春日神社 (大分市)

春日神社（大分市）

大分県大分市に位置する春日神社は、かつて県社として崇敬され、現在は神社本庁が定める別表神社に列せられている由緒ある神社です。

祭神

この神社では、主として武甕槌命（たけみかづちのみこと）、経津主命（ふつぬしのみこと）、天津児屋根命（あまつこやねのみこと）、そして姫大神（ひめおおかみ）の四柱の神々、通称「春日四神」をお祀りしています。これらの神々は、奈良にある春日大社の御祭神と同じです。

歴史

創建の由緒

春日神社の創建についてはいくつかの伝承が伝えられています。社に伝わる記録や地誌である『豊後国志』によると、貞観2年（860年）に豊後国の国司として赴任した藤原世数によって、自身の氏神である大和国の春日大社から神霊を分霊して創建されたとされています。一方、『春日神社略記』には、より古い時代の天平年間（729年 - 749年）に、国分寺の建立のため当地へ下向した石川年足が、大和国の三笠山から神霊を勧請したとする説があります。さらに、天長年間（824年 - 834年）に市川某という人物が大和三笠山より勧請したという記録も存在し、創建年代や経緯には諸説があります。

中近世の歩み

鎌倉時代の建久7年（1196年）、豊後国の守護となった大友氏の初代当主である大友能直によって、当神社が再興されたと伝えられています。また、『雉城雑誌』によれば、第2代当主の大友親秀が仁治3年（1243年）に社殿を修復し、地域一帯の宗廟として位置づけ、社領として80貫文を寄進したと記されています。親秀が寄進した菖蒲田などの社領地は、近代まで勢家町や春日町に残る小字名としてその名をとどめていました。親秀はさらに、神社の別当寺であった鷹雄山神宮寺を再び興隆させたり、境内には蓬莱山を築いたりしたとも伝えられています。これ以降、大友氏をはじめとする歴代の豊後領主から、府内（現在の大分市中心部）の総鎮守として厚い崇敬を受けるようになりました。

しかし、戦国時代の天正14年（1586年）、島津軍による府内侵攻の際に社殿は戦火によって惜しくも焼失してしまいました。江戸時代に入り、慶長8年（1603年）には府内藩の初代藩主となった竹中重利によって社殿が再建されました。重利は、慶長12年（1607年）に江戸からの帰途、播磨灘で激しい暴風雨に遭遇しましたが、春日神社に加護を祈ったところ無事に難を逃れることができたため、その感謝の印として境内に10万本の松の苗木を寄進したという伝承が残っています。続く府内藩主である日根野吉明は、寛永11年（1634年）に藩主になると、春日神社に神宝を寄進するとともに、古来の伝記を収集して祭祀の復興に努めました。正保2年（1645年）には焼失していた蓬莱山を再建し、併せて過去七仏の廟を建立するなど、神社の整備・復興に尽力しました。

近現代の歴史

明治時代になると社格制度が定められ、明治4年（1871年）には郷社に列格し、大正6年（1917年）には県社へと昇格を果たしました。しかし、昭和20年（1945年）7月17日未明に行われた大分空襲によって、米軍の焼夷弾により再び社殿は焼失するという甚大な被害を受けました。第二次世界大戦終結後、戦時中に神道指令により八幡朝見神社に合祀されていた別府市青山町の温泉神社の社殿を移築し、仮の社殿として使用しました。現在の社殿は、地域の人々の尽力によって昭和42年（1967年）に再建されたもので、同年10月18日に新社殿への遷座祭が執り行われました。なお、社殿再建後に役目を終えた旧温泉神社の社殿は、現在、神輿を収蔵する場所として大切に利用されています。また、昭和43年（1968年）7月には、神社本庁より特に由緒ある神社として別表神社に列せられました。

社叢

春日神社の境内を覆う森、いわゆる社叢は、総面積が約26,000平方メートルに及び、そのうち樹林面積は約15,600平方メートルを占めています。この森には約500本もの樹木が繁茂しており、貴重な緑地として認識されています。この社叢は、「春日神社の森」として、1974年（昭和49年）2月1日には大分市の名木（樹林の部）に、さらに同年3月15日には大分県の特別保護樹林に指定され、その価値が認められています。

祭礼

春日神社では年間を通して数多くの祭礼が厳かに執り行われています。年明けの1月1日には歳旦祭や初詣でに始まり、2月初午には摂社稲荷神社の初午祭、4月13日には例祭、そして6月30日には夏越大祓式と茅の輪神事が行われます。夏の7月19日には夏越大祭として神輿巡行が行われ、秋の10月19日には秋季大祭と潮掻き神事が斎行されるなど、四季折々の行事を通じて地域の信仰を集めています。

交通アクセス

車でお越しの場合は、JR九州大分駅から約5分で到着します。
バスを利用される場合は、大分駅前7番のりばから県立図書館行きに乗車し「春日神社前」停留所で下車するのが便利です。また、大分駅前2番のりばから別府・国東方面行きに乗車し「春日浦」停留所で下車しても、徒歩3-4分で神社にたどり着けます。

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