クトゥルフ神話の星々

クトゥルフ神話では、地球以外にも様々な星々が舞台として登場します。現実の天体と架空の天体が混在し、独特の宇宙観を形成しています。本稿では、太陽系内の惑星から太陽系外の星々、そして夢幻の次元ドリームランドにまで広がる、クトゥルフ神話における宇宙を詳細に解説します。

太陽系

水星: イースの大いなる種族は遠い未来、水星の植物性生命体へと転生するという記述があります。また、水星のクレーターには芸術家の名前が付けられており、ラヴクラフトの名を冠したクレーターも存在します。

金星: アトランティスでは「スファノモエー」と呼ばれ、植物が繁茂する惑星として描かれています。アトランティスの賢人兄弟が訪れたという記述もあります。ラヴクラフトの合作作品『エリュクスの壁のなかで』では、植物と稀少鉱物が豊富で、爬虫類型知的生命体が居住する惑星として描かれています。

月: 月探査でクトゥルフの幼生が発見されるという設定が存在します。これは、地球から分離した際に、クトゥルフの幼生が一緒に分離したためと考えられています。

火星: ランドルフ・カーターは火星に人工的な巨石構造物を見たと記しています。火星にはアイハイ族という知的生命体が居住し、人類の宇宙進出後は交易が行われるようになります。また、地下にはラヴォルモスの洞窟があり、ヴルトゥームとその信者たちが潜伏しています。CAスミスによる作品では、火星人の言語が「アイハイ」とされており、TRPGなどではH・G・ウェルズの『宇宙戦争』のタコ型火星人も取り込まれ、アイハイ族とタコ型種族の二種族が存在することになっています。

土星: ハイパーボリア文明の星「サイクラノーシュ」は、クトゥルフ神話においてはガス惑星ではなく、固体惑星として描かれています。

天王星: ルギハクスという立方体状の金属生命体が居住し、シャッガイの昆虫種族が地球へ来る前に一時的に滞在した場所でもあります。

海王星: 古文献では「ヤークシュ（第7世界ヤークシュ）」と呼ばれ、氷の世界として描かれています。ツァトゥグァがシャタクとの間にズヴィルポグアをもうけた場所であり、冷気の邪神アフーム＝ザーもこの星を経由して地球に到達しました。

冥王星: 2006年までは太陽系第9惑星とされていましたが、現在は準惑星に分類されています。ラヴクラフトが創作活動中に発見された天体であり、クトゥルフ神話ではユゴスと深く関連付けられています。2015年に発見された特定の地形は「クトゥルフ領域」と呼ばれています。

暗黒星[ユゴス]: 冥王星と同一視されることが多い惑星。ユゴスはクトゥルフ神話における重要な舞台であり、多くの旧支配者や異形生命体が存在します。

惑星サイオフ: かつて火星と木星の間存在しましたが、「原子核の混沌」により破壊され、小惑星帯に霧散しました。神ファロールが崇拝されていたとされています。

太陽系外

[オリオン座]]: [[ベテルギウス]には旧神が住んでおり、旧神の都エリシアも付近にあるとされています。

おうし座: ヒアデス星団アルデバランのハリ湖には旧支配者ハスターが幽閉されており、ハリ湖近くのカルコサの都市を支配しています。

プレアデス星団: セラエノ(ケラエノ)には大図書館が存在します。ダーレスとカーターの作品では、その記述が異なっています。ダーレスの作品ではハスターの支配地であり、旧神から盗まれた知識が収蔵されている一方、カーターの作品ではセラエノ星近くの無明の世界に存在し、ウボ＝サスラが知識を盗み出した場所とされています。

みなみのうお座のフォーマルハウト: 旧支配者クトゥグアがおり、封印中にアフーム＝ザーを産み落として地球に向かわせました。

うしかい座のアルクトゥールス: 双子神ロイガーとツァールに関連する星です。ロイガー召喚の条件の一つにアルクトゥールスが天空に見えることが挙げられています。

二重星キタミール: ツァトゥグァを崇拝する生物が居住しています。

ペルセウス座のアルゴル: アルゴルを取り巻く暗黒星イラウトロムにズヴィルポグアが住んでおり、ペルセウス座が天空に見える際に召喚できます。

イース(Yith): イースの大いなる種族の出身地。

暗黒のゾス星系: XothとZothの二つの惑星があります。Xothは緑色の二重星でクトゥルフ一族の出身地であり、Zothはツァトゥグァの先祖イクナグンニススズスの出身地とされています。

シャッガイ(Shaggai): イギリスに現れた昆虫種族の出身地。巨大な蛆虫が星を食らい続けているという設定があります。

トンド(Tond): ヤークダオ種族が生息する星。夢のクリスタライザーを使うと、トンドの光景を見ることができます。

グロース(Ghroth): 移動天体であり、邪神でもあります。宇宙を放浪し、封印された邪神を解放しようと企んでいます。

惑星シャールノス(Sharnoth): 黒と緑の二重星を公転する惑星。黒檀の宮殿があり、ナイアーラトテップの封印地、もしくは故郷とされています（異説あり）。

惑星ヤディス(Yaddith): ヤディス星人（貘の鼻を持つ昆虫のような人型種族）とドール種族が戦闘を繰り広げている星。魔道士ズカウバはランドルフ・カーターの転生とされ、シュブ＝ニグラスの追放地でもあります。デネブの近くにあるとされています。

第23星雲ヴール(Vhool): ヨグ＝ソトースと地球の生物からクトゥルフが生まれたとする説があります。研究者カトゥルンが外世界の神々の知識を持ち帰りますが、口外したことで破滅します。

レン高原: その所在地が不明な土地。地球、星々、異次元、ドリームランドなど様々な場所に関連付けられています。

七太陽の世界/暗黒の世界アビス(Abbith): ナイアーラトテップの幽閉地とされています（異説あり）。当初は「七太陽の世界」と設定され、後にリン・カーターによって「アビス」と名付けられました。

異世界ボレア(Borea): 三つの月を持つ世界。独自の物理法則のため、月はボレアを公転せず、ボレア自身も太陽を公転していません。そのため気候は極端で、一部地域は永久氷雪に覆われています。イタカの幽閉地であり、『タイタス・クロウ・サーガ』に登場します。

ティンダロス: 詳細不明な星。

ドリームランドの太陽系

ドリームランドにも独自の太陽系が存在します。

ドリームランドの月: 裏側にはムーン・ビーストの都市があり、地球と貿易を行っています。レンの商人を使役しています。土星の猫が地球に来る際の中継地でもあります。

ドリームランドの土星: 「猫」という生物が生息し、地球の猫を敵視しており、跳躍によって月や地球にやってきます。

注記: 上記の情報は、様々なクトゥルフ神話関連作品からの記述を元にまとめたものです。作品によって設定が異なる場合があることをご了承ください。

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