1892年の相撲

1892年の相撲界の動向

1892年は、相撲界にとって様々な出来事が起こった年でした。この年、大阪相撲では広角組が独自に興行を始め、東京相撲と大阪相撲がそれぞれ異なる動きを見せる一方、両者が合同で興行を行うなど、複雑な様相を呈していました。

広角組の独立と大阪相撲の分裂

大阪相撲では、広角組がそれまでの組織から独立し、大阪千日前にある三宅弥太郎の所有地を拠点として独自の興行を開始しました。この動きは、当時の相撲界における勢力図に変化をもたらすものでした。

関西法律学校相撲部の創部

現在では関西大学相撲部として知られる関西法律学校相撲部がこの年に創部されました。これは、学生相撲の発展における重要な一歩であり、後の相撲界に多くの人材を輩出する礎となりました。

天覧相撲の開催

7月9日には、鍋島直大侯爵邸にて明治天皇が行幸され、天覧相撲が披露されました。この天覧相撲は、相撲が日本の伝統文化として重要な位置を占めていることを示す出来事であり、相撲界にとって大きな名誉となりました。

本場所の開催状況

1892年には、東京相撲を中心に、大阪相撲との合併興行を含め、各地で本場所が開催されました。以下にその詳細を記します。

1月場所（東京相撲）
場所：本所回向院
日程：1月5日より晴天10日間
5月場所（東京大阪合併相撲）
場所：長堀土佐稲荷神社
日程：晴天10日間
備考：大阪方は広角組が参加したが、7日目で打ち切りとなった。
5月場所（京都大阪合併相撲）
場所：祇園北林
日程：晴天7日間
備考：4日目で打ち切りとなった。
6月場所（東京相撲）
場所：本所回向院
日程：6月1日より晴天10日間
10月場所（東京大阪合併相撲）
場所：難波新地新金刀比羅神宮
日程：晴天10日間

これらの場所では、様々な力士たちが熱戦を繰り広げ、多くの観客を魅了しました。特に東京相撲と大阪相撲の合併興行は、両者の力士が競い合う貴重な機会となりました。

1892年に誕生した主な力士・関係者

この年は、後の相撲界を担う多くの力士や関係者が誕生した年でもありました。以下に主な人物をまとめます。

2月5日 - 栃木山守也（第27代横綱、出羽海部屋所属）
3月18日 - 両國勇治郎（最高位：関脇、入間川部屋→出羽海部屋所属）
3月25日 - 御西山政夫（最高位：前頭6枚目、出羽海部屋所属）
4月1日 - 大ノ里萬助（最高位：大関、若松部屋→湊川部屋→出羽海部屋所属）
5月25日 - 綾錦由之丞（最高位：張出前頭（筆頭格）、追手風部屋→湊川部屋所属）
6月17日 - 二瀬川忠太郎（最高位：大関（大阪相撲）、朝日山部屋所属）
6月20日 - 16代式守伊之助（元・立行司、伊勢ノ海部屋→出羽海部屋所属）
7月6日 - 8代式守与太夫（元・三役格行司、伊勢ノ海部屋→錦嶋部屋所属）
11月26日 - 三杦磯善七（最高位：関脇、尾車部屋→峰崎部屋→片男波部屋→伊勢ノ海部屋所属）

これらの力士たちは、それぞれの時代で相撲界を盛り上げ、その名を歴史に刻みました。特に栃木山守也は、後の横綱として長く活躍し、多くのファンを魅了しました。

まとめ

1892年は、相撲界にとって変革の年であり、大阪相撲の分裂や合同興行、そして後の相撲界を支える多くの力士たちの誕生など、様々な出来事が重なりました。これらの出来事は、相撲の歴史を語る上で欠かせない重要な要素であり、今日の相撲界に繋がる礎となっています。

参考文献

* 酒井忠正『日本相撲史 中巻』ベースボール・マガジン社、1964年6月1日。

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