下小田中

神奈川県 川崎市 中原区下小田中

下小田中（しもこだなか）は、神奈川県川崎市中原区の南西部に位置する町名です。多摩川が形成した沖積平野に広がり、1丁目から6丁目までが住居表示実施済区域となっています。北部には中原街道が走り、南西端には江川が流れています。

地理と土地利用

下小田中は、住宅地と農地が混在する地域です。1980年代以降に住宅が増加しましたが、農地も残っています。中原街道沿いには商店が立ち並び、生活に必要な施設が整っています。周辺地域との境界は、北東は南武線を挟んで上小田中、東は今井西町・木月大町、南は井田三舞町・井田杉山町、南西は江川を挟んで高津区の明津・子母口、西は下新城・新城中町と接しています。

地価

住宅地の地価は、2024年 1月1日の公示地価によると、1平方メートルあたり34万3000円から47万7000円となっています。

歴史

中世

下小田中は、中世以前は上小田中と一体で「小田中郷」と呼ばれていました。1540年前後に上小田中と下小田中に分かれたと考えられています。また、この地には世田谷吉良氏の家臣であった内藤氏が戸隠大明神を勧請しました。

江戸時代、下小田中は天領でしたが、一部が旗本領になったり、天領と旗本領が増上寺に寄進されるなど、領主が頻繁に変わりました。内藤氏は帰農し、名主として村政に携わりました。村高は、正保年間には708石4斗余りでしたが、幕末には749石余りまで増加しました。水利としては井田堀が利用され、江川へと排水されていましたが、江川はしばしば氾濫を起こしました。

また、当地は将軍の鷹場に指定されていた時期があり、建築制限などがありました。農閑期には草履や菰、素麺などが作られました。元禄時代以降、中農層が解体し、貧富の差が拡大しました。

明治時代以降

明治維新後、下小田中は神奈川県に属し、行政上は下小田中村から中原村、中原町、そして川崎市へと移り変わりました。大正時代には野菜作りが盛んになりましたが、昭和恐慌の影響で不況に陥りました。対策として農作業の共同化や、地域に適したキュウリや白ウリの栽培を行い、品質を向上させました。

1885年には私立学校「時習黌」が設立され、橘樹郡内外から多くの生徒が集まりましたが、1943年に廃校となりました。戦後、食糧難のために栽培されたジャガイモがモザイク病に侵され、野菜作りに支障が出たため、花卉栽培へと転換する農家が増えました。

高度経済成長期にも開発が進まず、中原区で農業従事者が最も多い地域でしたが、交通の便が良いため、アパート経営や駐車場経営も行われていました。1980年代からは宅地化が急速に進みました。また、1954年から土地改良事業が行われ、1973年に完成しました。この事業によって整備された道路は、市街地化後も生活基盤として役立っています。

地名の由来

下小田中の地名は、中世に上小田中と分かれたことに由来すると考えられています。

沿革

1164年: 「小田中」の記述が初めて確認される
永正年間: 内藤氏が当地に移住
1514年: 内藤氏が戸隠大明神を勧請
1590年: 徳川家康が江戸に入府し、当地は天領となる
慶長年間: 一部が旗本領となる
1626年: 御鷹場に指定される
1639年: 大戸神社が創建される
1705年: 天領と旗本領が、増上寺に寄進される
1868年: 明治維新により神奈川県に所属
1874年: 大区小区制により第5大区第3小区に属する
1889年: 町村制施行により中原村の大字となる
1908年: 村内の神社が大戸神社に合祀される
1917年: 電気が供給される
1933年: 中原町下小田中となる
1941年: 沖電線の工場が進出
1954年: 土地改良事業が開始される
1972年: 川崎市が政令指定都市に移行し、中原区下小田中となる
1979年: 一部が下新城に編入される
1990年: 住居表示が実施され、下小田中一丁目～六丁目となる
1996年: 残部でも住居表示が実施される。

世帯数と人口

2024年 9月30日現在、世帯数と人口は以下の通りです。

世帯数: 不明
人口: 不明

学区

下小田中の学区は以下の通りです。

小学校: 川崎市立大戸小学校、川崎市立下小田中小学校
中学校: 川崎市立西中原中学校

事業所

2021年現在の経済センサス調査によると、事業所数と従業員数は以下の通りです。

事業所数: 不明
従業員数: 不明

交通

鉄道

下小田中の北東端をJR南武線が通過しており、武蔵中原駅が利用可能です。また、地下には武蔵野南線が通っていますが、貨物線であり、駅はありません。

道路

中原街道と南武沿線道路が主要道路です。

路線バス

東急バス、川崎市交通局、川崎鶴見臨港バスが運行しています。川崎鶴見臨港バスの「下小田中」バス停は「しもおだなか」と読みます。

施設

沖電線本社
中原区道路公園センター
中原警察署下小田中交番

寺社

大戸神社
全龍寺
安楽寺

教育施設

川崎市立西中原中学校
川崎市立大戸小学校
川崎市立下小田中小学校
神奈川県立川崎高等職業訓練校（2008年廃止）

その他

郵便番号: 211-0041（集配局: 中原郵便局）
警察: 中原警察署

参考文献

『川崎の町名』日本地名研究所編、川崎市、1995年。
『川崎地名辞典（上）』日本地名研究所編、川崎市、2004年。
『角川日本地名大辞典 14 神奈川県』角川書店、1984年。
新中原誌刊行会『川崎新中原誌』有隣堂、1977年。