ボクサー (強襲揚陸艦)

ボクサー (USS Boxer, LHD-4)

ボクサー（USS Boxer, LHD-4）は、アメリカ海軍が誇るワスプ級強襲揚陸艦の4番艦です。この艦名は、米英戦争でアメリカ軍が拿捕したイギリス軍艦「ボクサー」に由来し、その名を継承する艦としては6隻目にあたります。

艦歴

ボクサーは、1993年8月13日にミシシッピ州パスカグーラのインガルス造船所で進水し、1995年2月11日にアメリカ海軍に就役しました。就役後、ボクサーはパナマ運河を経由してカリフォルニア州サンディエゴへ向かいました。パナマ運河通過に際しては、艦橋の張り出し部分などが障害となり、一部の設備が撤去されるという事態も発生しました。

初期の展開

小修理とシステムチェックを終えたボクサーは、1997年3月24日から9月24日まで初の西太平洋展開を実施しました。この間、オースティン級ドック型輸送揚陸艦「オグデン」やアンカレッジ級ドック型揚陸艦「フォート・フィッシャー」と共に、数多くの外国の港を訪問し、国際親善に貢献しました。翌年には、大規模な多国籍軍事演習であるリムパックに参加し、1998年12月5日には再び西太平洋へと展開しました。

不朽の自由作戦とイラクの自由作戦

2000年代に入ると、ボクサーは西太平洋、ペルシア湾、紅海といった地域に展開し、重要な作戦に参加しました。2001年3月14日からは、不朽の自由作戦およびノーザン・ウォッチ作戦の支援任務に従事。その後、シンガポール、タイ、グアム、ジェベル・アリ、バーレーン、ヨルダンといった国々を訪問し、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件発生から3日後の9月14日に帰国しました。

イラク情勢が緊迫化すると、ボクサーは再び中東地域へと派遣され、イラクの自由作戦を直接支援する任務に就きました。2003年1月17日には、ワスプ級強襲揚陸艦「ボノム・リシャール」、アンカレッジ級ドック型揚陸艦「アンカレッジ」、クリーブランド級ドック型輸送揚陸艦「クリーブランド」「ダビューク」、ホイッドビー・アイランド級ドック型揚陸艦「カムストック」、ハーパーズ・フェリー級ドック型揚陸艦「パール・ハーバー」といった多数の艦艇と共にサンディエゴを出港し、作戦に参加。2003年7月26日に帰国を果たしました。

その他の活動

2003年には、その優れた戦艦としての能力が評価され、太平洋艦隊のマージョリー・ステレット戦艦基金賞を受賞しました。2004年1月14日には、イラク復興支援を目的としたイラク・フリーダムII作戦に単独で派遣され、サンディエゴからペルシア湾北部のクウェート海軍基地へ資材や設備を輸送する任務を遂行。2004年4月29日に帰国しました。

2009年4月には、ソマリア沖で海賊に拉致された貨物船「マースク・アラバマ」号の船長救出作戦に参加し、人命救助に貢献しました。

2019年7月18日には、ホルムズ海峡の国際海域を航行中にイランの無人機が異常接近し、再三の警告を無視したため、電波妨害によって撃墜したと当時のアメリカ大統領ドナルド・トランプが発表し、国際的な注目を集めました。

エピソード

2013年2月、ボクサー艦内にはスターバックスの店舗がオープンし、「Starboxer」というユニークな名前が付けられました。店舗の運営は乗組員によって行われていますが、スターバックスの店舗で研修を受け、正式なバリスタの認定を受けており、通常の店舗と変わらない高品質なメニューが提供されています。過去には空母カール・ヴィンソンなどで非公式にスターバックスの店舗が設けられた例はありますが、米海軍とスターバックスが公式に提携して開設した店舗は、ボクサーが初の事例となります。

ボクサーは、その就役以来、数々の重要な作戦に参加し、国際的な平和と安全に貢献してきたアメリカ海軍の重要な戦力です。また、艦内のスターバックス店舗「Starboxer」は、乗組員の士気を高め、艦のユニークな魅力を引き出す存在となっています。

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