妙顕寺 (京都市)とは？意味をやさしく解説

妙顕寺（みょうけんじ）

妙顕寺は、京都市上京区に位置する日蓮宗の大本山です。山号を具足山と称し、本尊には三宝尊を祀っています。九つの塔頭を有するこの寺院は、「四海唱導」や「四条門流」としても知られています。妙顕寺、妙覚寺、立本寺の三寺は「龍華の三具足」と呼ばれ、日蓮宗において重要な位置を占めています。現在の住職は、68世及川日周貫首です。

歴史

妙顕寺は、日蓮の遺命を受けた日像が、元亨元年（1321年）に後醍醐天皇から寺領を賜り、京都に創建した最初の日蓮宗寺院です。日像は、六老僧の日朗からの書状で「綾小路大宮の御坊」と呼ばれており、それ以前から綾小路大宮に布教の拠点があったと考えられています。建武元年（1334年）には後醍醐天皇より綸旨を賜り勅願寺となり、宗派として公認され、京都における法華宗の根本をなす寺院となりました。

暦応4年（1341年）には、光厳上皇の院宣により四条櫛笥に移転。翌康永元年（1342年）には、備前法華の祖である大覚が2世となり、法華宗の発展に大きく貢献しました。嘉慶元年（1387年）には比叡山延暦寺の衆徒によって伽藍が破却され、若狭国小浜へと避難しましたが、明徳4年（1393年）に足利義満の斡旋で三条坊門堀川に伽藍を再建し、寺号を妙本寺と改めました。応永18年（1411年）には足利義持の祈願寺となっています。

応永20年（1413年）には再び比叡山の衆徒により破却され、永正18年（1521年）に足利義稙の命で二条西洞院に再建されました。その後、永正・大永年間（1504年 - 1528年）に寺号を妙顕寺に戻しています。天文5年（1536年）の天文法華の乱で伽藍を焼失すると、堺に避難。しかし、天文11年（1542年）に後奈良天皇が法華宗帰洛の綸旨を下し、堺に避難していた法華宗寺院は相次いで京都に戻りました。妙顕寺は天文17年（1548年）に二条西洞院に再建されましたが、天正12年（1584年）に羽柴秀吉の命により現在地に移転。秀吉は妙顕寺跡地に二条第妙顕寺城を築きました。

天明8年（1788年）の天明の大火で焼失しましたが、その後再建されています。境内は裏千家今日庵と表千家不審菴に隣接しています。

境内

妙顕寺の境内には、以下のような見どころがあります。

大本堂（京都府指定有形文化財）: 1975年に大修理が行われ、格天井には寄進者達の家紋が描かれています。
龍神廟: 八房大龍神を祀っています。
龍神池
十一重石塔「寿福院塔」: 前田利家の側室で、利常の母である寿福院が建立した逆修の石塔です。
勅使門
大玄関
方丈
庭園「孟宗竹の坪庭」
書院
庭園「抱一曲水の庭」: 酒井抱一の「観世音図」に因んだ草木が植えられています。
奥書院
庭園「光琳曲水の庭」: 尾形光琳の作品を模して作庭されました。天明の大火後に作庭されたとされています。
宝物殿
宿坊
大客殿
庭園「四海唱導の庭」
鬼子母神堂（尊神堂）: 天拝鬼子母神と呼ばれ、歴代の天皇が祈願してきました。
慶中稲荷社: もとは宮中に祀られていた慶中稲荷大菩薩を祀っています。
三菩薩堂（祖師堂）: 日蓮大菩薩、日朗菩薩、日像菩薩と大覚を祀ります。天明の大火後に再建された際には仮本堂とされていました。
御真骨堂（鍾真窟）: 三菩薩の遺骨を祀っています。
納骨堂
北辰妙見大菩薩
鐘楼: 1965年に五重塔跡に移築。梵鐘（京都府指定有形文化財）は正徳3年（1713年）の造立です。
総門（大門、重要文化財）