上小田中

上小田中の概要

上小田中（かみこだなか）は、神奈川県川崎市中原区の北西部に位置する町名です。現行の行政町名は上小田中1丁目から7丁目までで、住居表示が実施されています。

地理

上小田中は、中原区の北西部に位置し、南武線と二ヶ領用水に挟まれるように平地が広がっています。地域の中央部には富士通の工場があり、その裏門付近を境に、北側を大ヶ谷戸、南側を神地という通称で呼ぶことがあります。これらの名称は、現在でも通称や施設名として残っています。

上小田中の周辺は、北端で高津区の北見方や坂戸、北東端で二ヶ領用水を挟んで宮内や小杉御殿町、南端で今井上町や今井西町、南西端で下小田中や新城中町・新城・上新城と接しています。地域内には、富士通の工場（登記上の本店所在地）、中原区の名称の由来となった中原街道、武蔵中原駅などが存在し、駅周辺には住宅地が広がっています。また、一部には野菜畑なども残っており、都市と自然が混在する地域です。

地価

住宅地の地価は、2024年1月1日の公示地価によると、上小田中2-36-23地点で40万2000円/m²、上小田中6-36-13地点で43万4000円/m²となっています。

歴史

中世

「小田中」という地名が史料に初めて登場するのは、1164年の「大江某注進状」です。この史料から、当時この地が藤原氏の荘園であり、年貢として八丈絹が納められていたことがわかります。小田中が上下に分かれたのは戦国時代頃と考えられており、1549年には吉良頼康が泉沢寺を「上小田中宝地」に移した記録が残っています。ただし、「小田原衆所領役帳」では「小田中」と一括して記載されています。

江戸時代

江戸時代の上小田中は、大ヶ谷戸と神地の二つに分かれていました。神地は1636年以降、枝村として一村のように扱われていました。大ヶ谷戸は、元々「大茅野」と呼ばれていましたが、吉良氏の家臣である原氏が、故地の関蝉丸神社をこの地に勧請した際に、神社の鎮座する「大谷」から名付けられたという伝承があります。当地は、寛永10年時点では天領でしたが、幕末には一部が旗本領や寺領となっていました。村高は、正保期の「武蔵田園簿」で823石（別に泉沢寺領が20石）、幕末の「旧高旧領取調帳」では合計844石あまりと、ほぼ一定で推移していました。

近現代

明治時代になり、町村制の施行とともに中原村が成立すると、上小田中はその中心地として発展しました。村役場や銀行が設置され、桃の生産も盛んになりました。昭和に入ると、南武鉄道（現在の南武線）が開通し、武蔵中原駅が設置されました。また、富士通信機（現在の富士通）や中島飛行機の工場が設置されたことで、この地域は大きく姿を変えていきました。戦時中は軍需産業として空襲を受けることとなりました。

戦後には、中島航空機の跡地に日本鋼管（現在のJFE）の社宅が建設されるなど、住宅地としての開発が進みました。一方で、二ヶ領用水の改修に合わせて中小の工場も立地するなど、工業地としての側面も持ち続けています。

地名の由来

地名の由来は明確ではありませんが、水田地帯であったことから「田中」という名がつき、それに接頭辞の「小」が加わったと考えられています。その後、上小田中と下小田中に分かれました。

沿革

1164年: 「大江某注進状」に「小田中」の名が登場
1549年: 吉良頼康が泉沢寺を烏山から当地に移す
1611年: 小泉次大夫による二ヶ領用水の工事が完了し、当地も潤される
1636年: 神地が枝村として一村の扱いを受ける
1874年: 大区小区制により、第5大区第3小区に属する
1889年: 町村制施行により中原村が成立し、中原村大字上小田中となる
1897年: 毛織物工場が開業（関東大震災で閉鎖）
1898年: 中原銀行が開業（8年後に破産）
1925年: 中原村と住吉村が合併し中原町となり、中原町大字上小田中となる
1927年: 南武鉄道が開通し、武蔵中原駅が設置される
1932年: 中原町が川崎市に編入され、川崎市上小田中となる
1938年: 富士通信機（現・富士通）の工場が開設される
1945年: 川崎大空襲による被害を受ける
1960年: 中原電車区が開設される
1972年: 川崎市が政令指定都市に移行し、川崎市中原区上小田中となる
1979年: 隣接する上新城・新城中町で住居表示が実施され、上小田中の一部が編入される
1990年: 南武線が高架化される
1996年: 住居表示が実施され、上小田中一丁目～七丁目となる

世帯数と人口

2024年9月30日現在、上小田中の世帯数と人口は以下の通りです。なお、4丁目は全域が富士通関連施設のため、住民登録している住民はいません。

世帯数: （データは割愛）
人口: （データは割愛）

学区

市立小・中学校に通う場合の学区は以下の通りです（2022年3月時点）。

小学校: 川崎市立大谷戸小学校
中学校: （データは割愛）

事業所

2021年現在の経済センサス調査によると、上小田中の事業所数と従業員数は以下の通りです。

事業所数: （データは割愛）
従業員数: （データは割愛）

交通

鉄道

JR南武線が上小田中の南西端を通り、武蔵中原駅や鎌倉車両センター中原支所が所在します。また、北方の武蔵新城駅も利用可能です。

バス

鷺沼駅と小杉駅を結ぶバス、南武沿線道路経由で小杉駅と溝口駅を結ぶバス、中原駅と小杉駅を等々力緑地経由で結ぶバスが運行しています。

道路

中原街道（神奈川県道45号丸子中山茅ヶ崎線）
南武沿線道路
宮内新横浜線（多摩川を越えて東京都と結ぶ計画がある）

施設

富士通川崎工場（登記上の本店所在地）
富士通クリニック
富士通研究所
中原警察署 武蔵中原駅前交番
泉沢寺
神明社
関神社
川崎市立聾学校
川崎市立大谷戸小学校
太陽第二幼稚園
つぼみ幼稚園
上小田中保育所

その他

郵便番号: 211-0053（集配局: 中原郵便局）

参考文献

日本地名研究所編「川崎地名辞典（上）」川崎市、2004年。
竹内理三編「角川日本地名大辞典 14 神奈川県」角川書店、1984年。
* 「上小田中村」『新編武蔵風土記稿』 巻ノ65橘樹郡ノ8、内務省地理局、1884年6月。

もう一度検索