリーズは、そうした社会の暗部を鋭く抉り出し、観る者に深い印象を与えます。また、各作品には、田宮二郎、宇津井健など、当時の人気俳優たちが多数出演しており、彼らの熱演も見どころの一つです。

黒シリーズは、単なる娯楽映画としてだけでなく、当時の社会情勢や人間心理を描いた社会派ドラマとして、今もなお多くのファンに愛されています。

もう一度検索