2024 PT5

小惑星2024 PT5：一時的な地球の衛星

小惑星2024 PT5は、地球近傍小惑星（NEO）に分類される天体であり、2024年9月29日から11月25日までの約2ヶ月間、一時的に地球の衛星となりました。この現象は、観測史上5例目となる珍しい出来事です。この小惑星は、その軌道や特性において注目されています。

発見と特徴

2024 PT5は、2024年8月7日に南アフリカ天文台のATLASプロジェクトによって初めて観測されました。発見時には「A119q0V」という仮称が与えられ、その後、小惑星センターによって「2024 PT5」と命名されました。推定される大きさは約10m程度とされています。

軌道

この小惑星は、太陽からの軌道長半径が約1億1600万km（1.012 au）で、離心率が0.021と真円に近い軌道を描いています。公転周期は約372日と地球に近い軌道要素を持っています。地球軌道との最小交差距離は約90万km（0.006 au）であり、このため地球近傍小惑星に分類されています。太陽からの距離による分類ではアポロ群に属しますが、一部の研究者は、地球と緩やかな軌道共鳴関係にあるアルジュナ群に分類される可能性も指摘しています。

興味深いことに、NASAのジェット推進研究所（JPL）の研究者は、2024 PT5が過去に小惑星が月へ衝突した際に月の表面から飛散した破片である可能性も示唆しています。

2024年8月8日には、2024 PT5は地球から約567,000kmまで接近しました。発見当初は地球への落下リスクが評価されていましたが、8月18日には危険性がないと判断され、評価は終了しました。2025年1月9日には再び地球に約180万kmまで接近すると予測されており、NASAはこの機会にレーダー観測を行う予定です。

一時的な地球周回軌道への進入

2024 PT5は、2024年9月29日から11月25日まで、地球のヒル球のすぐ外側を低速度で移動することで一時的に地球の重力に捉えられ、地球周回軌道を公転しました。この期間、地球中心を基準とした軌道要素は双曲線軌道となり、軌道エネルギーは負の値をとりました。地球に接近した小惑星が一時的に地球の衛星となる現象は、2022年の2022 NX1以来5例目となります。しかし、月とは異なり、2024 PT5は地球の周りを一周することなく、再び地球の重力圏を脱出して太陽周回軌道に戻りました。

関連天体と情報源

2024 PT5のような一時的な地球の衛星は、過去にもいくつか観測されています。以下に、主な関連天体と情報源をまとめます。

関連天体
月以外の地球の衛星
馬蹄形軌道
準衛星
地球のトロヤ群
1991 VG: 1991年に発見され、一時的に地球の重力に捕らえられた小惑星
2006 RH120: 初めて一時的な地球の衛星であることが確認された小惑星
2020 CD3: 一時的な地球の衛星となった小惑星
2020 SO: サーベイヤー2号ミッションのロケットブースターの可能性があるとされた天体
2022 NX1: 2024 PT5以前に一時的な地球の衛星となった小惑星
情報源
[JPL Small-Body Database]]: [2024 PT5
NeoDyS-2, Near Earth Objects—Dynamic Site: 2024 PT5
sorae.info: 小惑星「2024 PT5」2024年9月末から2か月限定で “第2の月” になると判明

2024 PT5の一時的な地球衛星化は、天文学における貴重な観測事例であり、今後の研究において重要な知見をもたらすことが期待されます。

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