上信電鉄上信線

上信電鉄上信線：群馬のローカル線物語

上信線は、群馬県高崎市を高崎駅起点に、同県甘楽郡下仁田町の下仁田駅を結ぶ、上信電鉄が運営するローカル線です。全長33.7kmの単線区間で、全線電化されています。のどかな田園風景から急峻な山間部まで変化に富んだ車窓の風景と、歴史を刻む車両、そして沿線に点在する魅力的なスポットが特徴です。

沿線風景と駅巡り

高崎駅を出発すると、高崎線と並走した後、住宅街や田園地帯を抜け、南高崎駅に到着します。南高崎駅はかつて秩父鉄道からの貨物列車が発着する拠点でした。その後、佐野信号所、佐野のわたし駅と進み、烏川を渡ると東京農業大学第二高等学校のグラウンドが見えてきます。根小屋駅、高崎商科大学前駅と続き、山名駅、西山名駅、馬庭駅と続きます。馬庭駅は陸上自衛隊吉井分屯地の最寄り駅です。

吉井駅周辺はかつて専用線があり、現在もその面影を感じさせる駅舎です。西吉井駅周辺は上信電鉄が開発した住宅街が広がっています。甘楽町に入り、上州新屋駅、上州福島駅と進みます。上州福島駅周辺にはマンナンライフの工場があります。富岡市に入ると東富岡駅、世界遺産の富岡製糸場最寄り駅である上州富岡駅に到着します。上州富岡駅は、かつて上信電鉄のバス路線の中心地でもありました。

上州七日市駅、上州一ノ宮駅と進み、神農原駅、南蛇井駅と続きます。南蛇井駅は変わった駅名で知られています。千平駅を過ぎると下仁田町に入り、風景は一変します。山間部に入り、鬼ヶ沢橋梁を渡り、上信線唯一の白山トンネルを抜けると、下仁田駅に到着です。下仁田駅周辺はかつてバス路線のターミナルとして賑わっていました。

歴史と近代化

上信線の歴史は古く、1897年に高崎～下仁田間が開業しました。当初は軽便鉄道でしたが、1924年には改軌と電化が行われ、運行効率が大幅に向上しました。戦後、高度経済成長期を経て、利用者数の減少に直面した上信電鉄は、1980年代に大規模な近代化事業を実施しました。車両の更新、線路改良、信号システムの改善などを行い、運行スピードの向上と利便性の改善を図りました。この事業によって、急行や準急列車が設定され、高崎～下仁田間の所要時間は大幅に短縮されました。しかし、その後は利用者数の減少が続き、近年は新駅の開業や停車駅の増加による利便性向上を重視した経営に転換しています。

運行形態とサービス

現在は全列車がワンマン運転の普通列車です。朝夕は1時間に2～3本、日中は概ね1時間に2本の列車が運行されています。高崎～下仁田間の通し運転の他に、高崎～上州富岡間の区間列車も設定されています。また、利用客増加のための様々な試みも行われており、企画列車（カラオケ列車、お座敷列車など）や、車両の貸切運行サービス、サイクルトレインなどが実施されています。

貨物輸送

かつて上信線では、肥料、セメント、石灰などの貨物輸送も行われていました。特に、南高崎駅に秩父セメントの倉庫があった時期は貨物輸送が最盛期でした。しかし、1994年に南高崎駅の倉庫が閉鎖されたことにより、貨物営業は廃止されました。

メディアへの登場

上信線は、そのユニークな路線や風景から、テレビ番組やCMなどで度々取り上げられています。例えば、『ウッチャンナンチャンの炎のチャレンジャー』の企画で、揺れの激しい電車として登場したり、アニメ『ペルソナ4』のモデルになったりしています。

まとめ

上信線は、歴史と自然、そして人々の暮らしが融合した魅力的なローカル線です。変化に富んだ車窓風景と、温かい人情に触れることができる、忘れがたい旅となるでしょう。

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