台湾鉄路管理局TEMU2000型電車

TEMU2000型電車（普悠瑪号）について

TEMU2000型電車は、台湾鉄路管理局（台鉄）が運行する中長距離用の車体傾斜式交流電車です。東部幹線の旅客輸送需要の増加に対応するため、TEMU1000型電車に続いて導入されました。2013年から「普悠瑪号（プユマごう）」として営業運転を開始し、主に東部幹線で活躍しています。

概要

台湾の東海岸地域は、西海岸に比べて都市が少なく、地形も険しいため、鉄道輸送の重要性が高い地域です。しかし、高速道路の整備は遅れており、在来線も複線電化区間は限られていました。そこで、台鉄は輸送力増強と高速化のため、車体傾斜式電車を導入することにしました。

当初は気動車特急を導入する予定でしたが、台東駅までの電化が前倒しで決定されたため、TEMU1000型電車の増備と合わせて、2010年に車体傾斜式電車136両の入札が行われました。その結果、日本車輌製造と住友商事の連合が、日立製作所と丸紅の連合を破り、17編成136両を受注しました。その後、2014年には追加で2編成16両が発注され、2016年の旧正月に投入されています。

設計

TEMU2000型電車は、設計最高速度150km/h、営業最高速度140km/hで運行されます。新幹線N700系電車でも採用されている空気バネ式車体傾斜システムを搭載しており、カーブを通過する際に車体を傾斜させることで、乗り心地を損なうことなく高速走行を実現しています。車体はアルミニウム合金製で、赤を基調とした塗装が特徴的です。また、TEMU1000型電車とは異なり、乗務員用の扉が追加され、台鉄のロゴも大型化されています。座席は、台湾の佳豊機械設計工業が製造しています。

編成

TEMU2000型電車は、8両編成を基本としており、以下の構成となっています。

VVVF：主制御器（VVVFインバータ装置）
Rc：コンバータ装置
Mtr：主変圧器
VCB：真空遮断器
SIV：静止形インバータ
乗：列車長及び乗務員室
[和]WC：和式便所
[洋]WC：洋式便所
児：ベビーチェア
：自動販売機
：バリアフリー施設（座席及び便所）
Gr：グループ席（大型テーブルつき）
：自転車搭載設備

配備計画

TEMU2000型電車は、全17編成34組136両が導入されました。最初の2編成は2012年10月に落成し、2013年の旧正月前に東部幹線での営業運転を開始しました。残りの15編成は2014年までに順次投入され、東部幹線での輸送力増強と高速化に貢献しました。また、一部の編成は西部幹線にも乗り入れ、台北と台東の間を最短3時間半程度で結んでいます。

導入後、東部幹線の特急「自強号」は、TEMU1000型とTEMU2000型を中心とした運行に変わり、旧型の気動車列車は運行区間の短縮や他路線への転属が進められています。

名称

TEMU2000型電車の愛称は、公募によって決定されました。一次選考で20の候補が選ばれ、その後のインターネット投票と専門家の選考の結果、「普悠瑪（プユマ）号」に決定しました。「普悠瑪」とは、台湾原住民のプユマ族の言葉で「団結、集中する」という意味です。

歴史

2012年10月：最初の2編成が日本から台湾へ輸送。
2013年2月：営業運転開始。旧正月の帰省客輸送に投入。
2014年：追加発注された2編成が投入。
2016年：西部幹線への乗り入れを開始。
2018年10月：第4編成が宜蘭線で脱線転覆事故を起こす。

エピソード

車両輸送のため、廃線となっていた基隆臨港線を復活させた。
最初の輸送時、基隆駅構内で床下機器がホームに接触する事故が発生。線路とホームの間隔が規定より狭かったことが原因。
赤いノーズが特徴的なため、現地ファンから「紅面番鴨（ノバリケン）」と呼ばれることがある。
一部の鉄道研究家から、塗装のデザインについて批判的な意見が出た。
安全認証が遅れたため、デビュー前に混乱が生じた。
羅東駅には、TEMU2000型電車の先頭部を模した駅弁販売店がある。
東武鉄道が、自社の特急車両にTEMU2000型電車を模したラッピングを施したことがある。
2016年の増備車には干支の猿をあしらったロゴが付いている。
台鉄130周年を記念して、歴代の列車をラッピングした特別仕様車が運行された。

脚注

関連項目

普悠瑪号
太魯閣号
自強号
花東線
車体傾斜式車両
宜蘭線普悠瑪号脱線事故

外部リンク

台湾鉄路管理局
* 日本車輌公式サイト-台湾向け鉄道車両の受注に関するお知らせ

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