1982年の相撲

1982年の大相撲

1982年は、大相撲界にとって激動の一年でした。数々の記録が塗り替えられ、新たな力士が台頭する一方で、長年活躍した力士たちが土俵を去りました。また、制度面でも大きな変化があり、相撲界の歴史が大きく動いた一年と言えるでしょう。

大相撲の主な出来事

1月
8日目には皇太子ご一家が観戦されました。
元関脇黒姫山が引退し、年寄錦島を襲名しました。
隆の里の大関昇進が決定しました。
協会役員改選では、春日野理事長が5選を果たしました。新理事には鏡山、春日山が選出され、出羽海、時津風の2理事は在京理事となりました。
藤島（元大関貴ノ花）が独立し、2月には藤島部屋が落成しました。
3月
元前頭11枚目大剛が引退し、年寄鳴戸を襲名しました。
4月
春日野理事長が藍綬褒章を受章しました。
5月
夏場所では、各段すべてで決定戦が行われました。これは、決定戦制度が設定されて以来、初めてのことです。
新弟子検査基準が改正され、年齢に関係なく173cm、75kg以上となりました。
8日目には昭和天皇が観戦されました。
元前頭4枚目吉の谷が引退し、年寄山科を襲名しました。
大鵬親方が「世界人道主義賞」を受賞しました。
7月
停年退職規定の一部が改定され、呼出、床山、若者頭、世話人、職員は満63歳で停年となりました。
9月
秋場所4日目には昭和天皇が観戦されました。
6日目には富士櫻が連続出場回数1426回で史上単独1位となりました。
10日目には北の湖が通算勝ち星を873勝とし、史上単独1位となりました。
元小結青葉山が引退し、年寄桐山を襲名しました。
10月
高島部屋が閉鎖され、熊ヶ谷部屋に合併されました。
11月
九州場所では、逆鉾が新入幕を果たしました。親子幕内は史上4組目です。
力士養成費、場所手当が改正されました。
元小結双津竜が引退し、年寄錦島を襲名しました。
場所後の番付編成会議で若島津の大関昇進が決定しました。
12月
湊（元小結豊山）が独立し、川口市に湊部屋が落成しました。
伊勢ノ海親方（元前頭筆頭柏戸）が64歳で死去しました。元関脇藤ノ川の立川が部屋を継承しました。伊勢ノ海親方の協会葬が行われました。

本場所の結果

一月場所（蔵前国技館）
幕内最高優勝：北の湖敏満（13勝2敗,23回目）
殊勲賞：佐田の海
敢闘賞：隆の里
技能賞：若島津
十両優勝：嗣子鵬慶昌（13勝2敗）
三月場所（大阪府立体育館）
幕内最高優勝：千代の富士貢（13勝2敗,4回目）
殊勲賞：出羽の花
敢闘賞：麒麟児
技能賞：出羽の花
十両優勝：大豊昌央（12勝3敗）
五月場所（蔵前国技館）
幕内最高優勝：千代の富士貢（13勝2敗,5回目）
殊勲賞：朝汐
敢闘賞：朝汐
技能賞：出羽の花
十両優勝：斉須稔（11勝4敗）
七月場所（愛知県体育館）
幕内最高優勝：千代の富士貢（12勝3敗,6回目）
殊勲賞：朝汐
敢闘賞：闘竜
技能賞：高望山
十両優勝：若瀬川亙（11勝4敗）
九月場所（蔵前国技館）
幕内最高優勝：隆の里俊英（15戦全勝,初）
殊勲賞：大寿山
敢闘賞：若島津、北天佑
技能賞：若島津
十両優勝：嗣子鵬慶昌（13勝2敗）
十一月場所（福岡国際センター）
幕内最高優勝：千代の富士貢（14勝1敗,7回目）
殊勲賞：北天佑
敢闘賞：大潮
技能賞：若島津
十両優勝：播竜山孝晴（13勝2敗）


年間最優秀力士賞と年間最多勝は、ともに千代の富士貢が獲得しました。（74勝16敗）

誕生した力士

1982年には、将来を嘱望される多くの力士が誕生しました。

1月18日：寶智山幸観（最高位：前頭14枚目）
1月31日：翔天狼大士（最高位：前頭2枚目）
2月6日：白露山佑太（最高位：前頭2枚目）
3月19日：嘉風雅継（最高位：関脇）
6月13日：鬼嵐力（最高位：十両7枚目）
7月26日：双大竜亮三（最高位：前頭15枚目）
8月21日：大道健二（最高位：前頭8枚目）
10月5日：北太樹明義（最高位：前頭2枚目）

亡くなった力士

1982年には、相撲界の歴史を彩った多くの力士が亡くなりました。

1月7日：番神山政三郎（最高位：前頭2枚目、1909年生まれ）
1月19日：神生山清（最高位：前頭15枚目、1931年生まれ）
5月14日：陸奥錦建市（最高位：十両9枚目、1897年生まれ）
6月30日：若港三郎（最高位：前頭3枚目、1909年生まれ）
12月2日：倭岩英太郎（最高位：前頭13枚目、1910年生まれ）
12月8日：綾櫻由太郎（最高位：関脇、1898年生まれ）
12月11日：柏戸秀剛（最高位：前頭筆頭、1918年生まれ）
* 12月30日：若浪義光（最高位：前頭19枚目、1914年生まれ）

まとめ

1982年は、千代の富士の活躍が目覚ましく、年間最多勝と最優秀力士賞を獲得しました。また、隆の里が全勝優勝を果たすなど、記憶に残る一番も多くありました。一方で、多くの力士が引退し、新しい力士が誕生するなど、世代交代が進んだ一年でもありました。相撲界の歴史が大きく動いた1982年は、相撲ファンにとって忘れられない一年となったでしょう。

もう一度検索