喜入瀬々串町

喜入瀬々串町（きいれせせくしちょう）

喜入瀬々串町は、鹿児島県鹿児島市の南部に位置する町です。旧喜入町の北端にあり、北から西にかけては平川町、南は喜入中名町、西は南九州市知覧町に隣接しています。東側は鹿児島湾（錦江湾）に面しており、美しい海岸線が特徴です。

地理

町の地形は、海岸線が岩場で入り組んでおり、水無川や浜田川の河口付近に集落が形成されています。海岸沿いには国道226号が南北に走り、それに沿って指宿枕崎線が通っています。町内には瀬々串駅が設置されており、交通の便も良い地域です。また、北部には鹿児島県道23号谷山知覧線が東西に通っており、南九州市との境界近くには指宿スカイラインの知覧インターチェンジがあります。

集落は主に海岸沿いに点在していますが、北部の県道23号沿いには星和台という新しい住宅地も形成されています。

河川

町内には以下の河川が流れています。

水無川
浜田川
波止川
駒返川

これらの河川は、町の自然環境を豊かにし、地域の人々の生活を支えています。

町名の由来

「日本歴史地名大系」によると、「瀬々串」という地名は、海岸線が岩場で小さな入り江が櫛の歯のように連なっている様子に由来するとされています。

歴史

先史時代

瀬々串の地域からは、縄文土器や弥生土器が出土しており、古くから人々が生活していたことがわかります。特に、谷山と接する台地では縄文土器の破片が広く分布していることが確認されています。また、1929年頃には弥生土器の出土が報告されており、東玉遺跡からは大型の磨製石斧が発掘されています。

門口遺跡や塩屋遺跡でも、磨製石斧や土器の破片が発見されており、これらの遺跡は縄文時代から弥生時代にかけての集落跡であると考えられています。

上村としての瀬々串

江戸時代には、瀬々串は中名村とともに「上村」の一部とされたり、「瀬々串村」として扱われたりしました。「三州御治世要覧」には瀬々串村という名前は記載されていますが、村高は不明です。喜入氏文書によると、寛永年間末頃に上之村の北部が瀬々串村として分村したとされています。

しかし、元禄11年（1698年）の検分では、瀬々串は独立した村であるとされましたが、喜入郷の役人たちは、瀬々串村は上村に属すると主張しました。その結果、瀬々串村の独立は認められず、上村・下村の2村として決着しました。ただし、瀬々串は村ではなく「在」と呼ばれる行政区画として扱われ、江戸時代後期には庄屋も置かれました。

享保9年（1724年）には、藩主の休憩所として瀬々串宮ノ下に御茶屋が設置されました。明治3年（1870年）に「在」が廃止され、瀬々串と中名を合わせて上村とし戸長が配置されました。

瀬々串村の独立

1878年（明治11年）に、上村が中名村と瀬々串村に再び分村し、「瀬々串村」として独立しました。1879年の戸籍簿によれば、瀬々串村には375戸がありました。1884年の「鹿児島県地誌」にも、給黎郡の村として「瀬々串村」が記載されています。

町村制施行以後

1889年（明治22年）の町村制施行により、瀬々串村は中名村、前之浜村、生見村と共に喜入村となり、大字「瀬々串」となりました。その後、1897年に喜入村は揖宿郡に編入されました。

1913年には宮崎神社の境内に警察の事務所が設置され、後に瀬々串駐在所となりましたが、2012年に喜入交番に統合されました。同年には大火が発生し、56棟が全焼する被害もありました。1914年の桜島の大正大噴火では、火山灰により家屋が倒壊する被害も受けました。

1928年には、喜入村の行政区画として大字瀬々串は「第一区」となり、1946年まで行政区画として存在しました。1934年には指宿線（現在の指宿枕崎線）が開通し、瀬々串駅が開設されました。

1956年には喜入村が町制施行し喜入町となり、1963年には再び大火が発生し、69棟が焼失しました。1978年には瀬々串港の建設が始まり、1931年に完工しました。1988年には、平川町との境界付近に星和台団地が完成しました。

2004年、喜入町は鹿児島市に編入され、大字瀬々串は廃止され、新たに「喜入瀬々串町」となりました。

人口

2020年4月1日現在の人口は2,289人、世帯数は1,124世帯です。人口は1995年以降、減少傾向にあります。

施設

教育

鹿児島市立瀬々串小学校
瀬々串保育園

郵便局

瀬々串郵便局

寺社

宮崎神社
錦光寺
総徳寺

教育施設について

喜入瀬々串町には、鹿児島市立瀬々串小学校が設置されています。かつては喜入町立瀬々串中学校も存在しましたが、生徒数の減少により喜入中学校に統合されました。

中学校

瀬々串中学校は、1947年に瀬々串小学校に併設される形で開校しましたが、1972年に喜入中学校に統合され閉校しました。

小学校

瀬々串小学校は、1876年に瀬々串小学校として設立されました。幾度かの改称を経て、1947年に現在の瀬々串小学校となりました。

学区

市立小・中学校の学区は以下の通りです。

小学校：鹿児島市立瀬々串小学校
中学校：鹿児島市立喜入中学校

交通

道路

一般[[国道]]：国道226号
主要地方道：鹿児島県道17号指宿鹿児島インター線、鹿児島県道23号谷山知覧線
一般県道：鹿児島県道231号瀬々串停車場線

鉄道

九州旅客鉄道指宿枕崎線：瀬々串駅

出身人物

川原新次郎（政治家、参議院議員、喜入町長、鹿児島県議会議員）
濱島敦俊（歴史学者、大阪大学名誉教授）


喜入瀬々串町は、豊かな自然と歴史、そして人々の生活が調和した魅力的な町です。

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