うた・ホーダイ

うた・ホーダイ：携帯電話向け定額制音楽配信サービス

2007年5月25日、NTTドコモはFOMAサービスにおいて、携帯電話で利用可能な定額制音楽配信サービス「うた・ホーダイ」を開始しました。これは、当時としては画期的なサービスで、携帯電話で手軽に音楽を楽しめる環境を提供しました。しかし、その仕組みや制約、そしてサービス終了までの経緯を知ることで、現在の音楽配信サービスの進化をより深く理解することができます。

サービス概要

「うた・ホーダイ」は、コンテンツプロバイダを通じて提供される音楽配信サービスです。利用者は月額料金を支払うことで、対象機種で楽曲をダウンロードし、聴くことができました。料金や配信楽曲数は、コンテンツプロバイダによって異なっていました。重要な点として、定額料金は情報料のみで、パケット通信料は別途必要でした。そのため、大量のデータ通信を伴う音楽配信サービスの特性上、「パケ・ホーダイ」などのパケット定額サービスとの併用が強く推奨され、パケット料金の高額化に対する注意喚起もなされていました。

ダウンロードした楽曲は、月額料金を支払っている間のみ利用可能でした。サービス解約と同時に、端末にダウンロード済みの楽曲はすべて利用できなくなります。これは、楽曲の著作権保護のため、DRM（デジタル著作権管理）情報がサーバーとの通信によって更新されていたためです。解約後に再び利用するには、再度契約する必要がありました。この仕組みのため、着メロのようにまとめてダウンロードして、サービスを解約しながら利用するという方法がとれませんでした。

対応機種

「うた・ホーダイ」に対応した携帯電話は、NTTドコモのFOMA端末の一部機種に限られていました。具体的には、2007年夏モデルのFOMA904iシリーズとP704i、2007年冬モデルのFOMA905iシリーズ、705iシリーズ（一部機種を除く）、そして2008年夏モデルのFOMA906iシリーズ、706iシリーズ（一部機種を除く）です。機種ごとに微妙に仕様が異なっていた可能性があり、それぞれの機種の詳細な仕様は当時の公式資料を参照する必要があります。

以下に、対応機種の一部機種を列挙します。(すべての機種を網羅しているわけではありません)

904iシリーズ: D904i, N904i, F904i, P904i, SH904i
905iシリーズ: D905i, F905i, N905i, P905i, SH905i, SO905i, N905iμ, SO905iCS, SH905iTV, P905iTV
906iシリーズ: F906i, N906i, P906i, SH906i, SO906i, N906iμ, N906iL, SH906iTV
704iシリーズ: P704i
705iシリーズ: D705iμ, D705i, F705i, N705iμ, N705i, P705iμ, P705i, SH705i, SH705iII, SO705i
706iシリーズ: F706i, N706i, N706ie, P706iμ, P706ie, SH706i, SH706iw, SH706ie, SO706i

コンテンツプロバイダとサービス終了

当初、「うた・ホーダイ」は複数のコンテンツプロバイダが楽曲を提供していました。しかし、2010年5月31日、Napster Japanのサービス終了により、その後はSmartEbook.com（旧：フォーサイド・ドット・コム）のみがコンテンツプロバイダとなりました。これにより、提供楽曲数は大幅に減少しました。この状況がサービス終了の大きな要因の一つとなったと考えられます。最終的に「うた・ホーダイ」はサービスを終了しました。正確な終了時期は公式発表を確認する必要がありますが、提供楽曲数の減少とコンテンツプロバイダの減少がサービス継続を困難にしたと考えられます。

まとめ

「うた・ホーダイ」は、携帯電話における音楽配信サービスの黎明期における重要な試みでした。しかし、技術的な制約やビジネスモデルの課題など、現代の音楽配信サービスとは異なる多くの側面を持っていました。その歴史を知ることで、現在の音楽配信サービスの進化を改めて理解することができるでしょう。また、当時の携帯電話の技術状況や、パケット通信料といった問題点も、現代のモバイルインターネット環境を考える上で重要な教訓となるでしょう。

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