ふくふく東京号

ふくふく東京号とは

「ふくふく東京号」は、かつて東京都と山口県を結んでいた夜行高速バスの愛称です。西日本鉄道の「はかた号」に次ぐ、日本で2番目に長い距離を走る夜行バスであり、始点から終点までの所要時間においては、最長の路線でした。また、JRバスグループの中でも最長距離を誇る路線でした。

「はかた号」と同様に、九州地方からの利用客も多く、特に北九州市では山陽本線との乗り換えの利便性から多くの人に利用されていました。JRバス側では「ドリームふくふく号」という名称で案内されていました。

沿革

1991年3月28日：サンデン交通とJRバス関東によって運行開始。
1996年10月10日：JRバス関東の車両が、三菱ふそう・エアロキングからボルボ・アステローペに変更。
1997年11月1日：宇部・小野田経由に変更。山陽道全線開通に伴い、中国道経由から山陽道経由に変更。
1998年：サンデン交通の車両が三菱ふそう・エアロキングから日産ディーゼル・スペースウィングに変更。
2000年9月1日：JRバス関東が撤退し、中国JRバスが参入。
2005年4月20日：横浜シティ・エア・ターミナル (YCAT) 経由に変更。「ノンストップスーパーふくふく号」「スーパーふくふく号」「ドリームふくふく3・4号」を廃止。
2006年11月30日：同日出発便をもって路線廃止。

運行会社

1日1往復の運行で、以下の2社が担当していました。

中国JRバス
広島支店が夜行0.5往復（片道1便）を担当。2人交代乗務。
下関に営業拠点がないため、「ニューブリーズ号」（広島～東京）の間合い運用で対応。
乗務員交代のため沼田PAに停車。
予約センターは宇部市に所在。
サンデン交通
東駅営業所が夜行0.5往復（片道1便）を担当。2人交代乗務。
東京での発券・運行支援業務は、JRバス関東（東京支店）が担当。
横浜での発券業務は、神奈川中央交通・湘南神奈交バスが担当。

特徴

「ふくふく東京号」は、夜行高速バスとしては初めてダブルデッカー（三菱ふそう・エアロキング）を導入した路線でした。当時、最長距離高速バスであった「はかた号」が後部サロンを設置していたことが話題になっていましたが、「ふくふく東京号」ではダブルデッカーの1階席を全てサロンとすることで、さらに快適な空間を提供していました。

その後、JRバス関東では1996年にボルボ・アステローペを導入しましたが、ダブルデッカー、アステローペともにこの路線で初めて導入され、その後のJRバス関東の高速バス車両として大量導入されました。

しかし、車両更新時にはサンデン交通の車両は「はかた号」とほぼ同様のスーパーハイデッカー（日産ディーゼル・スペースウィング）となり、サロンは縮小されました。また、採算面からJRバス関東から中国JRバスへ移管され、JRバスの車両も三菱ふそう・エアロクィーンIに変更され、この際にJRバス担当便ではサロンも廃止されました。末期にはJRバスではいすゞ・ガーラSHDも使用されていました。

多客期には、季節直行便「ノンストップスーパーふくふく号」「スーパーふくふく号」「ドリームふくふく3・4号」が運行されていました。これらの臨時便は、山口県内は下関駅以外無停車で、中国自動車道下関IC経由で、一般道を経由しないため、通常便より所要時間が1時間ほど短縮されていました。

廃止に至る背景

2005年4月20日の改正で、季節直行便の廃止や運賃の見直し、東京側の拠点に横浜駅（YCAT）を加えるなどの収支改善策を施しましたが、いずれも採算面での抜本的な改善策にはなりませんでした。2006年11月30日出発便限りで路線は廃止されました。

廃止直前の東京駅 - 下関駅の運賃は、片道13,000円/往復23,000円でした。

路線廃止の背景には、下関市から海を隔てたほぼ至近距離にある北九州空港の開港と、そこから東京国際空港を結ぶ新規航空会社スターフライヤーの存在がありました。スターフライヤーは早朝から深夜までの運航ダイヤを取っており、運賃もふくふく東京号と遜色ないことから、競争が激化しました。

また、燃料費の高騰や車両更新の時期が迫っていたこと、旅行会社が企画するツアーバスの参入も影響が大きかったです。本路線廃止後、サンデン交通自身もオリオンツアーやハーヴェストホールディングス主催のツアーバスの運行に携わるようになりました。オリオンツアーとの契約解除後は、多客期に限り自社でツアーバス「サンデンライナー」（運行はサンデン観光バス）を催行していましたが、2013年8月1日からの新高速乗合バス制度移行の影響により、同年7月末をもって終了しました。

なお、「ふくふく東京号」廃止前年の2005年には、東京 - 下関間の寝台特急「あさかぜ」が廃止されています。

路線廃止後は、東京 - 山口間の夜行高速バスは、防長交通の「萩エクスプレス」、ツアーバスから新高速乗合バスへ移行した「オリオンバス」、オリオンバスの運行から離脱した天領バスの「Tenryo LINER」の3路線が代替する形となっています。

サンデン交通の初代車両の登録番号は、「山口22う2759」と「山口22う2790」の2台でしたが、1993年に登録記載事項変更により登録番号を「山口22う2929」（ふくふく）と「山口22う2934」（ふくさし）に変更しました。末期にはご当地ナンバー導入により下関ナンバーに変更した車両を運行していました。

運行経路

路線廃止直前の運行経路は以下の通りです。太字は停車停留所を示し、山口県内のみの利用はできませんでした。

東京駅 - 京橋出入口 - （首都高速道路都心環状線・1号羽田線・神奈川1号横羽線） - 東神奈川出入口 - 横浜駅東口 (YCAT) - 横浜駅東口出入口 - （首都高速神奈川3号狩場線・横浜横須賀道路・保土ヶ谷バイパス・東名高速道路・名神高速道路・中国自動車道・山陽自動車道） - 防府東IC - （国道262号） - 山口米屋町 - 山口湯田温泉 - （国道9号） - 小郡IC (小郡道路) - （小郡道路・山口宇部道路） - 宇部南IC - （国道190号） - 宇部中央 - 小野田駅 - （国道190号） - （国道491号） - 小月局前 - （国道2号） - 城下町長府 - （国道9号） - 下関駅

東京駅は八重洲南口発、日本橋口着でした。

運行開始当初は、山口湯田温泉 - 小月局前間は中国自動車道経由で、美祢ICに停車していました。

横浜 (YCAT) 経由となる前は東名高速道路・首都高速3号渋谷線経由で、東京駅行きのみ東名江田・東名向ヶ丘・霞が関に停車していました。

参考文献

『新版 高速バス大百科』鈴木文彦、中央書院、1991年11月。ISBN 4-92442062X
『バスラマ・インターナショナル 40号』「車両導入の狙いと戦略を聞く」ぽると出版

関連項目

ドリーム号 ([[高速バス)]]
はかた号

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