王廣 (前秦)

王広（おう こう）

王広は、五胡十六国時代の軍人であり、前秦と後秦という二つの王朝に仕えました。彼の出自は秦州休屠であり、父は王擢、兄は王統です。

生涯

父である王擢は、隴西一帯で大きな勢力を持っており、彼が仕えた王朝からは手厚い待遇を受けていました。354年11月、王擢は身の危険を感じ、前涼から前秦へと亡命し、尚書として仕えることになります。王広もまた、前秦に仕え、益州刺史という重要な役職に任じられました。

384年5月、東晋の梁州刺史である楊亮が、5万の兵を率いて益州を攻略するために侵攻してきました。楊亮は、前鋒として巴西郡太守の費統らに水陸3万の兵を与え、自身は巴郡に駐屯しました。これに対し、王広は巴西郡太守の康回らに迎撃を命じました。

同年7月、王広は将軍の王虯に3万の兵を与え、危機に瀕していた長安の救援に向かわせました。

385年2月、王広は江陽郡太守の李丕を益州刺史に任じ、成都を守らせました。そして、益州の兵3万余りを率いて、兄である秦州刺史の王統がいる隴西へと移りました。

同年11月、王広は王統と共に、皇帝の苻丕に使者を送り、後秦を攻撃することを願い出ました。苻丕はこれを大いに喜び、王広を安西将軍・益州牧に、王統を鎮西大将軍・開府儀同三司・散騎常侍・秦州牧に任じました。

386年2月、王広は枹罕に拠点を置く車騎大将軍の毛興を攻撃しました。しかし、毛興は建節将軍の衛平に1千7百の兵を与え、夜襲を仕掛けた結果、王広軍は打ち破られました。

同年3月、王統が王広を救援するために駆けつけ、毛興は嬰城に篭って対抗しました。

同年4月、毛興は王広を奇襲し、これを打ち破りました。王広は秦州へと敗走しましたが、隴西鮮卑の匹蘭に捕らえられ、後秦の皇帝である姚萇のもとに送られました。

392年3月、姚萇が病に倒れると、皇太子の姚興は征南将軍の姚方成から「賊はまだ滅んでおらず、陛下は病の身です。王統らは部曲を持っており、後々の災いとなるでしょう。これを除くべきです」という進言を受け、王広らを処刑しました。

人物・逸話

姚興らが王広らを殺害したという報告を受けた姚萇は、「王統兄弟は州里を同じくする仲であり、怪しい意図など抱いてはいなかった。徐成らはかつての秦朝における名将であって、わしは天下が少しく定まったら任務を委ねようと考えていたのだ。どうしてこれらを誅して気落ちさせるのだ」と怒ったと言われています。

参考文献

『晋書』巻114、115、116
『資治通鑑』巻103、105、106、108
『十六国春秋』巻38、39、42、55

関連項目

前秦
後秦
東晋

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