1986年のラジオ (日本)

1986年の日本のラジオ

1986年は、日本のラジオ放送界において、新たな局の開局、そして春と秋の大きな番組改編が実施されるなど、活発な動きが見られた年でした。また、政治的な大きな出来事に伴う特別番組の編成も行われ、ラジオが情報メディアとしての役割を果たす一方、エンターテインメントとしても多様な番組が登場しました。

主な動向と特別編成

この年、ラジオ界の新たな動きとして、10月1日には島根県と鳥取県をエリアとするエフエム山陰が開局しました。これは、新しい放送局の誕生として注目される出来事でした。

また、この年には第38回衆議院議員総選挙と第14回参議院議員通常選挙が同日に行われる「衆参同日選挙」が実施され、各ラジオ局はこれに対応した開票特別番組を編成しました。例えば、TBSラジオ/JRNでは「勝つか中曽根自民党」と題した特別番組を放送。文化放送は、小倉智昭氏がパーソナリティを務める「衆参同日選挙開票ワイド第一部 小倉智昭のとことん気になる中曽根選挙」と、電話リクエストを取り入れた「衆参同日選挙開票ワイド第二部 中曽根選挙大勢判明 電リクワイド ザ・テレジオ あなたも一言!」を連続して放送しました。ニッポン放送も、「もお! たーいへん! ニッポン放送選挙速報」を編成するなど、各局が速報体制を敷き、有権者の関心に応えました。

新しい声と番組の誕生

1986年は、多数の新番組が誕生しました。特に春と秋の改編期には、多くの新しい顔や企画がラジオに登場しました。

春（主に4月）の開始番組
TBSラジオでは、後に長寿番組となる「大沢悠里のゆうゆうワイド」が4月7日に放送を開始したほか、「一慶の歌謡大放送」、「味の素 ハート・オブ・ポップス」などが始まりました。また、時期不明ながら「NISSANミッドナイトステーション やんぐひぽぽたます」や「TOYOBOメモリーポップス」もスタートしています。
ニッポン放送からは、アイドルやタレントを起用した番組が多く登場。「河合その子 拝啓その子です」(4月6日)、「原田知世 星空愛ランド」(4月13日)、「国生さゆり 走れメロン'」(4月13日)、「斉藤由貴 ネコの手も借りたい」(4月19日)などが放送を開始しました。深夜放送では「いんぐりもんぐりのオールナイトニッポン」(4月12日)や、時期不明ながら「寺田恵子のオールナイトニッポン」「小泉今日子のオールナイトニッポン」といった「オールナイトニッポン」枠の新番組も始まりました。その他、「朝からたいへん!つかちゃんでーす」(4月7日)などもスタートしています。
その他の局でも、NHK-FM「名曲ギャラリー」(4月7日)、HBCラジオ「夢いろ土曜日」(4月5日)、文化放送「港区海岸一丁目」(4月13日)、毎日放送「真夜中のなか」(4月7日)、RKB毎日放送「HiHiHi」(4月7日)など、様々なジャンルの新番組が開始されました。

秋（主に10月）の開始番組
秋改編でも多くの番組がスタート。TBSラジオ「ハローナイト」(10月6日)などが始まりました。
文化放送からは、「キラキラサンデー アイドルじゃじゃうまランド」(10月12日)、「落合恵子のちょっと待ってMONDAY」(10月12日)、「東京スーパーエンジェル」(10月13日)などが放送を開始しました。
ニッポン放送も秋改編で多数の新番組を投入。「木村一八のギリギリtwist and shut」(10月6日)、「越前屋俵太のオールナイトニッポン」(10月7日)、「大竹まこと 金曜日のたまごたち」(10月10日)といったタレント・お笑い芸人の番組や、「南野陽子 ナンノこれしきっ!」(10月12日)、「高井麻巳子 ほほえみメッセージ」(10月14日)など、アイドル番組も引き続き登場。「かけこみワイド・鶴光のまかせなさい!」(10月11日)など、ベテラン勢の新番組も見られました。
この時期には、開局したエフエム山陰で「サンシャインストリート」「サウンドブティック」「シーサイドポップス」といった新番組が始まり、新しい電波に乗ってリスナーに届けられました。また、エフエム東京では「Sony Sound Visart 不思議の国の龍一」と「American Top 40」が10月5日に放送を開始しています。

その他の時期および時期不明の開始番組
1月にはニッポン放送「有希子・章子・麻里 夜遊びしナイト」(1月5日)、3月には横浜エフエム放送「ココナッツパラダイス」(3月31日)、6月にはラジオ福島「それいけAM!AM!こちら下荒子8番地」(6月2日)やラジオ大阪「OBCブンブンリクエスト」(6月2日)、7月にはニッポン放送「山口良一のそれゆけ!土曜日行進曲」(7月12日)、11月にはニッポン放送「ぽっぷん王国」(11月3日)が始まるなど、年間を通じて様々な番組が放送開始となりました。
時期不明の開始番組としては、民放AM各局で放送された「志賀真理子 ポニーテールに乾杯」「森川美穂のMIHO・多感世代 キラッ!!」、文化放送「ライオン リクエスト30・シブがき隊の俺たちマジだぜ!」などがありました。

親しまれた番組の終焉

一方で、長年リスナーに親しまれてきた番組が放送を終了したのもこの年です。

4月にはニッポン放送の「HITACHI MUSIC INN」(4月4日)やRKBラジオ「スマッシュ!!11」(4月4日)が終了。
秋改編前の9月にはRKBラジオ「午後だ!ラジオだ!歌謡曲」(終了日不明)、エフエム沖縄「ハイサイウキミソーチ」(9月30日)が幕を下ろしました。
* そして10月には、ニッポン放送のフォーク・ニューミュージック系番組「コッキーポップ」(10月31日)が長い歴史に終止符を打ちました。また、CBCラジオの看板番組の一つであった「ばつぐんジョッキー」(10月3日)や、朝日放送の深夜番組「ABCヤングリクエスト」(10月3日)も終了し、多くのファンに惜しまれました。

1986年は、新局開局や活発な改編を通じて、ラジオメディアが時代の変化に対応し、新しい才能や企画を取り入れながら、その多様性をさらに深めた一年と言えるでしょう。多くの番組が生まれ、また惜しまれつつ消えていった中で、ラジオは情報とエンターテインメントを提供する身近なメディアとして、リスナーと共に歩み続けました。

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