徳満城

徳満城（とくみつじょう）

徳満城は、現在の宮崎県えびの市東川北に位置していた山城です。この城は、真幸院を治めていた北原氏によって築かれ、当時は加久藤郷一帯の中心的な役割を担っていました。

立地と構造

城は、南を川内川、東を関川が流れる百貫山から続く丘陵の一部に築かれており、比高28mの先端部を掘り割って、その南側を城の縄張りとしていました。現在、この堀切部分は鹿児島県道・宮崎県道102号木場吉松えびの線となっています。

城郭は、高城、中之城、小城の三つに分かれ、それぞれが堀切によって区画されていました。特に高城と中之城の間の堀は、南北に抜ける主要な通路としての役割も担っており、その途中にある高城と中之城への通路は虎口を形成していました。この構造は、防御力を高めるための工夫が見られます。

歴史

徳満城は、その歴史の中でいくつかの重要な出来事の舞台となりました。

応永2年（1395年）の事件: 北原氏の5代目当主である北原範兼が、この城で相良氏の相良祐頼と宴会中に口論となり、互いに刺し違えて死亡するという悲劇が起こりました。この事件は、当時の武士社会の緊張を物語っています。
永享2年（1430年）の出来事: 奥州島津家の島津忠国に敗れた総州島津家の島津久林が、この城に逃れて潜伏しましたが、最終的には忠国に攻められ自害しました。久林の墓は、城の西方400〜500mの場所に現存しています。かつては供の者6名の石塔もあったとされていますが、現在は確認されていません。
永禄年間の動乱: 永禄2年（1559年）には、北原氏の家督争いに伊東義祐が介入し、北原氏は実質的に伊東氏に乗っ取られました。しかし、永禄5年（1562年）に北原旧臣の白坂下総介が、島津貴久、相良義陽、北郷時久らの協力を得て、北原兼親を当主として北原氏を再興しました。この際、徳満城主であった北原八郎右衛門尉は兼親に従いました。

その後

北原氏が没落し、真幸院が島津氏の領有となると、飯野城に入った島津義弘は徳満城の東にあった久藤城を改修し、加久藤城として自身の妻子を住まわせました。この結果、徳満城は加久藤城の支城としての役割を担うことになりました。

現在

現在、徳満城の具体的な遺構は不明確な部分が多く、その歴史を伝える資料は限られています。しかし、この城がかつて地域の中心的な役割を果たし、多くの歴史的な出来事に関わってきたことは間違いありません。

参考資料

『えびの市の城館跡』：宮崎県えびの市教育委員会
『本藩人物誌』 鹿児島県史料集(13) （鹿児島県史料刊行委員会）

関連項目

日本の城一覧
* 昌明寺遺跡

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