1962年の日本競馬

1962年（昭和37年）は、日本競馬界にとって変革の年でした。この年、数々の出来事が起こり、競馬のあり方や組織体制に大きな影響を与えました。以下にその詳細を記述します。

主な出来事

1月 - 3月

1月27日: 東京[[競馬場]]に新型トータライザーが完成し、1回東京開催初日から使用が開始されました。これにより、より正確かつ迅速な投票券の集計が可能となりました。
3月8日: オリンピック特例法の施行令が公布され、日本中央[[競馬会]]は農林大臣の許可を得て、2回中山・3回東京開催を「オリンピック基金臨時競馬」として開催しました。これは、1964年の東京オリンピック開催に向けた資金調達の一環でした。
3月10日: 東京都日本橋久松町で発生した落盤事故の影響で電話線が遮断され、浅草・錦糸町の場外発売所での発売が中止となりました。この事故は、当時のインフラの脆弱さを浮き彫りにしました。
3月26日: 小倉[[競馬場]]で火災が発生し、装鞍所の一部や馬房が焼失する被害が発生しました。この火災は、競馬場の安全管理体制を見直すきっかけとなりました。

4月 - 6月

4月1日: 日本中央[[競馬会]]の機構が改変され、人事部と施設部が新設されました。また、オリンピック準備室が馬事公苑内の事務所に設置され、オリンピック開催に向けた準備が本格化しました。
4月13日: 厩務員のストライキが発生し、本馬場調教が不可能となり、皐月賞を含む3回中山の5日目と6日目の開催が中止・延期となりました。これは、クラシック競走が延期された初の事例となり、競馬関係者に大きな衝撃を与えました。ストライキは18日に解決しました。
4月20日: 競馬法の一部を改正する法律が公布され、地方[[競馬]]の施行者が自治大臣の指定する市町村から原則として都道府県に変更されました。また、投票方式についても、重勝式勝馬投票法が廃止され、連勝式勝馬投票法が採用されました。
5月12日: 日本労働組合全国協議会のストライキのため、3回東京の6日目と7日目の開催が中止となりました。ストライキは19日に解決しました。
6月22日: 日本中央[[競馬会]]の酒井忠正理事長が辞任し、後任に石坂弘副理事長が就任しました。これにより、新たな体制がスタートしました。

7月 - 9月

7月13日: 設立が進められていた地方[[競馬]]全国協会について、農林大臣は会長に酒井忠正、副会長に石川武平を指名しました。
7月16日: 競馬法施行令の一部改正により、競馬場の必要な設備として場内放送設備が加えられました。これにより、より円滑なレース運営が可能となりました。
8月1日: 地方[[競馬]]全国協会が設立され、地方[[競馬]]の運営体制が強化されました。
9月1日: 地方[[競馬]]全国協会は、関東地方[[競馬]]組合から継承した八王子騎手教養所において騎手候補生の育成を開始しました。また、全国公営競馬馬主連合会が設立されました。

10月 - 12月

10月8日: 地方[[競馬]]全国協会は優勝馬褒賞規程を定め、会長賞を制定し、同年に22競走で会長賞が贈られました。
10月10日: 阪神競馬場の3号スタンドが完成し、竣工式が行われました。これにより、競馬場の収容能力が向上しました。
10月23日: タカマガハラがワシントンDCインターナショナルに出走するため、関係者と共に渡米しました。これは、日本の競走馬が海外のレースに挑戦する上で重要な一歩となりました。
11月2日: 中央競馬馬主協会連合会長などを務めた鈴江繁一が死去しました。
12月1日: 7回中山開催から中央競馬の入場料が一部改正され、また、競馬場内においても200円券の発売が開始されました。これにより、競馬ファンがより手軽に競馬を楽しめるようになりました。
12月5日: 中央競馬で場内有線テレビが実用化され、レースの臨場感が向上しました。

その他

鹿児島県鹿屋競馬場が廃止されました。

競走成績

中央競馬の主な競走

第22回桜花賞：ケンホウ（騎手：野平好男）
第22回皐月賞：ヤマノオー（騎手：古山良司）
第45回天皇賞（春）：オンスロート（騎手：山岡忞）
第23回優駿牝馬（オークス）：オーハヤブサ（騎手：藤本勝彦）
第29回東京優駿競走（日本ダービー）：フエアーウイン（騎手：高橋英夫）
第3回宝塚記念：コダマ（騎手：栗田勝）
第46回天皇賞（秋）：クリヒデ（騎手：森安弘明）
第23回菊花賞：ヒロキミ（騎手：高松三太）
第7回有馬記念：オンスロート（騎手：山岡忞）

中央競馬・障害

第48回中山大障害（春）：フエニツクス（騎手：田村駿仁）
第49回中山大障害（秋）：ライトリア（騎手：坂内光雄）

表彰

年度代表馬・最優秀5歳以上牡馬：オンスロート
最優秀3歳牡馬：グレートヨルカ
最優秀3歳牝馬：スタンダード
最優秀4歳牡馬：フエアーウイン
最優秀4歳牝馬：ケンホウ
最優秀5歳以上牝馬：クリヒデ
最良スプリンター：カネツセーキ
最優秀障害馬：ライトリア
最優秀アラブ：ゲンタロウ

誕生

この年に生まれた競走馬は、1965年のクラシック世代となります。主な競走馬は以下の通りです。

3月15日 - キーストン
3月23日 - コレヒデ
3月24日 - カブトシロー
4月2日 - ヒシマサヒデ
4月8日 - ハツユキ
4月19日 - チトセオー
4月21日 - エイトクラウン
4月23日 - タガミホマレ
5月13日 - ベロナ
6月8日 - ダイコーター
不明 - ダイアトム

人物

誕生

この年、多くの競馬関係者が誕生しました。

2月9日 - 藤本匠騎手（ばんえい）
2月14日 - 勢司和浩調教師（JRA）
3月13日 - 見澤譲治騎手（浦和）
5月23日 - 鹿戸雄一騎手、調教師（JRA）
5月25日 - 中川公成調教師（JRA）
5月30日 - 田面木博公騎手（JRA）
7月22日 - 兒島真二騎手（佐賀）
9月2日 - 畠山吉宏調教師（JRA）
11月1日 - 野崎武司騎手（川崎）
11月12日 - 金子正彦騎手（川崎）
11月17日 - 菊川正達騎手、調教師（JRA）
12月27日 - 三浦堅治騎手（JRA）

死去

競走馬・種牡馬
* 人物

まとめ

1962年は、競馬界にとって多くの変化と出来事があった重要な年でした。施設の近代化、機構改革、ストライキ、そして新たなスターホースの誕生など、この年の出来事は、その後の日本競馬の発展に大きな影響を与えました。特に、オリンピック開催に向けた動きや、地方[[競馬]]の組織化は、日本の競馬界にとって重要な転換期となりました。

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