アフガニスタンの交通

アフガニスタンの交通インフラ

アフガニスタンの交通網は、長年の紛争により大きな打撃を受けましたが、近年、復興と発展に向けて重要な進展を見せています。内陸国である同国は、近隣諸国との貿易や国内の移動を円滑にするため、道路、鉄道、空路、水路など、あらゆる交通インフラの整備に力を入れています。

道路

主要道路の多くは、1960年代にアメリカとソ連の支援を受けて整備されました。1964年には、ソ連の支援によりサラン峠を貫くトンネルが開通し、南北を結ぶ幹線道路が完成しました。また、カブール、カンダハール、ガズニーなどの主要都市を結ぶ高速道路網も形成されました。

しかし、1980年代から90年代の内戦により、多くの道路が破壊されました。近年、国内外からの支援を受け、道路網の復旧が進められています。

2006年時点で、道路網の総延長は42,150キロメートルに達しており、そのうち12,350キロメートルが舗装されています。アフガニスタンでは右側通行が採用されており、国内には約73万台の車両が登録されています。政府は、10年以上経過した車両の輸入を禁止する法律を制定しました。

長距離移動には、メルセデス・ベンツ製のバスやバン、トラック、自家用車などが利用されています。主要都市間を結ぶバスサービスも存在しますが、山賊や過激派による襲撃、交通事故などの危険性があるため、空路が特に外国人にとって安全な移動手段とされています。

主要高速道路

現在、主要な高速道路は復旧が進められており、多くの地域で道路の修理や改善が行われています。以下に主要な高速道路を挙げます。

カブール-カンダハールハイウェイ（A-1）
カブール-ジャララバードハイウェイ
カブール-ガルデズハイウェイ
カブール-ヘラートハイウェイ（A-77）
カブール-マザールハイウェイ（A-76）
カブール - マシュハドハイウェイ
カンダハル - バーミヤンハイウェイ
スピンボルダック - カンダハールハイウェイ
カンダハル - ヘラートハイウェイ
カンダハル - タリンコットハイウェイ
クンドゥズ - コムリハイウェイ
ヘラート・イスラム - カラハイウェイ
ヘラート - マザリシャリフハイウェイ
ルートトライデント
デラーラーム-ザランジハイウェイ

また、タジキスタンとの国境には、パンジ川に架かる道路橋が2007年に開通し、両国間の交通が円滑になりました。

鉄道

アフガニスタンの鉄道網は、歴史的に発展が遅れていましたが、近年、近隣諸国との接続を強化する動きが活発化しています。

ウズベキスタンとの関係

ウズベキスタンとの間には、テルメズからアムダリヤ川を渡り、マザーリシャリーフに至る75キロメートルの鉄道が存在します。軌間は1520ミリメートルの広軌です。アフガニスタン政府は、この路線をカブールまで延長し、さらに東部の国境の町であるトルカムまで延伸して、パキスタン国鉄と接続することを計画しています。このプロジェクトは、中国冶金グループ株式会社（MCC）によって行われる予定です。

トルクメニスタンとの関係

トルクメニスタンのセルヘタバトからアフガニスタンのトラグンディまで、10キロメートルの広軌鉄道が存在します。この路線は、ソ連時代に建設されたもので、2007年から改良工事が行われています。

イランとの関係

イランの鉄道網は、マシュハドを終点とし、標準軌（1435ミリメートル）を採用しています。この路線は、ヘラートに向けて191キロメートル延伸されており、そのうち77キロメートルがイラン国内、残り114キロメートルがアフガニスタン国内に属しています。

パキスタンとの関係

パキスタンの国鉄は、クエッタ近くのチャマンとカイバル峠近くのトルカムまで路線を敷設しており、両路線とも広軌（1676ミリメートル）を採用しています。アフガニスタンは、これらの路線をカンダハルとカブールまで延長する計画を持っています。

2010年7月には、パキスタンとアフガニスタンは、両国を結ぶ鉄道敷設を進める覚書に署名しました。

その他の国との関係

中国やタジキスタンとの鉄道接続は、まだ実現していませんが、タジキスタンとの接続は、2008年に提案されています。

パイプライン

アフガニスタンには、ウズベキスタンのバグラムとトルクメニスタンのシンダンドから石油パイプラインが敷設されています。これらのパイプラインは長年使用されていませんでしたが、近年、利用再開の動きが見られます。天然ガスパイプラインは、180キロメートルに及びます。また、アフガニスタンを横断してパキスタンに至る天然ガスパイプライン建設の計画も進んでいます。

港湾

内陸国であるアフガニスタンでは、北部国境の一部を形成するアムダリヤ川が主要な水路となっています。約500トンまでの艀による河川輸送が行われており、主要な川港として、ケラバードとシルハン・バンダルが挙げられます。

空路

アフガニスタンの航空輸送は、国内キャリアであるアリアナ・アフガン航空と、アフガンジェット・インターナショナル、イーストホライゾン航空、カーム航空、パミール航空、サフィ航空などの民間航空会社によって提供されています。また、エア・インディア、エミレーツ航空、ガルフ・エア、イラン・アーセマーン航空、パキスタン国際航空、トルコ航空などの海外航空会社も乗り入れています。

カブール国際空港は、アフガニスタンの主要な空港であり、国際線のハブ空港としての役割を果たしています。2014年5月時点で、アフガニスタンには4つの国際空港（カブール、カンダハール、ヘラート、マザーリシャリーフ）が存在します。

国内には、約53の空港とヘリポートが存在し、そのうち約19の空港で滑走路が舗装されています。滑走路の長さは、3000メートルを超えるものが4つ、2500から3000メートルのものが3つ、500から1500メートルのものが8つ、1000メートル以下のものが2つあります。

未舗装の滑走路を持つ空港も約34あり、そのうち2500から3000メートルのものが5つ、1500から2500メートルのものが14つ、1000から1500メートルのものが6つ、1000メートル以下のものが9つとなっています。

主要空港

カブール国際空港：3500メートルの滑走路を持つ国内最大の空港で、国際線のハブ空港です。
カンダハール国際空港：3200メートルの滑走路を持ち、アフガニスタン南部にサービスを提供するデュアルユース空港です。
マザーリシャリーフ国際空港：3100メートルの滑走路を持ち、アフガニスタン北部と中央部をカバーするデュアルユース空港です。
ヘラート国際空港：2600メートルの滑走路を持ち、アフガニスタン西部の主要空港です。
ガズニー空港：4000メートルの滑走路を持つ空港で、2012年4月の時点で建設中で、2013年に運用を開始しました。
* ジャララバード空港：1800メートルの滑走路を持つ空港です。

また、バグラム空軍基地は、NATO軍が使用しており、大型の軍用輸送機の発着が可能です。

ヘリポート

国内には、少なくとも11箇所のヘリポートが存在します。

まとめ

アフガニスタンの交通インフラは、長年の紛争により大きな被害を受けましたが、近年、復興と発展に向けて重要な進展を見せています。道路網の改善、鉄道網の拡張、空港の整備など、さまざまな分野でインフラ整備が進められており、今後も経済発展に大きく貢献することが期待されます。

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