BAe 146

BAe 146 (アブロ RJ) とは

BAe 146は、ブリティッシュ・エアロスペース（現BAEシステムズ）が開発・製造した、82人から112人乗りの中型ジェット旅客機です。小型機ながら4発のジェットエンジンを搭載するという特徴を持ち、その希少性から注目を集めています。

概要

BAe 146は、イギリスのBAC 1-11の後継機として開発されました。中短距離路線での運用を目的としたリージョナルジェットであり、同クラスの航空機とは異なり、低騒音と高い離着陸性能（STOL）を重視した設計となっています。

特徴的な点として、ジェット旅客機としては珍しい高翼構造や、左右に開くエアブレーキとして機能するテールコーンが挙げられます。これらの特徴から、短い滑走路や騒音規制の厳しい空港での運用に適しており、特にロンドンシティ空港のような都心近郊の空港で多く見られました。

開発の経緯

開発の初期段階では、デ・ハビランド・エアクラフトがターボプロップエンジン搭載の小型双発機DH.123を計画していましたが、ホーカー・シドレーに吸収合併された後、ターボファンエンジン搭載のHS.144へと設計が変更されました。

しかし、適当なエンジンが見つからず開発は停滞。その後、アメリカ製のアブコ・ライカミングALF 502を4基搭載する高翼配置の4発機HS.146として、1973年に開発計画が承認されました。オイルショックによる景気後退で一時中断されましたが、ブリティッシュ・エアロスペース傘下で、設計を近代化したBAe 146として開発が再開されました。

1981年にシリーズ100、1982年にシリーズ200が初飛行し、1983年に型式証明を取得。イギリス-スイス間で初就航しました。

設計

BAe 146は、15度の後退角を持つ高翼配置の主翼とT字尾翼が特徴です。初期のシリーズ100は、アブコ・ライカミングALF 502R-3エンジンを搭載し、その後、ALF 502R-5エンジンに更新されました。降着装置は前輪式で、全輪が引き込み式です。後方の主脚は胴体へ、前輪は機首側へ引き込まれる構造です。

運航

BAe 146は、ヨーロッパを中心に、アジア、アメリカ、アフリカなど、世界中の航空会社で導入されました。2001年まで生産され、シリーズ100、200、300の派生型が存在します。

後期には「アブロライナー」という名称で呼ばれることもあり、アブロ146や、4発機であることから「ジャンボリノ」という愛称で親しまれました。現在でもヨーロッパの航空会社を中心に運航されており、貨物機としての運用も見られます。

日本では、航空会社による運航はありませんでしたが、イギリス王室専用機として飛来したことがあり、また、中国の航空会社が日中間の定期路線に用いたこともあります。

アブロRJ

1993年には、エンジン換装と操縦系統の近代化を行い、「アブロRJ」と名称を変更しました。RJ70、RJ85、RJ100などの型があり、それぞれ定員を示しています。RJ115のように定員を増やした型も存在します。アブロRJシリーズは2001年に生産を終了しました。

事故

BAe 146/アブロRJシリーズでは、14件の全損事故が発生し、294人が犠牲となっています。

主な事故としては、以下のようなものがあります。

1987年：パシフィック・サウスウエスト航空1771便が、解雇された従業員による犯行で墜落。乗員乗客全員が死亡。
1991年：LANチリ1069便が着陸時に滑走路をオーバーラン。
1993年：中国西北航空2119便が離陸時に滑走路をオーバーラン。
1998年：パークンエア4101便がモロッコの山中に墜落。
2001年：クロスエア3597便が空港手前の丘に墜落。
2003年：トルコ航空634便が着陸進入中に墜落。
2006年：アトランティック・エアウェイズ670便が着陸時に滑走路をオーバーランし、崖から転落。
2009年：アヴィアスター機が着陸進入中に墜落。
2016年：ラミア航空2933便が燃料切れにより墜落。

主な運航航空会社

ブリティッシュ・エアウェイズ
BAシティフライヤー
Flybe
bmi
シティジェット
ルフトハンザ・シティーライン
ブリュッセル航空
スイス国際航空
中国東方航空
中国西北航空
アメリカン航空
USエアウェイズ
ラン航空
ニュージーランド航空

その他多数

派生型

BAe 146 シリーズ 100 (Avro RJ70): 標準型
BAe 146 シリーズ 200 (Avro RJ85): 2.4mストレッチ型
BAe 146 シリーズ 300 (Avro RJ100): 200型の2.44mストレッチ型
146-QT: 貨物機型
146-QC: 貨客転換型
Airbus E-Fan X: エンジン1基を電動ダクテッドファンに置き換えた実験機

要目

全長: 26.19m (-100), 28.55m (-200), 30.1m (-300)
翼幅: 26.21m
全高: 8.6m
翼面積: 77.3m2
乗員: 2名
乗客: 70-82名 (-100), 85-100名 (-200), 100-112名 (-300)
エンジン: ライカミング(ハネウェル) LF 507 4基
推力: 31.1kN
巡航速度: 760km/h
離陸滑走距離: 1,195m (-100), 1,390m (-200), 1,535m (-300)
着陸滑走距離: 1,180m (-100), 1,190m (-200), 1,270m (-300)
* 航続距離: 3,870km (-100), 3,650km (-200), 3,340km (-300)

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