徳大寺公孝

徳大寺公孝（とくだいじ きんたか）は、鎌倉時代に活躍した公卿であり、徳大寺太政大臣と称されました。最終的には従一位太政大臣にまで昇りつめ、その地位と影響力は当時の朝廷において非常に大きなものでした。

生涯

公孝は正嘉元年（1257年）に従五位上に叙せられたのを皮切りに、侍従、右少将と順調に昇進を重ねます。文応元年（1260年）には左中将に任ぜられ、弘長元年（1261年）には中宮権亮を兼任するなど、着実にキャリアを積み重ねていきました。

文永4年（1267年）には参議に任ぜられ、公卿としての地位を確立します。その後、左兵衛督や検非違使別当といった要職を歴任し、文永6年（1269年）には権中納言に任命されます。文永7年（1270年）には正三位に昇叙し、文永8年（1271年）には春宮権大夫を兼任するなど、その勢いは衰えることがありませんでした。

文永10年（1273年）に父である徳大寺実基が亡くなりますが、公孝はその後も昇進を続け、弘安元年（1278年）には正二位に昇叙します。弘安6年（1283年）には権大納言に任ぜられ、弘安8年（1285年）には皇后宮大夫を兼任するなど、朝廷内での存在感を高めていきました。

正応3年（1290年）には右近衛大将を兼任しますが、同年中に辞職。正応4年（1291年）には内大臣に任ぜられます。正安元年（1299年）には右大臣に任ぜられ、正安2年（1300年）には従一位に昇叙しました。乾元元年（1302年）には太政大臣に転任し、公卿としての頂点を極めます。

嘉元元年（1303年）には娘の忻子（きんし）が後二条天皇の中宮となるという慶事があり、公孝の権勢はさらに強まります。嘉元2年（1304年）に太政大臣を辞職し、嘉元3年（1305年）に出家。その直後に亡くなりました。

人物像と徒然草

徳大寺公孝は、『徒然草』にも登場することで知られています。第23段と第206段にその名を見ることができ、特に第206段では、検非違使別当時代の若き日の公孝の姿が描かれています。父である徳大寺実基も第206段と207段に登場し、怪異を恐れない合理的な人物として描写されています。

系譜

父：徳大寺実基（1201-1273）
妻：三条喜子 - 三条公親養女、二条良実娘
男子：徳大寺実孝（1293-1322）
長女：徳大寺忻子（1283-1352） - 長楽門院。後二条天皇中宮

参考文献

『公卿補任』（新訂増補国史大系）
『尊卑分脈』（新訂増補国史大系）
『増鏡』井上宗雄訳注、講談社学術文庫全3巻
『日本古典文学大系 神皇正統記 増鏡』木藤才蔵・時枝誠記校注、岩波書店、新装版刊
* 新訂『徒然草』 岩波文庫

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