きりしま (列車)

特急「きりしま」

特急「きりしま」は、九州旅客鉄道（JR九州）が宮崎駅と鹿児島中央駅の間を、日豊本線・鹿児島本線を経由して運行する特急列車です。この列車は、1995年のダイヤ改正で、特急「にちりん」の末端区間と快速「錦江」を統合する形で誕生しました。本記事では、特急「きりしま」の歴史、運行状況、停車駅、使用車両、そして過去に運行していた関連列車についても詳しく解説します。

概要

「きりしま」は、当初、宮崎市と鹿児島市間の都市間輸送を主な目的としていましたが、2004年の九州新幹線部分開業に伴い、霧島神宮駅・国分駅と鹿児島中央駅を結ぶ列車が設定され、観光需要や鹿児島都市圏の通勤・通学の足としても重要な役割を担うようになりました。

2011年の九州新幹線全線開業時には、宮崎～鹿児島中央間の列車が増発される一方で、利用が低迷していた霧島神宮駅発着の列車は廃止され、国分駅発着の列車も1往復に縮小されました。また、この改正では、ホームライナーからの編入により、宮崎～都城・西都城間を運転する「きりしま」も登場しましたが、2021年のダイヤ見直しで廃止されています。

運行概況

現在、「きりしま」は宮崎駅～鹿児島中央駅間を9往復、国分駅～鹿児島中央駅間を1往復の計10往復が運行されています。列車番号は、号数に6000Mを加えたものが用いられます。鹿児島中央駅では九州新幹線と、宮崎駅・南宮崎駅では日向市駅・延岡駅方面の特急列車や宮崎空港行き列車と接続しています。ただし、宮崎駅では上り特急との接続が考慮されていない場合があり、30分以上待たされることもあります。特筆すべきは、3号が特急「ひゅうが」の車両が宮崎駅到着後、そのまま「きりしま」の運用に入るため、実質的に延岡～鹿児島中央間の直通運転となっている点です。

かつては、宮崎～鹿児島間の都市間輸送で高速バス「はまゆう号」と競合していました。

停車駅

「きりしま」の主な停車駅は以下の通りです。

宮崎駅 - 南宮崎駅 - （清武駅） - （田野駅） - （山之口駅） - （三股駅） - 都城駅 - 西都城駅 - 霧島神宮駅 - 国分駅 - 隼人駅 - （加治木駅） - （帖佐駅） - （姶良駅） - （重富駅） - 鹿児島駅 - 鹿児島中央駅

※（ ）内の駅は一部列車のみ停車

詳細な停車パターン

清武駅・加治木駅：9・12号のみ通過、その他は停車
田野駅・山之口駅・三股駅：2号のみ停車
帖佐駅：1・3・4・16・18・81・82号が停車
姶良駅・重富駅：1・16・81・82号が停車

かつて霧島神宮駅・国分駅発着列車が運行していた頃の名残で、帖佐駅は近隣の姶良駅・重富駅よりも停車本数が多くなっています。国分駅～鹿児島中央駅間には8つの中間駅がありますが、1・16・81・82号が通過するのは錦江駅と竜ケ水駅のみです。

特急料金の特例

宮崎駅～南宮崎駅間は乗車券のみで普通車自由席に乗車でき、特急料金は南宮崎駅以南の区間のみで計算されます。また、この区間のみでグリーン車に乗車する場合はグリーン車自由席扱いとなり、車内で購入できます。これは宮崎駅～宮崎空港駅間の特例を「きりしま」にも適用しているためです。

また、霧島神宮駅～鹿児島中央駅間の自由席特急料金は、霧島神宮駅～鹿児島駅または鹿児島中央駅間は520円、その他の区間は一律310円となっています。これは2004年に霧島神宮駅・国分駅発着列車が設定された際に、短距離運転となるため設定されたもので、現在も特例として残っています。

臨時列車

おひさま号

2024年9月7日・8日には、サンマリンスタジアム宮崎で開催されるアイドルグループ・日向坂46のコンサートに合わせて、臨時特急列車「おひさま号」が運行されました。

停車駅（おひさま号）

宮崎駅 - 南宮崎駅 - 都城駅 - 西都城駅 - 国分駅 - 隼人駅 - 鹿児島駅 - 鹿児島中央駅

使用車両・編成

現在、「きりしま」には大分鉄道事業部大分車両センター所属の787系電車4両編成が使用されています。2011年の九州新幹線全線開業に伴うダイヤ改正から投入され、「にちりん」「ひゅうが」との共通運用で、2018年3月よりワンマン運転を行っています。ただし、ワンマン運転中でも添乗員が乗務することがあります。

過去には、南福岡車両区所属の6・7両編成（DXグリーン・グリーン個室連結）が用いられたことはありませんが、2017年に日豊本線の一部区間が不通になった際に、「にちりん」用の6両編成が代走で用いられたことがあります。

過去の使用車両

485系（1995年4月～2011年3月）：運行開始から787系・783系が投入されるまで、全列車で使用されていました。当初は「KIRISHIMA EXPRESS」の愛称で緑色に塗装された専用編成が使われていましたが、後に「にちりん」との共通運用となり、「RED EXPRESS」車両や「KIRISHIMA & HYUGA」車両も使用されるようになりました。2004年には、霧島神宮駅・国分駅発着列車設定に伴う車両不足から、保留車となっていた3両が「KIRISHIMA EXPRESS」塗装で営業運転に復帰しました。
783系電車（ハイパーサルーン）（2011年3月～2021年3月）：5両編成で、「かもめ」で使用されていた車両が転用されました。「にちりん」などと共通運用され、2往復のみで運行されていました。

沿革

宮崎対鹿児島連絡列車「錦江」

1960年：西鹿児島駅～山川駅間を指宿枕崎線経由で運行する準急列車「錦江」として運行開始。
1961年：宮崎駅発着に延長。
1966年：急行列車に格上げ。
1968年：指宿駅発着列車を増発。
1975年：山陽新幹線開通に伴い、4往復増発。
1979年：日豊本線電化により、475系電車を投入し、特急「にちりん」格上げのため1往復減便。指宿枕崎線乗り入れは1往復に。
1980年：指宿枕崎線乗り入れ終了。宮崎駅～西鹿児島駅間を運転する快速列車に格下げ。

特急「きりしま」

1995年4月20日：快速「錦江」を廃止し、特急「にちりん」の南宮崎駅～西鹿児島駅間を系統分離し、エル特急「きりしま」を新設。
2001年3月3日：1往復でグリーン車の連結を開始。
2004年3月13日：九州新幹線開業により、霧島神宮駅・国分駅発着列車を設定。グリーン車連結列車も5往復に増加。
2006年3月18日：宮崎駅発着列車は1号から、霧島神宮駅・国分駅発着列車は101号から付番に変更。
2007年3月18日：霧島神宮駅・国分駅発着列車の付番を81号からに変更。
2008年6月：エル特急の呼称を中止。
2009年3月14日：全車禁煙化。
2011年3月12日：ダイヤ改正により、運行本数を宮崎駅～鹿児島中央駅間10往復、国分駅～鹿児島中央駅間1往復、宮崎駅～都城・西都城駅間1往復の計12往復とする。使用車両を783系と787系に変更し、全列車にグリーン車を連結。宮崎駅～鹿児島中央駅間の1往復を清武駅・加治木駅通過とし、所要時間を2時間以内とする。一部列車で車内販売を開始。
2014年10月1日：車内販売を廃止。
2016年3月26日：所要時間の見直しを実施、一部列車の所要時間が延びる。
2017年3月4日：一部列車の車種変更。
2018年3月17日：783系充当の2往復を除く全列車でワンマン運転を開始。
2020年3月～5月：新型コロナウイルス感染症の影響により、一部列車を運休。
2021年3月13日：ダイヤ改正により、10往復での運転となり、783系が撤退し、全列車が787系4両編成となる。2号が三股駅・山之口駅・田野駅に停車。
2024年9月7日・8日：臨時特急列車「おひさま号」を運行。

列車名の由来

霧島・きりしま：宮崎県と鹿児島県にまたがる霧島山に由来。
錦江：鹿児島湾の別名である錦江湾に由来。
おひさま号：日向坂46のファンを意味する「おひさま」に由来。

脚注

参照元: JR九州公式サイト

関連項目

川内エクスプレス
はやとの風
東海道本線優等列車沿革
山陽本線優等列車沿革
日豊本線

外部リンク

* その他特急列車 | JR九州の列車たち - 九州旅客鉄道

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