東日本大震災に対する支援活動

東日本大震災は、2011年3月11日に発生したマグニチュード9.0の巨大地震とそれに伴う大津波によって、東北地方を中心に甚大な被害をもたらしました。この未曾有の災害に対し、行政、民間、そして個人が、それぞれの立場で様々な支援活動を展開しました。本稿では、震災発生直後から復興に向けて行われた、多岐にわたる支援活動について詳述します。

伝言・消息情報

メディアによる情報伝達

岩手日報社は、震災直後から約3週間にわたり、県内約300ヶ所の避難所にいた約5万人の被災者の氏名を報道しました。ウェブサイトへのアクセスが集中した際には、他社が転載を申し出ることでアクセスを分散し、情報提供を維持しました。また、各携帯電話会社は災害用伝言板サービスを開設し、安否確認を支援しました。

通信サービス

NTT東西は「災害用伝言ダイヤル」と「災害用ブロードバンド伝言板」を提供しました。Googleは「Person Finder」を開設し、NHKなどの情報と連携して安否情報を集約しました。日本赤十字社と赤十字国際委員会は、安否確認サイト「Family Links」を立ち上げ、多言語で利用できるようにしました。警察は行方不明者相談ダイヤルを開設し、情報収集に努めました。また、YouTubeは被災者のメッセージ動画を集めた「消息情報チャンネル」を開設しました。

その他

警察庁は、身元が確認された犠牲者の一覧をPDFで公開し、Google Person Finderでも検索可能としました。

インターネットによる情報提供

総合情報サイト

Googleは、消息情報、ニュース、地図などを集約した「Crisis Response」サイトを開設しました。goo、Yahoo! JAPAN、日本マイクロソフトも同様に特設サイトを開設し、地震や津波に関する情報、停電情報、交通情報、避難所からのメッセージなどを提供しました。地理情報システムのESRIは、震源や震度情報、ソーシャルメディアを地図上にまとめたサイトを公開し、防災科学技術研究所は「ALL311」という総合サイトを設けました。

メディアサイト

NHKオンラインは、警報、伝言ダイヤル、避難所情報などのリンクを集約したページを提供し、携帯電話向けのニュースサイトでも震災関連情報を閲覧可能にしました。首相官邸は「東日本大震災への対応」サイトで、被災者、国民、支援者向けに情報を提供し、壁新聞も発行しました。

ニュースサイト

読売新聞、朝日新聞、日本経済新聞などの大手新聞社は、それぞれ地震に関する特集ページを設け、最新情報を伝えました。

サービス・アプリケーション

ソーシャルメディア

Twitterは公式ハッシュタグの利用を呼びかけ、Facebookは震災用コミュニティページを開設しました。Evernoteは日本語ユーザー向けにプレミアムサービスを無料提供しました。

情報提供

Hondaは通行可能道路情報をGoogle Earthで提供し、日本マイクロソフトはクラウドプラットフォームを無償提供しました。Amazon Web Serviceの日本ユーザーグループは、災害復興に役立つ情報ページを開設しました。

情報整理

SmilinGreen静岡は、救助要請情報を整理し、警察への重複通報を防ぎました。ウシャヒディの「震災インフォ」は、震災関連情報を地図上に表示し、世界中のボランティアが協力しました。

ボランティア情報

全国社会福祉協議会は、ボランティア活動の注意事項を掲載し、内閣官房は「助け合いジャパン」を開設してボランティアのプラットフォームとしました。全国約140の民間団体は「東日本大震災支援全国ネットワーク」を結成し、情報共有と連携を図りました。

被災者・避難者受入情報・対応

「地域に飛び出す公務員ネットワーク」は、各都道府県の避難者受入情報サイトを開設し、民間調査会社の第一総合研究所は、避難場所の提供と入居を仲介するサイトをオープンしました。

金融・保険

金融機関

被災者向けに、通帳や印鑑がなくても預貯金の払い戻しに応じ、みなと銀行は被災地所在の地方銀行のキャッシュカード手数料を無料化しました。

保険会社

日本損害保険協会は、被害の大きい地域を「特例地域」に認定し、地震保険の満額支払いを原則としました。

通信

NTT東日本は避難所に特設公衆電話を設置し、NTTドコモは移動基地局の配備、衛星携帯電話の無料貸し出しを実施しました。NTTグループは公衆無線LANエリアを無料開放し、ソフトバンクモバイルはメールを無料化、LivedoorやFONも無線LANを無償解放しました。Skypeはインターネット接続を無料提供し、アマチュア無線家が通信支援を行いました。

輸送・アクセス

道路情報

日本道路交通情報センターは道路情報を掲載し、Googleは通行実績のある道路をGoogleマップで表示しました。

公共交通機関

国土交通省東北運輸局は、公共交通機関の状況を掲載し、商船三井フェリーはフェリーを自衛隊の輸送活動に提供しました。日本航空と全日本空輸は、救援支援者や物資を無償で輸送し、長崎電気軌道は元仙台市電を「がんばれ!!東北号」として運行しました。日本貨物鉄道は救援物資の無賃輸送と燃料輸送列車を運行し、三陸鉄道は一部区間で無料運行を行いました。

高速道路の無料化

被災者支援のため、高速道路が無料化されました。被災者と避難者は当面1年間、復旧・復興支援は当面2011年8月末までとされ、証明書の提示が必要でした。

医療・心療

医療機関の対応

各地の医療機関が患者受け入れや医療チームの派遣を行い、厚生労働省はDMATの出動を指示しました。日本医師会は災害医療チームを派遣し、医薬品を輸送しました。日本歯科医師会は遺体確認作業に歯科医師を派遣し、オーラルケア製品を輸送しました。日本薬剤師会は薬剤師のボランティアを調整しました。

心理ケア

日本臨床心理士会は「東日本大震災心理支援センター」を設立し、心のケアに取り組みました。日本いのちの電話連盟は、ホットライン「いのちの電話震災ダイヤル」を開設しました。

情報提供

日本循環器学会は受入可能施設情報を公開し、日本製薬工業協会は医薬品を搬送しました。製薬会社は医薬品の無償提供を行いました。日本内科学会は災害医療活動に関する情報を公開し、日本糖尿病協会は糖尿病患者向けの情報提供を行いました。コクラン共同計画は医療情報を提供し、京都大学大学院医学研究科社会健康医学専攻は翻訳を行いました。その他にも、医療関連のアプリやコンテンツが無料提供されました。医療法人徳洲会は災害医療隊T-MATを派遣し、被災地の医療支援活動を行いました。

医薬品・医療機器バンク

学会研究会jp株式会社は、医療機関の医薬品不足を解消するため、「医薬品・医療機器バンク」を開設しました。

法律

法律相談

法律関係出版社は、過去の震災における法律問題に関する出版物を無償で公開しました。日本弁護士連合会は「東日本大震災法律相談Q&A」を公開し、弁護士法人淀屋橋・山上合同は「震災法律Q&A」を公開しました。また、各種団体が法律相談を行いました。

その他支援

物資・募金・義援金

物資の支援、募金活動、義援金などが全国で行われました。

著名人・各種団体の支援

著名人や各種団体が様々な支援活動を行いました。

ペット・他の動物の支援

緊急災害時動物救援本部やアニマルレスキューが動物の救助活動を行いました。

支援活動に関連する問題点

犯罪

義援金詐欺やボランティアを装った犯罪が発生し、警察庁や日本赤十字社が注意を呼びかけました。

義援金配分問題

義援金の配分が遅れ、不公平感が生じました。

健康問題

放射性物質による被曝など、支援活動を行う者の健康影響が懸念されました。

支援経費

災害救助法に基づく支援経費の請求額が増加しました。

公務災害に関する問題

宮城県南三陸町の防災対策庁舎で亡くなった職員の公務災害認定が問題となりました。

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