忠臣蔵 風の巻・雲の巻

忠臣蔵 風の巻・雲の巻

『忠臣蔵 風の巻・雲の巻』は、1991年12月13日にフジテレビ系列で放送された時代劇テレビドラマです。主演は仲代達矢が務め、元禄赤穂事件を題材に、赤穂浪士たちの視点から描いた作品として、多くの人々に親しまれています。

作品概要

このドラマは二部構成で、「風の巻」では浅野内匠頭の勅使饗応役就任から赤穂城開城までを、「雲の巻」では大石内蔵助の遊蕩から吉良邸討ち入りまでを描いています。本編の総時間は3時間を超える大作で、放送枠は19時30分から23時15分までの225分でした。キャッチフレーズは「年に一度、日本が帰ってくる。」というもので、忠臣蔵の定番エピソードが数多く盛り込まれています。

脚本は古田求が担当し、娯楽性に富みながらも、武士の言葉遣いを使い格調高い仕上がりになっています。この脚本は、後の『忠臣蔵』ドラマでも採用されるなど、高い評価を得ています。特に1996年版の放映以降は、本作が「古田版・忠臣蔵」の第一作と位置づけられるようになりました。

VHS版は1991年12月に発売されましたが、その後DVDなどの光ディスク版は発売されておらず、視聴が困難な状況が続いていました。しかし、CS時代劇専門チャンネルで再放送（2010年12月25日）され、再び視聴が可能になりました。

本作は、歌舞伎『仮名手本忠臣蔵』から登場人物や挿話を取り入れており、天野屋利兵衛や服部市郎右衛門のエピソードも描かれています。特に服部市郎右衛門は、戦後初の映像化となりました。

制作背景

1980年代後半以降、テレビ時代劇が盛んになる中で、忠臣蔵も様々な解釈で制作されていました。本作は、フジテレビが単独で制作した作品であり、制作現場に時代劇の技術やノウハウを伝承することを目的としていました。多くの名場面や大規模なセットが必要となる忠臣蔵は、制作技術を学ぶには最適だと考えられました。

当時のバブル経済崩壊期でありながらも、スポンサー企業の支援もあり、制作費を確保することができました。年末年始や改編期の特別枠で時代劇制作が盛んだったことも、制作を後押ししました。

フジテレビ単独制作のため、仲代達矢をはじめとする当時のフジテレビ時代劇で活躍していた俳優陣を主要キャストに迎えています。夏八木勲、中村梅之助、高橋悦史、綿引勝彦、勝野洋、中村橋之助、江戸家猫八など、当時のフジテレビ時代劇を支えた俳優たちが集結し、その豪華なキャスティングは、当時のテレビ時代劇の活況を物語っています。

出演者

本作には、赤穂浪士、赤穂藩関係者、吉良家関係者、幕府関係者など、多くの人物が登場します。主な出演者は以下の通りです。

赤穂浪士
大石内蔵助：仲代達矢
大石主税：片桐光洋
片岡源五右衛門：高橋悦史
堀部弥兵衛：花沢徳衛
堀部安兵衛：地井武男
大高源五：益岡徹
岡野金右衛門：田中実
神崎与五郎：三ツ木清隆
磯貝十郎左衛門：高川裕也
小野寺十内：草薙幸二郎
吉田忠左衛門：鈴木瑞穂
原惣右衛門：松村彦次郎
貝賀弥左衛門：山崎満
不破数右衛門：綿引勝彦
武林唯七：勝野洋
矢頭右衛門七：吉岡秀隆
赤垣源蔵：渡辺謙

赤穂藩関係者
浅野内匠頭：中井貴一
[瑤泉院]：古手川祐子
戸田局：野際陽子
浅野大学：青山裕一
大野九郎兵衛：小林昭二
安井彦右衛門：南川直
藤井又左衛門：早川純一
萱野三平：新実
大石りく：山本陽子
大石くま：乙羽信子
大石吉千代：福原学（子役）
大石くう：吉沢梨絵（子役）
大石るり：山本奈々（子役）
矢頭なみ：樫山文枝
浮橋太夫：若村麻由美
天野屋利兵衛：北島三郎

吉良家関係者
吉良上野介：大滝秀治
清水一学：平泉成
上杉綱憲：三代目 中村橋之助
色部又四郎：神山繁

幕府関係者
脇坂淡路守：北大路欣也
柳沢出羽守：江原真二郎
梶川与惣兵衛：勝部演之
伊達左京亮：永野典勝
田村右京大夫：鈴木智
多門伝八郎：夏八木勲
土屋主税：古谷一行

その他
宝井其角：下元勉
文吉：左とん平
とき（文吉の妻）：浅利香津代
清兵衛：下川辰平
お艶：南野陽子
岡島常樹：小林尚臣
平兵衛：ハナ肇
お杉：小林聡美
重兵衛：三代目 江戸家猫八
塩山伊左衛門：西岡徳馬
垣見五郎兵衛：四代目 中村梅之助
服部市郎右衛門：二代目 中村吉右衛門

スタッフ

企画：能村庸一、山田良明、前田和也、松木征二
脚本：古田求
監督：富永卓二
プロデューサー：松下千秋、鈴木哲夫
音楽：佐藤勝

内容

物語は、赤穂浪士たちの動向を中心に展開します。浅野内匠頭の勅使饗応役就任から、赤穂城開城、大石内蔵助の遊蕩、吉良邸討ち入りまで、約3時間で2年間の出来事を描いています。畳替え、内匠頭と脇坂淡路守の交友、内匠頭と片岡源五右衛門との最後の対面、大評定、矢頭右衛門七と母との別れ、山科の別れ、大石東下り、恋の絵図面取り、徳利の別れ、主君綱憲を諫止する色部又四郎など、忠臣蔵の重要なエピソードが盛り込まれています。

また、赤穂浪士の仇討ちを警戒した吉良側の動きも描かれており、上杉綱憲を中心とした吉良邸防衛作戦が展開されます。色部又四郎が作戦の司令塔となり、清水一学が現場指揮官として警護団を組織します。

本作では、仲代達矢が主演としてトップクレジットされ、最終場面に登場する服部市郎右衛門を演じた中村吉右衛門がトメとしてクレジットされています。語りを担当したのは、吉良役者としても有名な滝沢修で、本作が最後の映像作品となりました。

『忠臣蔵 風の巻・雲の巻』は、豪華なキャストと見ごたえのあるストーリーで、忠臣蔵ファンにとって必見の作品と言えるでしょう。

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