日光湯元温泉

日光湯元温泉：歴史と自然に抱かれた癒やしの湯

日光湯元温泉は、栃木県日光市奥日光、湯ノ湖畔に位置する温泉です。金精峠の麓にあり、周囲は豊かな自然に囲まれた静寂な環境が魅力です。

8世紀からの歴史

その歴史は古く、788年（延暦7年）、四本龍寺の開祖である勝道によって発見されたと伝えられています。発見当初は、冬の厳しい寒さのため、夏期限定の湯治場として利用されていました。江戸時代の文献「日光山志」には、日光湯元温泉が中禅寺温泉八湯の一つとして記載されており、明治期の「古事類苑」にもその記述が引用されています。

「日光山志」によると、湯元温泉は中禅寺から離れた湯ノ湖近くに位置し、春先まで雪深いことから、毎年旧暦4月8日から9月8日の間のみ営業していました。 厳しい自然環境の中、日光町方による管理の下、食料などの物資は背負われて運ばれていました。温泉街には9軒の湯屋が軒を連ね、上州沼田への間道も存在していました。当時、河原湯、薬師湯、姥湯、瀧湯、中湯、笹湯、御所湯、荒湯、自在湯といった複数の湯が、それぞれ異なる特徴を持つとされていました。例えば、河原湯は湯ノ湖の水位によって湯温が変化するなど、独特の性質を持っていました。

1878年（明治11年）、イギリス人旅行家イザベラ・バードが日光湯元温泉を訪れ、その様子を自身の記録に残しています。記録には、当時、リウマチや皮膚病に効能があると評判で多くの湯治客で賑わっていたこと、宿屋の清潔さ、そしておもてなしの心遣いなどが詳細に記されています。さらに、温泉街の集落の様子、住人の生活様式、露天風呂の存在、そして冬期の積雪などについても触れられています。

1954年（昭和29年）には、国民保養[[温泉地]]の第一号に指定され、その価値が広く認められました。

温泉の特徴と泉質

日光湯元温泉の泉質は硫黄泉で、源泉温度は49.3度～78.9度、pHは6.33～6.6の弱酸性です。独特の硫黄の香りが漂い、湯には湯の花が浮かぶのが特徴です。

温泉街の今

現在、湯ノ湖畔には約23軒のホテルや旅館が営業しています。鬼怒川温泉のような賑やかさとは対照的に、静かで落ち着いた雰囲気の温泉街です。無料の足湯施設「あんよのゆ」もあり、気軽に温泉を楽しむことができます。また、温泉街の中心部からは少し離れた湯ノ平湿原に源泉地があり、各源泉は屋根で保護されています。この源泉は、日光湯元温泉だけでなく、近隣の光徳温泉や中禅寺温泉にも供給されています。源泉地の隣には日光山輪王寺別院の温泉寺があり、共同浴場として利用できます。

アクセス

日光湯元温泉へのアクセスは、東武日光線東武日光駅または日光駅から東武バス日光のバスを利用して約80～85分、または上毛高原駅や沼田駅から関越交通のバスを利用して鎌田で乗り換え、さらにバスで約60分です。（季節や運行状況に注意が必要です）


日光湯元温泉は、歴史と自然の両方が堪能できる、癒やしの空間です。静寂な温泉街で、心身ともにリラックスできるひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。

もう一度検索