殿といっしょ

『殿といっしょ』：戦国武将たちの笑劇

『殿といっしょ』は、大羽快氏による日本の4コマ[[漫画]]作品です。2007年から2017年にかけて、メディアファクトリーの月刊誌『コミックフラッパー』で連載され、全11巻の単行本が発売されました。戦国時代を舞台に、歴史上の出来事を題材としたギャグ[[漫画]]として人気を博しました。

作品の魅力：歴史とギャグの融合

本作は、織田信長、伊達政宗、武田信玄といった有名武将から、あまり知られていない武将まで、数多くの戦国武将が登場します。史実に基づいた設定を踏まえつつも、彼らの性格は誇張されており、殿と呼ばれる立場の武将は変わり者で「ボケ」、部下たちが「ツッコミ」という役割分担で笑いを生み出します。武田信玄のように出世した武将は、若年期はツッコミ役、老成後はボケ役と変化するなど、時代や立場による変化も描かれています。


各エピソードは時代設定がバラバラで、全体的なストーリーの連続性はありません。初期は各家のネタ自体にも連続性がありませんでしたが、連載が進むにつれて、「伊達政宗の眼帯」「長宗我部元親の女性らしさ」といったように、各家ごとにテーマが設定されるようになりました。4コマ[[漫画]]だけでなく、ショートストーリーも多数収録され、中には「直江兼続の前田慶次勧誘」「伊達政宗の一揆煽動」といった連続エピソードも登場します。


桶狭間の戦い、関ヶ原の戦いといった有名な戦いは描かれず、朝倉家や浅井家の滅亡といったシリアスな展開は避けられています。しかし、そうした出来事は登場人物の推測として、ユーモラスに描かれることも多く、歴史考証を踏まえた緻密な設定とギャグ[[漫画]]らしい自由な発想が絶妙に融合しています。


現代語や現代的なアイテムも登場しますが、外来語は避けられ、「サイボーグ」は「半身機械」、「ファンクラブ」は「後援会」と訳されています。武将たちの個性に合わせて書かれた掛け軸や、眼帯、六文銭といったモチーフも作品の見どころの一つです。


作画スタイルも多様で、本編以外にも「機動武士ガンタイン」「それいけ！ガンタロウ君」といった劇中劇が登場し、作風や絵柄が大きく変化するなど、作者の遊び心が感じられます。重野なおき氏の『信長の忍び』とのコラボレーションも実現しました。連載終了後には、作者のTwitterでNHK大河ドラマ『麒麟がくる』のパロディ漫画『金柑がくる』が公開されるなど、話題を呼び続けています。

主要登場人物：個性豊かな戦国武将たち

本作には、多くの個性的な戦国武将が登場します。特に伊達政宗は眼帯マニア、織田信長は放火魔、長宗我部元親は女性的な美青年といった、史実とは異なるコミカルな性格が与えられています。それぞれの武将と、彼らを取り巻く家臣たちの掛け合いが、笑いを誘います。


伊達家: 伊達政宗、片倉景綱、伊達成実、お東の方、伊達輝宗、お喜多、愛、五郎八姫

織田家: 織田信長、濃姫、明智光秀、煕子、光秀の娘、玉、織田信秀、平手政秀、織田信勝、柴田勝家、森可成、森勝蔵、森蘭丸、弥助、山内一豊、千代

上杉家: 上杉謙信、上杉景勝、直江兼続、仙桃院、上杉景虎、安田さん、岩井さん

武田家: 武田信玄、山本勘介、山本勘市、武田信繁、武田逍遙軒、武田勝頼、板垣信方、春日虎綱、諏訪御料人、三条の方、武田義信

北条家: 北条氏康、北条氏政、北条綱成、北条氏直

徳川家: 徳川家康、本多正信、本多忠勝、奥平貞昌、鳥居強右衛門、徳川秀忠、お江の方、榊原康政、鳥居元忠、石川和政

斎藤家: 斎藤道三、斎藤義龍、斎藤龍興

豊臣家: 豊臣秀吉、おね、豊臣秀長、蜂須賀小六、石田三成、大谷吉継、加藤清正、福島正則、竹中半兵衛、黒田官兵衛、蒲生氏郷、小早川秀秋

今川家: 今川義元、今川氏真、太原雪斎、寿桂尼

真田家: 真田信幸、真田昌幸、真田幸村、小松、真田幸隆、矢沢頼綱、真田幸昌、真田十勇士（海野六郎、猿飛佐助、霧隠才蔵、三好清海入道、筧十蔵、由利鎌之介、三好伊佐入道、穴山小介、根津甚八、サールット=ビサスケ）

朝倉家: 朝倉義景、真柄直隆、真柄直澄、朝倉宗滴、朝倉景鏡、朝倉景健

足利将軍家: 足利義昭、足利義輝、足利義栄、三好三人衆

その他: 松永久秀、細川藤孝、細川忠興、浅井長政、浅井久政、市、茶々、お初、お江、磯野員昌、遠藤直経、藤堂高虎、六角承禎、蒲生賢秀、平井定武の娘、顕如、毛利元就、龍造寺隆信、鍋島直茂、一条兼定、土居宗珊

メディアミックス展開

『殿といっしょ』は、単行本だけでなく、ドラマCD、OVA、テレビアニメと、様々なメディアミックス展開が行われました。OVAにはGACKTさんの友情出演も含まれ、話題となりました。テレビアニメは「1分間劇場」と「〜眼帯の野望〜」の2シリーズが放送されました。さらに、舞台化もされ、幅広い層に人気を誇る作品となりました。

まとめ

『殿といっしょ』は、歴史とギャグの融合、個性豊かなキャラクター、そして様々なメディアミックス展開など、多くの魅力を持つ作品です。戦国時代に興味のある方はもちろん、そうでない方でも楽しめる、笑える作品となっています。興味のある方は、ぜひ単行本やアニメをチェックしてみてください。

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