坂野常善

坂野 常善（さかの つねよし）

坂野常善は1884年12月1日に岡山県津高郡野谷村で生まれ、1971年9月21日に亡くなった日本の海軍軍人です。彼は海軍兵学校の第33期生として、最終的に海軍中将という階級にまで昇進しました。彼の父は岡山県の士族・坂野半四郎です。岳父は海軍機関中将の宮原二郎です。

略歴

坂野は岡山中学校（現在の岡山県立岡山朝日高等学校）を卒業し、海軍兵学校に入学しました。在校中の成績は180名中84位であり、卒業時には171名中22位に位置していました。第一次世界大戦中には第二特務艦隊の参謀として地中海に派遣され、英国海軍との連絡業務に従事しました。彼は海軍内で対英米協調を支持するグループに属し、艦隊派からの圧力を受けた結果、一時は予備役に編入されました。これは海軍軍事普及部の部長の職にあったときに、陸軍強硬派と艦隊派からの干渉を受けたためで、特に報知新聞の記者による発言が波紋を呼びました。1947年には公職追放の対象となりました。

人物像

坂野は日米の戦闘を回避する立場を取っており、艦隊派から過激な圧力を受けました。1945年には『大東亜戦争ノ教訓』という手記を発表しています。この文書には、日本陸軍の統制派軍人たちが機密費を不適切に扱い、軍紀を乱した結果、外国との信頼関係を失ったという自身の考えが述べられています。また、軍人の政治関与が日本の方向を誤らせたと批判しており、当時の彼の悔しさや怒りを理解する上で貴重な資料となっています。趣味としては、ゴルフや撞球、読書を楽しんでいたことでも知られています。

年譜

• - 1884年 - 岡山県御津郡野谷村に誕生。
• - 1905年 - 海軍兵学校に入学。
• - 1908年 - 海軍兵学校を卒業し、2等巡洋艦「厳島」に乗組。
• - 1909年 - 練習艦隊の遠洋航海に参加後、装甲巡洋艦「八雲」に転任。
• - 1910年 - 海軍大学校に入学し、2011年に海軍砲術学校の教官を務める。
• - 1917年 - 海軍軍令部の参謀として活動。
• - 1945年 - 手記『大東亜戦争ノ教訓』を執筆。
• - 1971年 - 亡くなる。

栄典

坂野の功績は、何度かの叙勲を通じて評価されています。1907年に正八位、1921年には正六位、1924年に従五位、1935年には正四位に叙されています。

主要著作

• - 『大東亜戦争ノ教訓』（私稿版）

家族

坂野の兄、坂野鉄次郎は逓信省に勤めた後、43歳で実業界に転じました。彼は貴族院の多額納税者議員も務めています。子供たちも実業界で活躍し、坂野常和は大蔵省証券局長を経て日本化薬の社長となり、坂野常隆は清水建設で副社長を、さらに副会長を務めました。

参考文献

• - 秦郁彦 編著『日本陸海軍総合事典』（第2）東京大学出版会、2005年。
• - 高松宮日記。
• - 米内光政に関する著書。
• - その他関連資料。

坂野常善は、海軍における高い識見とその背景にある経験から、戦後の日本史に多大な影響を与えた人物です。

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