松平保男

松平保男：会津松平家を支えた海軍軍人・政治家

松平保男（まつだいら もりお、旧字体：松󠄁平󠄁 保男、1878年12月6日 - 1944年1月19日）は、会津松平家の12代目当主であり、雍仁親王妃勢津子の養父として知られています。旧会津藩主・松平容保の七男として生まれ、海軍軍人として日露戦争にも参戦、最終階級は海軍少将にまで昇進しました。また、貴族院議員を務めるなど、政治家としても活躍しました。会津会と稚松会の総裁も務め、会津地方の発展と人材育成に尽力しました。

生涯

松平保男は、旧会津藩主・松平容保の七男として生まれました。母は容保の側室・佐久、妻は駿河国沼津藩主・水野忠敬の娘・進子です。1900年（明治33年）12月に海軍兵学校（28期）を卒業後、1902年（明治35年）1月に海軍少尉に任官し、横須賀水雷団第1水雷艇隊付となります。日露戦争には、1905年（明治38年）1月に海軍大尉へ昇進し、「鎮遠」分隊長として参戦しました。

1910年（明治43年）6月には、長兄・松平容大の死去に伴い、容大が継承していた子爵位を継承します。海軍では砲術を専門とし、砲術長や海軍砲術学校教官などを歴任しました。1910年（明治43年）12月に少佐、1916年（大正5年）12月に中佐へ進級。戦艦の副長職にあった際に、持病であった耳疾が悪化し一時待命となりますが、治療後、海軍省出仕として復帰しました。

1920年（大正9年）12月に大佐に進級。戦艦「伊吹」艦長、兼「摂津」艦長、呉鎮守府付(簡閲点呼執行官)、横須賀海兵団長を歴任。1925年（大正14年）12月1日に海軍少将に昇進し、同月15日に予備役となりました。1932年（昭和7年）7月10日から死去するまで貴族院子爵議員を務め、研究会に所属しました。

松平保男は、兄・恒雄の娘である勢津子と秩父宮雍仁親王との婚約に際し、平民籍であった恒雄に代わり、勢津子の養父となり、彼女を皇室に送り出しました。1928年（昭和3年）9月に行われた婚儀では、東京市小石川区小日向第六天町（現在の東京都文京区春日二丁目）にあった自邸から勢津子を送り出しました。

晩年は、日ごろ頑健であったものの、発病後間もなく急逝しました。東京での葬儀では、海軍兵学校の同期生である永野修身が葬儀委員長、左近司政三が葬儀委員を務め、旧臣の子孫である柴五郎、三淵忠彦、松江春次らが役員に名を連ねました。また、旧領若松市でも葬儀が行われました。

海軍軍人としての経歴

松平保男は、砲術を専門とする兵科将校として、多くの艦艇で要職を歴任しました。防護巡洋艦「明石」の砲術長、戦艦「河内」の砲術長心得、巡洋艦「橋立」の副長心得兼海軍砲術学校教官、戦艦「山城」の副長を務めた後、軍令部出仕兼軍事参議官・上村彦之丞附、皇族付武官（伏見宮博恭王付）兼軍令部出仕を歴任しました。これらの役職を通して、日本の海軍力向上に大きく貢献しました。

その他の活動

会津会

1912年（明治45年）4月に設立された会津会は、会津地方出身者及び縁故のある人々で構成された団体です。松平保男は総裁を務め、兄の健雄、英夫、恒雄が副総裁に就任しました。会津松平邸に本部を置き、会員の親睦を図り、会報を発行するなどの活動を行いました。松平の死後は、恒雄が総裁を引き継ぎました。会津会には、官界、政界、財界、学界など各界で活躍する人々が多数参加していました。

稚松会

稚松会は、1912年（明治45年）3月に設立された財団法人で、会津藩の旧称である「若松」にちなんで名付けられました。幼い松が大木に成長するように、後進の育成を願う意味が込められています。松平保男が総裁を務め、旧会津藩領出身の陸海軍高等武官が会員となり、軍学校への志願者の勧誘や受験対策などを行いました。会津中学や喜多方中学の生徒を中心に、多くの若者が軍人への道を志すのを支援しました。会員は月給の一部を納め、親睦を深めるとともに、会津地方の人材育成に貢献しました。設立当初は190名ほどの会員でしたが、解散時には約700名にまで増加しました。稚松会は、戦後、会津中学、喜多方中学の後援会に引き継がれました。

親族

松平保男は、会津松平家の一員として、多くの親族がいました。父は会津藩主・松平容保、母は佐久。兄には、会津松平家11代当主・松平容大、伊佐須美神社宮司・松平健雄、山田伯爵家養嗣子・山田英夫、そして、雍仁親王妃勢津子の実父である松平恒雄がいます。妻は、水野進子。長女・芳子は伯爵・大村純毅の妻、次女・徳子は子爵・稲葉正凱の妻、四女・和子は公爵・徳川慶光の妻、五女・順子は徳川熙の妻、のち原田進の妻、六女・敬子は松本文治の妻となりました。長男・容恭、三女・通子は早世。次男は会津松平家13代当主・松平保定、孫には会津松平家14代当主・松平保久がいます。三男は松平保興です。養女には秩父宮妃勢津子がいます。

まとめ

松平保男は、海軍軍人、政治家、そして会津地方の発展を支えたリーダーとして多岐にわたる分野で活躍した人物でした。その功績は、現在も会津地方の人々に語り継がれています。

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