ガラパゴススマートフォン

ガラパゴススマートフォンとは

ガラパゴススマートフォンとは、日本独自の機能（おサイフケータイやワンセグなど）を搭載したスマートフォンの通称で、和製英語です。「ガラスマ」と略されることもあります。この名称は、日本独自の進化を遂げた携帯電話（ガラパゴスケータイ）の機能をスマートフォンに取り入れたことに由来します。

類似の言葉に「ガラホ」がありますが、これらは設計思想が全く異なります。ガラホは、スマートフォン技術をベースにしたフィーチャーフォンであり、操作性や機能が従来のフィーチャーフォンに準じています。一方、ガラパゴススマートフォンは、スマートフォンにガラケーの機能を追加したものです。

ガラパゴススマートフォンの歴史

日本でスマートフォンを普及させるにあたり、従来のガラケーに搭載されていた日本独自の機能（おサイフケータイやワンセグなど）をスマートフォンに実装したことが始まりです。これにより、ガラケーからスマートフォンへの機種変更を促す狙いがありました。

当初は、日本メーカーのスマートフォンにこれらの機能が搭載されることが多く、海外メーカーのスマートフォン（グローバルモデル）と区別するために「ガラパゴススマートフォン」という言葉が使われました。しかし、後に海外メーカーのスマートフォンも日本独自の機能を搭載するようになり、iPhoneもApple Payの一部としてFeliCaに対応しました。これにより、ガラパゴススマートフォンという言葉は次第に使われなくなっています。

また、ガラパゴススマートフォンは、日本独自のハードウェア構成を必要とする場合があり、これがグローバルモデルとの大きな違いとなっています。

スマートケータイ（スマケー）

2011年頃には、テンキー付きスマートフォンが「スマートケータイ」という商品名で販売されました。これはガラパゴススマートフォンの一種と見なすことができます。スマートケータイは、フィーチャーフォン利用者がタッチパネルに慣れるための練習台というコンセプトで開発されました。

外見はフィーチャーフォンに似ていますが、実際にはスマートフォンとしての機能を持っています。しかし、操作性は必ずしも優れておらず、フリック入力とトグル入力の切り替えがスムーズに行えなかったり、バッテリーの持ちが悪かったりといった問題がありました。スマートケータイは、短期間で市場から姿を消すことになりました。

その後、「ガラホ」が登場し、スマートケータイのコンセプトは「フィーチャーフォンの正統進化」へと変わりました。ガラホは、スマートフォン技術を使いながらも、フィーチャーフォンの操作性や機能を維持した端末です。

しかし、一部では「ケータイ型スマホ」を求める声が再び高まり、2016年～2017年にかけてSIMフリーのテンキー付きスマートフォンが登場しました。近年では、ピーアップが「Mode1 RETRO II」を発売し、再びスマートケータイに注目が集まっています。また、海外では中国市場で、日本のスマケーに似た設計のスマートフォンが人気を博しています。

スマートケータイ（および設計思想の近い機種）の一覧

ソフトバンク (SoftBank)
AQUOS PHONE THE HYBRID SoftBank 007SH
AQUOS PHONE THE HYBRID SoftBank 101SH
ディズニー・モバイル・オン・ソフトバンク
DM011SH
ソフトバンク・ウィルコム沖縄（各Y!mobile）
S42HW
KDDI・沖縄セルラー電話（各au）
AQUOS PHONE IS11SH
AQUOS PHONE IS14SH
INFOBAR C01
AQUOS PHONE SL IS15SH
NTTドコモ
AQUOS PHONE slider SH-02D
その他（MVNOやSIMフリーなど）
LG Wine Smart (LGS01)
FREETEL MUSASHI (FTJ161A)
ピーアップ Mode1 RETRO (MD-02P)
ピーアップ Mode1 RETRO II (MD-06P)

ガラパゴススマートフォンの問題点

ガラパゴススマートフォンは、Android OSをベースにしているため、多くの独自機能を搭載するにはOSのソースコードを大幅に編集する必要があります。この結果、動作が不安定になったり、アップデートが遅れたりする問題が発生しました。また、キャリア独自のアプリやロゴが導入されることで、ユーザーからの不満も出ています。

このような問題から、一部のユーザーは海外製のスマートフォンやSIMフリー端末を利用するようになり、国内メーカーのシェア低下を招く要因となりました。また、NECモバイルコミュニケーションズやパナソニックモバイルコミュニケーションズのように、スマートフォン事業から撤退する企業も現れました。

ガラパゴススマートフォンの主な機能

おサイフケータイ (FeliCa)
テレビジョン放送（ワンセグ・フルセグ）
マルチメディア放送 (NOTTV)
赤外線通信 (IrDA)
キャリアアプリ（dメニューなど）
キャリアメール
カメラのシャッター音（消音不可）

関連用語

グローバルモデル：ガラパゴススマートフォンの反対で、世界標準の機能を持つスマートフォン
フィーチャーフォン：従来の携帯電話
ガラパゴス化：特定の地域で独自の進化を遂げること
IS03：ガラパゴススマートフォンの祖とされるスマートフォン

ガラパゴススマートフォンは、日本の携帯電話市場の独自性を象徴する存在でしたが、グローバル化が進む中でその役割を終えつつあります。しかし、その歴史は日本のスマートフォン市場の進化を語る上で欠かせないものでしょう。

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