喜入中名町

喜入中名町について

喜入中名町（きいれなかみょうちょう）は、鹿児島県鹿児島市の南部に位置する町です。旧薩摩国給黎郡に属し、喜入郷の一部として歴史を刻んできました。2020年4月1日現在、人口は2,006人、世帯数は942世帯です。面積は10.48平方キロメートルで、海岸線沿いに集落が点在しています。

地理

喜入中名町は、北に喜入瀬々串町、南に喜入町、西に南九州市知覧町永里と隣接し、東は鹿児島湾に面しています。海岸部には国道226号と指宿枕崎線が走り、山間部には指宿スカイラインが通っています。町の中心部には鹿児島市立中名小学校があり、集落は海岸線に沿って多く見られます。また、一部は山間部や台地に散在しています。

沿岸漁業が盛んで、海岸は遠浅の地形が特徴です。この地形を利用して、南部には世界最大規模の原油中継備蓄基地であるENEOS喜入基地が設置されています。喜入港は、この基地に出入りするタンカーと漁船が共用しており、重要な港湾としての役割を担っています。2018年の喜入港の貨物取扱量は53,821,113トンに達し、輸出入ともに活発な活動が見られます。

町内には、樋高川、前田川、清水川、竜毛川といった河川が流れています。

気象

喜入中名町には、鹿児島地方気象台が管理する「喜入地域気象観測所」が設置されており、地域の気象観測に貢献しています。

歴史

中名村の成立

明治3年（1870年）に宮坂村と瀬々串村が合併して上村となりましたが、1878年（明治11年）に上村が瀬々串村と中名村に分村し、中名村が成立しました。1876年（明治9年）には中名小学校が設置され、1879年（明治12年）の戸籍簿によれば、中名村は635戸であったと記録されています。1884年（明治17年）の「鹿児島県地誌」にも、給黎郡の中の「中名村」としてその名が見られます。

町村制施行以後

1889年（明治22年）4月1日の町村制施行により、瀬々串村、中名村、前之浜村、生見村が合併し、給黎郡喜入村が成立しました。これにより、中名村は喜入村の大字「中名」となりました。1897年（明治30年）には、郡の再編により、喜入村は揖宿郡に属することになりました。

1928年（昭和3年）には、喜入村の行政区画として区が設置され、大字中名は「第二区」と「第三区」に分けられました。1934年（昭和9年）には指宿線（現在の指宿枕崎線）が開通し、中名駅と喜入駅が設置されました。1956年（昭和31年）には喜入村が町制施行し、喜入町となりました。

1960年代には、原油備蓄基地の建設が計画され、1967年（昭和42年）に「日本石油基地株式会社」（現在のENEOS喜入基地）が設立されました。1969年（昭和44年）には、92.1万平方メートルの埋立地に、10万キロリットル級タンク12基が稼働を開始し、喜入港も開港しました。その後もタンクの増設が行われました。

1988年（昭和63年）には、大字前之浜と大字中名の一部が分割され、大字一倉と大字喜入が新たに設置されました。これは、小学校区と大字名の違いから生じる不便を解消するためでした。

2004年（平成16年）11月1日、喜入町は周辺の町村とともに鹿児島市に編入されました。この合併に伴い、大字中名は廃止され、新たに鹿児島市の町「喜入中名町」が設置されました。

文化財

市指定

黒地蔵（有形民俗文化財（民俗資料））

施設

公共

喜入港湾合同庁舎
海上保安庁第十管区海上保安本部喜入海上保安署
農林水産省九州農政局南部九州土地改良調査管理事務所薩摩支所

教育

鹿児島市立中名小学校

郵便局

中名簡易郵便局（1962年（昭和37年）12月1日設置）

寺社

塞神社

その他

ENEOS喜入基地（石油備蓄基地）

交通

道路

一般国道
国道226号
主要地方道
鹿児島県道17号指宿鹿児島インター線（指宿スカイライン）

鉄道

九州旅客鉄道指宿枕崎線
中名駅

港湾

喜入港

参考文献

「角川日本地名大辞典」編纂委員会「角川日本地名大辞典 ４６ 鹿児島県」『角川日本地名大辞典』第46巻、角川書店、1983年3月1日。
芳即正、五味克夫『日本歴史地名大系47巻 鹿児島県の地名』平凡社、1998年。
喜入町郷土誌編集委員会『喜入町郷土誌』喜入町、2004年3月。
南日本新聞『鹿児島市史Ⅴ』 5巻、鹿児島市、2015年3月27日。
溜実篤「日本最大の原油中継備蓄基地 -JX 日鉱日石石油基地（株）喜入基地」『マリンエンジニアリング』第47巻第5号、日本マリンエンジニアリング学会、2012年、696-701頁。

関連項目

* 中名 (曖昧さ回避)

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