1979年の鉄道
1979年（昭和54年）は、日本の鉄道はもとより、世界の鉄道においても多くの変革と出来事があった記念すべき年です。路線の新設・廃止、輸送力の強化、そして次世代を見据えた新しい車両が登場するなど、鉄道は社会の変化に対応し、進化を続けました。
この年、いくつかの路線がその役目を終え、歴史に幕を下ろしました。1月には姫路市交通局のモノレール線（姫路駅～手柄山駅間）が廃止され、関連する駅も閉鎖されました。2月には西日本鉄道の福岡市内線（循環線および貝塚線）も全線が廃止となり、長年にわたる路面電車の歴史に一つの区切りがつきました。また、貨物輸送に関わる動きとして、国鉄の予讃本線貨物支線（多度津駅～浜多度津駅間）が7月に、山陽本線貨物支線（姫路駅～姫路市場駅間）が11月にそれぞれ廃止されています。
一方で、新たな路線の開業や延伸により、鉄道ネットワークは拡大しました。3月には北総開発鉄道（現在の北総鉄道）の北総線が北初富駅から小室駅までの約7.9kmで営業を開始し、沿線の発展を促しました。7月には名古屋鉄道の豊田新線（現在の豊田線）が梅坪駅から赤池駅までの約15.2kmが開業し、名古屋市営地下鉄鶴舞線との直通運転により、名古屋市と豊田市方面を結ぶ新たな大動脈となりました。帝都高速度交通営団（現在の東京地下鉄）では、9月に半蔵門線が青山一丁目駅から永田町駅まで1.4km延伸され、都心部の利便性が向上しました。12月には千代田線の北綾瀬支線（綾瀬駅～北綾瀬駅間、2.1km）が開業し、新たな旅客輸送が始まりました。
既存路線の改良も積極的に進められました。日本国有鉄道（国鉄）では、輸送力の強化を目指し、横浜線の複線化が段階的に進行しました。4月には中山駅～長津田駅間、7月には長津田駅～原町田駅間、9月には淵野辺駅～相原駅間がそれぞれ複線となりました。また、9月には日豊本線の南宮崎駅～鹿児島駅間（120.1km）が交流20,000Vで電化され、九州東部の主要幹線における輸送改善が進みました。函館本線でも森駅～桂川駅間の複線化（2.7km）が9月に行われています。
地方交通の再編も重要な動きでした。4月に関東鉄道が運営していた筑波線（土浦駅～岩瀬駅）は筑波鉄道へ、鹿島線（石岡駅～鉾田駅）は鹿島鉄道へとそれぞれ譲渡され、運営体制が変更されました。
路線の開業や改良に伴い、多数の新駅が誕生しました。日本国内では、国鉄の横浜線に十日市場駅と成瀬駅、片町線に東寝屋川駅（現在の寝屋川公園駅）と藤阪駅などが旅客駅として開業したほか、貨物駅として高崎線に熊谷貨物ターミナル駅、東海道貨物線に横浜羽沢駅が新設されました。帝都高速度交通営団東西線には西葛西駅、千代田線に北綾瀬駅が開業。私鉄でも東武鉄道の東上本線に若葉駅や柳瀬川駅、近畿日本鉄道京都線に向島駅、紀州鉄道線に学門駅などが誕生しました。また、西武鉄道新宿線の入間川駅が狭山市駅に改称されています。路線の廃止に伴い、姫路モノレール線、西鉄福岡市内線、国鉄貨物支線などの多くの駅が姿を消しました。国外でも、韓国鉄道公社（KORAIL）や台湾鉄路管理局、アムトラックなどで新駅が開業しています。
この年は、鉄道車両においても多くの新型が登場しました。国鉄では、京阪神の新快速用として流麗なデザインの117系電車、首都圏の通勤輸送を担う省エネルギー型の201系電車が登場し、その後の標準的な通勤電車の礎を築きました。北海道向けのキハ183系気動車や、新幹線の高速試験用車両である925形（後のドクターイエロー）なども登場しています。私鉄でも、東武5000系、西武新101系、北総開発鉄道7000形、近鉄3000系など、各地の主力となる車両が登場しました。香港、イギリス、西ドイツ、イタリア、スイス、トルコ、オーストラリアなど、海外でも多様な新型車両が製造されました。
一方で、役目を終えた旧型車両は姿を消し始めました。国鉄ではEF13形やEF18形といった電気機関車、ワム20000形やワキ1形などの貨車が引退し、形式消滅となりました。また、路線の譲渡や車両更新に伴い、他社から車両が譲渡される動きも活発に見られました。西武鉄道から総武流山電鉄（現・流鉄）へ1200形が、長野電鉄から越後交通や伊予鉄道へ、京都市交通局から広島電鉄や伊予鉄道へ、長野電鉄および名古屋鉄道から福井鉄道へ車両が譲渡されるなど、中古車両が新たな活躍の場を見出しました。
鉄道サービスの改善に向けたダイヤ改正も、国鉄を含む多くの鉄道事業者（京成電鉄、近畿日本鉄道、小田急電鉄、名古屋鉄道など）で実施されました。また、8月には山口線でSLやまぐち号が運行を開始し、日本の鉄道における蒸気機関車の動態保存の象徴となりました。自然災害による影響もあり、2月には奥羽本線の一部区間（大沢駅～関根駅間）で土砂崩れが発生しましたが、3月には運転が再開されています。
その年に登場した優秀な新型車両に贈られる賞も発表されました。鉄道友の会が選定する第22回ブルーリボン賞は近畿日本鉄道の30000系電車が受賞し、「ビスタカー」の伝統を受け継ぐ革新性が高く評価されました。第19回ローレル賞には、日本国有鉄道のオハ50形客車と京浜急行電鉄の800形電車が選ばれ、それぞれの分野での功績が称えられました。
1979年は、路線の再編とネットワークの拡大、車両技術の進歩、そしてサービスの向上など、日本の鉄道、さらには世界の鉄道が多様な動きを見せた一年でした。これらの出来事は、その後の鉄道の発展に大きな影響を与えることとなります。
路線の変革
この年、いくつかの路線がその役目を終え、歴史に幕を下ろしました。1月には姫路市交通局のモノレール線（姫路駅～手柄山駅間）が廃止され、関連する駅も閉鎖されました。2月には西日本鉄道の福岡市内線（循環線および貝塚線）も全線が廃止となり、長年にわたる路面電車の歴史に一つの区切りがつきました。また、貨物輸送に関わる動きとして、国鉄の予讃本線貨物支線（多度津駅～浜多度津駅間）が7月に、山陽本線貨物支線（姫路駅～姫路市場駅間）が11月にそれぞれ廃止されています。
一方で、新たな路線の開業や延伸により、鉄道ネットワークは拡大しました。3月には北総開発鉄道（現在の北総鉄道）の北総線が北初富駅から小室駅までの約7.9kmで営業を開始し、沿線の発展を促しました。7月には名古屋鉄道の豊田新線（現在の豊田線）が梅坪駅から赤池駅までの約15.2kmが開業し、名古屋市営地下鉄鶴舞線との直通運転により、名古屋市と豊田市方面を結ぶ新たな大動脈となりました。帝都高速度交通営団（現在の東京地下鉄）では、9月に半蔵門線が青山一丁目駅から永田町駅まで1.4km延伸され、都心部の利便性が向上しました。12月には千代田線の北綾瀬支線（綾瀬駅～北綾瀬駅間、2.1km）が開業し、新たな旅客輸送が始まりました。
既存路線の改良も積極的に進められました。日本国有鉄道（国鉄）では、輸送力の強化を目指し、横浜線の複線化が段階的に進行しました。4月には中山駅～長津田駅間、7月には長津田駅～原町田駅間、9月には淵野辺駅～相原駅間がそれぞれ複線となりました。また、9月には日豊本線の南宮崎駅～鹿児島駅間（120.1km）が交流20,000Vで電化され、九州東部の主要幹線における輸送改善が進みました。函館本線でも森駅～桂川駅間の複線化（2.7km）が9月に行われています。
地方交通の再編も重要な動きでした。4月に関東鉄道が運営していた筑波線（土浦駅～岩瀬駅）は筑波鉄道へ、鹿島線（石岡駅～鉾田駅）は鹿島鉄道へとそれぞれ譲渡され、運営体制が変更されました。
駅の新設・廃止・改称
路線の開業や改良に伴い、多数の新駅が誕生しました。日本国内では、国鉄の横浜線に十日市場駅と成瀬駅、片町線に東寝屋川駅（現在の寝屋川公園駅）と藤阪駅などが旅客駅として開業したほか、貨物駅として高崎線に熊谷貨物ターミナル駅、東海道貨物線に横浜羽沢駅が新設されました。帝都高速度交通営団東西線には西葛西駅、千代田線に北綾瀬駅が開業。私鉄でも東武鉄道の東上本線に若葉駅や柳瀬川駅、近畿日本鉄道京都線に向島駅、紀州鉄道線に学門駅などが誕生しました。また、西武鉄道新宿線の入間川駅が狭山市駅に改称されています。路線の廃止に伴い、姫路モノレール線、西鉄福岡市内線、国鉄貨物支線などの多くの駅が姿を消しました。国外でも、韓国鉄道公社（KORAIL）や台湾鉄路管理局、アムトラックなどで新駅が開業しています。
新旧車両の交代
この年は、鉄道車両においても多くの新型が登場しました。国鉄では、京阪神の新快速用として流麗なデザインの117系電車、首都圏の通勤輸送を担う省エネルギー型の201系電車が登場し、その後の標準的な通勤電車の礎を築きました。北海道向けのキハ183系気動車や、新幹線の高速試験用車両である925形（後のドクターイエロー）なども登場しています。私鉄でも、東武5000系、西武新101系、北総開発鉄道7000形、近鉄3000系など、各地の主力となる車両が登場しました。香港、イギリス、西ドイツ、イタリア、スイス、トルコ、オーストラリアなど、海外でも多様な新型車両が製造されました。
一方で、役目を終えた旧型車両は姿を消し始めました。国鉄ではEF13形やEF18形といった電気機関車、ワム20000形やワキ1形などの貨車が引退し、形式消滅となりました。また、路線の譲渡や車両更新に伴い、他社から車両が譲渡される動きも活発に見られました。西武鉄道から総武流山電鉄（現・流鉄）へ1200形が、長野電鉄から越後交通や伊予鉄道へ、京都市交通局から広島電鉄や伊予鉄道へ、長野電鉄および名古屋鉄道から福井鉄道へ車両が譲渡されるなど、中古車両が新たな活躍の場を見出しました。
その他の注目点
鉄道サービスの改善に向けたダイヤ改正も、国鉄を含む多くの鉄道事業者（京成電鉄、近畿日本鉄道、小田急電鉄、名古屋鉄道など）で実施されました。また、8月には山口線でSLやまぐち号が運行を開始し、日本の鉄道における蒸気機関車の動態保存の象徴となりました。自然災害による影響もあり、2月には奥羽本線の一部区間（大沢駅～関根駅間）で土砂崩れが発生しましたが、3月には運転が再開されています。
受賞車両
その年に登場した優秀な新型車両に贈られる賞も発表されました。鉄道友の会が選定する第22回ブルーリボン賞は近畿日本鉄道の30000系電車が受賞し、「ビスタカー」の伝統を受け継ぐ革新性が高く評価されました。第19回ローレル賞には、日本国有鉄道のオハ50形客車と京浜急行電鉄の800形電車が選ばれ、それぞれの分野での功績が称えられました。
まとめ
1979年は、路線の再編とネットワークの拡大、車両技術の進歩、そしてサービスの向上など、日本の鉄道、さらには世界の鉄道が多様な動きを見せた一年でした。これらの出来事は、その後の鉄道の発展に大きな影響を与えることとなります。
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