Osaka Metro中央線

大阪市高速電気軌道中央線

大阪市高速電気軌道（Osaka Metro）中央線は、大阪市此花区の夢洲駅から東大阪市の長田駅を結ぶ、都市の動脈を担う重要な路線です。正式には高速電気軌道第4号線と呼ばれ、路線記号は「C」です。

概要

中央線は、大阪市中心部の船場を東西に横断する中央大通りの地下を走り、大阪港に至ります。路線愛称の由来も、この中央大通りに由来します。ラインカラーは大阪城公園の木々をイメージした緑色（スペクトリウムグリーン）です。

かつては大阪市交通局によって運営されていましたが、民営化に伴いOsaka Metroに移管されました。近畿日本鉄道（近鉄）けいはんな線との相互直通運転も実施しており、両路線を合わせて「ゆめはんな」という愛称も存在しましたが、現在では案内上は使用されていません。

[1961年]]に一部区間が開通して以来、大阪市街の東西方向の交通を担い、2005年には大阪港トランスポートシステム]から運営が移管された区間も編入され、Osaka Metroの全路線と乗り換え可能な唯一の路線となりました。さらに、[[2025年の大阪万博開催に向けて夢洲への延伸が決定し、アクセス鉄道としての役割も担う予定です。

路線データ

- 管轄・路線距離: 全長21.1km

- 夢洲駅 - コスモスクエア駅間: 3.2km (大阪港トランスポートシステム)
- コスモスクエア駅 - 大阪港駅間: 2.4km (大阪市高速電気軌道/大阪港トランスポートシステム)
- 大阪港駅 - 長田駅間: 15.5km (大阪市高速電気軌道)

- 軌間: 1435mm
- 駅数: 15駅
- 複線区間: 全線
- 電化区間: 全線電化（直流750V・第三軌条方式）
- 地上区間: 大阪港駅 - 九条駅間
- 閉塞方式: 自動閉塞式
- 保安装置:

- 夢洲駅 - 大阪港駅間: 車内信号式(CS-ATC, ATO)
- 大阪港駅 - 長田駅間: WS-ATC, TASC

- 最高速度:

- 夢洲駅 - 大阪港駅間: 95km/h
- 大阪港駅 - 長田駅間: 70km/h

- 最大編成両数: 6両
- ホーム最大対応編成両数: 8両
- 混雑率 (2020年度):

- コスモスクエア方面行き: 112%（森ノ宮駅→谷町四丁目駅間）
- 長田・学研奈良登美ヶ丘方面行き: 79%（本町駅→堺筋本町駅間）

沿線概況

コスモスクエア駅は南港ポートタウン線と接続し、そこから北東に進み、大阪港咲洲トンネルを通ります。このトンネルは沈埋工法で建設されました。大阪港駅手前から阿波座駅手前までは高架線となり、朝潮橋駅までは国道172号、朝潮橋駅から阿波座駅までは中央大通の中央分離帯上を走行します。高架区間は、浸水被害や地盤沈下への対策として建設されました。

大阪港駅周辺はウォーターフロント開発の拠点であり、海遊館などの観光スポットがあります。弁天町駅ではJR大阪環状線と接続し、九条駅では阪神なんば線と接続します。

阿波座駅からは地下区間に入り、中央大通りの下を通ります。本町駅では御堂筋線、四つ橋線、堺筋本町駅では堺筋線と接続します。谷町四丁目駅周辺には官庁街や大阪城があり、森ノ宮駅では長堀鶴見緑地線、JR大阪環状線と接続します。さらに東に進み、緑橋駅で今里筋線、深江橋駅を経て、終点の長田駅に至ります。長田駅からは、近鉄けいはんな線と相互直通運転を行っています。

運行形態

全列車が各駅停車で、長田駅からは近鉄けいはんな線に直通します。運転間隔はラッシュ時で最短3分20秒間隔、昼間は7分30秒間隔です。一部列車は森ノ宮駅発着の区間列車や、長田駅 - 夢洲駅間の線内折り返し列車も設定されています。2025年1月の夢洲駅延伸後は、ほぼ全列車が夢洲駅まで運行する予定です。

近鉄けいはんな線内での速度向上に伴い、最高速度は70km/hから95km/hに引き上げられました。また、大阪港駅では保安装置の切り替えのために停車時間が延長されています。

中央線は、谷町線、四つ橋線、千日前線と線路が繋がっており、これらの路線の車両が回送列車として走行することもあります。

万博輸送

2025年の大阪・関西万博開催時には、会場への唯一のアクセス路線として、運転間隔を最短2分30秒とする予定です。また、小学生・中学生・高校生を対象とした「子ども専用列車」「子ども優先列車」の運行も計画されています。

旅客案内

2007年に全駅で列車案内表示装置が更新され、液晶式が導入されました。また、同年には発車メロディも全駅で導入され、接近放送も御堂筋線タイプに更新されました。2024年11月からは、万博開催に向けて新たな接近・発車メロディが使用されています。

車両

現用車両:

- 400系 (2023年 -)
- 30000A系 (2022年 -)

30000A系は万博輸送のための一時的な増発車両で、万博終了後は谷町線に転属予定です。これらの車両には、抑速制動が完備されています。

過去の車両:

- 6000形/800形(1961年 - 1978年)
- 6100形/900形(1964年 - 1978年)
- 50系(1969年 - 1989年)
- 7000・8000形/30系(1967年 - 1969年, 1984年 - 1995年)
- 20系(1984年 - 2024年)
- 24系(1991年 - 2023年)

近鉄の車両も乗り入れており、7020系（2004年 - ）と7000系（1986年 - ）が使用されています。Osaka Metro所有の車両は、唯一、大阪府外（奈良県）まで直通運転を行っています。

利用状況

2023年度の一日平均輸送人員は318,000人で、Osaka Metroの路線の中で4番目に多い利用者数を記録しています。経常収支も黒字であり、営業係数も低く、効率の良い路線です。

朝ラッシュ時は森ノ宮駅 → 谷町四丁目駅間が最も混雑し、ピーク時の混雑率は128%です。東大阪市・生駒市から大阪都心部への通勤路線として、平日朝夕は非常に混雑しますが、それ以外の時間は比較的空いています。

歴史

OTSテクノポート線の編入

コスモスクエア駅 - 大阪港駅間は、大阪港トランスポートシステム（OTS）のテクノポート線として開業しましたが、運賃体系が異なるため利用者が低迷しました。そこで、大阪市営地下鉄との運賃体系を統一し、利用者増加を図るため、2005年に中央線に編入されました。

年表

- [1961年]]: 4号線大阪港駅 - 弁天町駅間が開業。
- 1964年: 弁天町駅 - 本町駅]間が開業。
- [[1967年: 谷町四丁目駅 - 森ノ宮駅間が開業。
- 1968年: 森ノ宮駅 - 深江橋駅間が開業。
- 1969年: 本町駅本駅完成、本町駅 - 谷町四丁目駅間が開業し、大阪港駅 - 深江橋駅間が貫通。
- 1984年: 30系電車、20系電車投入。
- 1985年: 深江橋駅 - 長田駅間が開業。
- 1986年: 近鉄東大阪線（現けいはんな線）長田駅 - 生駒駅間が開業し、相互直通運転開始。
- 1997年: OTSテクノポート線大阪港駅 - コスモスクエア駅間が開業し、現在の中央線が全通。
- 2005年: OTSテクノポート線を中央線に編入。
- 2006年: 近鉄けいはんな線生駒駅 - 学研奈良登美ヶ丘駅間が開業し、相互直通運転区間が延長。
- 2018年: 大阪市営地下鉄の民営化により、Osaka Metroの路線となる。
- 2022年: 30000A系電車の運用を開始。
- 2023年: 400系電車の運用を開始、24系電車の運用を終了。
- 2024年: 20系電車の運用を終了、接近・発車メロディを変更。
- 2025年: 夢洲駅 - コスモスクエア駅間が開業予定。

映画「高架線誕生」

中央線（大阪港駅 - 弁天町駅間）の建設記録映画が、大阪市公文書館に保管されています。この映画には、当時の建設の様子が記録されており、歴史的な資料として貴重です。

地下空間の大規模改革

老朽化した駅のリニューアル工事が進行中です。中央線では大阪港駅、弁天町駅、本町駅、堺筋本町駅、谷町四丁目駅、森ノ宮駅の6駅が対象となっています。駅の安全性確保と同時に、駅空間を快適に提供することを目指しています。

駅一覧

中央線の全駅は大阪府内に所在しています。

延伸計画

夢洲延伸

中央線の延伸計画として、コスモスクエア駅から夢洲への延伸が決定し、2025年1月に開業予定です。これにより、2025年の万博会場へのアクセスが向上します。

近鉄特急乗り入れ計画

近鉄では、近鉄奈良駅から夢洲への直通特急の運行を検討しています。これにより、奈良方面からのアクセスも向上する見込みです。

支線計画

森ノ宮駅から森之宮検車場までの線路を活用し、大阪公立大学前駅を2028年春に開業する計画があります。

輸送実績

中央線と近鉄けいはんな線の相互直通区間の利用状況は以下の通りです。

中央線利用分

相互直通運転区間利用分

近鉄けいはんな線の長田 - 学研奈良登美ヶ丘駅間を利用した輸送人員

駅別乗降人員

脚注

注釈

出典

外部リンク

- 路線情報｜Osaka Metro

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